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2004.03.28

中国の総合的な学習も複雑なカリキュラム

 大阪市立大学・大学院文学研究科は,平成14年度から,COE事業「都市文化創造のための人文科学的研究」を展開している。
 その一環として,私も,上海の華東師範大学教育科学学院との共同研究プロジェクトに参画している。テーマは,総合的な学習のカリキュラム開発,そのための教師の力量形成についてである。
 今年は,教育科学学院のメンバーの来日(シンポジウム,学校訪問)と私たちの訪中が企画され,総合的な学習のカリキュラム開発に関する日中比較研究の第1歩が記されるはずだ。
 次年度の研究活動の計画策定のため,先日,上海に出かけてきた(24〜25日,なんと1泊2日!)。その際に,静安区の第一中心小学校を訪れ,副校長から,同校の総合的な学習について説明を受けた。印象に残ったのは,ひとつの学校に複数の種類の総合的な学習が存在することだ。例えば,問題解決能力を育てるための「実践研究」,環境保護活動に従事させ子どもにコミュニティスキルを育成する時間,ICTスキル育成を目指した模擬旅行代理店の運営などだ。総合的な学習カリキュラムの複雑さ,それを学校単位で調整することの重要性は,日中共通のようだ。
 なお,中国で1990年代から進んでいる教育改革は,現在,第2段階であるが,教育課程は,基礎課程,発展課程,そして探究課程により構成されている。そして,総合的な学習は探究課程に位置づくものらしい。

(写真は,第一中心小学校における副校長の説明の様子)

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「相対評価から絶対評価へ」

 先頃,関西大学出版部より,『教育改革のながれを読む』という著書(黒上晴夫関西大学教授の編集)が刊行された。副題の「高次な思考力育成を目指して」に示されるが,学力の構造やその今日的特徴などの検討,そしてその枠組みの再構築がもたらす授業やカリキュラムの改造のあり方について,様々な立場の教育関係者が持論を述べている。
 私は,「相対評価から絶対評価へ」という章を担当した。絶対評価の台頭・普及の歴史と要因の分析,今日的学力の主柱が「思考・判断」と「技能・表現」であること,絶対評価の理念を具体化するための授業づくりの工夫(特に評価規準の活用方法)などを論述している。
 アップロードするので,ご一読いただければ幸いである。

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2004.03.21

『悠』連載「教師が磨き合う学校研究」スタート!

 「ぎょうせい」という出版社から,『悠』という月刊誌が刊行されている。「学びの場をサポートする総合教育雑誌」が謳い文句だ。
 4月号から1年間,「教師が磨き合う学校研究」というタイトルで私も連載を始めた。校内研修の改革,それを同僚性を基盤とするアクションリサーチとして展開するための考え方やモデルを示すことが連載の趣旨だ。
 第1回目の4月号では,「学校研究の意義とその成立」と題して,学校を舞台とする教師たちのアクションリサーチの今日的意義,その基本原理について解説した。読者の期待に応えられるものになっているとよいのだが−−。その原稿をアップしてみたので,ぜひコメントを頂戴したい。
 なお,4月号には,私と立教大学の奈須先生の対談も載っている。「徹底対談! 授業づくりの『ここが』問題!−改訂学習指導要領下での『授業づくりのリニューアル』の前に考えたいこと」というのが,そのタイトルである。先の連載は2頁なのに,これには6頁も費やされている−−。これについても,一読いただき,ご高評を頂戴したい。

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2004.03.16

カリキュラム評価の具体的作業

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 3月15日,豊中市立克明小学校の校内研修会に参加した。この学校には,今年度,合計5回訪れた(自宅から車で15分程度の距離だし)。また大学の研究室にも先生方に2度来てもらっている。この他,豊中市教育委員会主催の研修会などでも事例報告−解説というコンビを組ませてもらっており,平成15年度,かなり密に交わった学校のひとつだ。
 同校は,平成14・15年度文部科学省の人権教育研究指定校である。人権教育の柱を,教科の学力向上,総合的な学習における生きる力の育成,教科及び総合による情報活用能力の育成と定め,多様で今日的な角度から,人権教育を展開した。11月には2コマの公開授業を含む研究発表会を催し,その成果を公開した。
 今日,1年間の取り組みを総括するための研修会が設定された。まず,各人が,教科・総合・情報教育ごとに「つけたい力」の向上を確認できたか,そうであれば何が効を奏したか,課題とそれを克服する術などをフリーカードに記入した。次いで,全員でそれを俯瞰し,共感できるカードに投票する作業を導入した。つまり学校としての共通課題,緊急課題を,全員が意志を明らかにしながら,同定しようとしたのである。課題については,多くの教員が共感を抱いたカードを取り上げ,次年度にそれを克服する術をグループに分かれて検討し,プチマニフェストとして表明して,研修会を終了した。
 これは私と研究部の先生方のちょっとしたアイデアを実現させた試みであるが,今後,カリキュラム評価と次なるアクションの策定に資する具体的手続きをモデル化,プログラム化しないといけないなと再認識した。

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2004.03.14

12年も続く熊本市コンピュータ教育研究会

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 3月13日土曜日の午後,熊本大学教育学部附属小学校を会場にして,熊本市コンピュータ教育研究会が催された。聞くところによると,この研究会は,平成4年度から,毎月行われているそうだ。もう12年も続いているわけだ。情報教育関係の様々な研究会がある中でも,その継続性は群を抜いていると思う。今日は,5名の教員の実践報告がなされ,私はコメンテーターを仰せつかった。
 発表内容は,総合的な学習のカリキュラム開発,IT活用,小中一貫教育(における情報教育)と,すこぶる幅広い。少々まとまりにかけるが,それは,この研究グループの基礎体力の充実を物語るものだろう。全国の色々な研究会に赴き,出稽古を繰り広げていることも,市コン研の活動を活性化させていると思う。
 研究会の継続・発展はそう簡単なことではないが,今後この研究グループがいかにしてそれを実現させていくか,大阪から注目したい。また,「なにわ放研」も市コン研に負けないよう継続させたい。

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2004.03.12

 学力向上には評価の工夫改善が不可欠!

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 2月19日に続き,今日も,東ときわ台小学校の校内研究会に参加した。3月11日に研究授業を試みるのだから,学力向上フロンティアスクールとしてのがんばりにまず敬意を表したい。
 2年生の算数の授業,しかも少人数指導を見学した。学級のサイズが小さいことをよく生かして,授業者は子どもたちと密なコミュニケーションを繰り広げていた。また,それを様々な算数的活動が媒介していた。
 しかし,評価研究がまだ成熟していない。具体的には,45分の授業なのに,評価の観点が多すぎる。また,評価規準や判断基準が明確でないため,子どもに学びの見通しが形成されないまま,授業が進んでいる。それらの改善が「考える力」の育成には不可欠が。


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放送教育指導者養成講座『虎の穴』

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 3月6・7日と渋谷のNHKで,放送教育指導者養成講座『虎の穴』(http://www.nhkk.or.jp/atoz/index.html)の3期生卒業オフミがあった。この取り組みは,放送教育推進のリーダーをオンライン研修で養成するというものだ。静岡大学の堀田さん,私,NHK教育番組部が協力して,企画・運営にあたっている。日本放送教育協会,特に嶋崎さんのサポートも手厚い。
 放送教育のリーダーたる資質を定義し,それを強化するための課題に特色を持つ中堅教員向けのe-Learningと言ってもいい。この講座の卒業生たりは,自主的にOB会を開催するなど,独特のコミュニティを形成している。7日に卒業式を迎えた3期生を含めると,全国に30人弱の虎の穴卒業生が存在する。彼らは,虎の穴で得た知識・スキル・態度を武器に,これから放送教育のパワーアップに向けた実践活動を展開してくれるに違いない。

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2004.03.04

台湾公共電視台のメディア・リテラシー番組『別小看我』

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台湾出張4日目。公共電視台でメディア・リテラシー番組『別小看我』(甘く見ないで)制作の説明を受ける。この番組は,主として10歳から14歳の子どもを対象としているが,2001年にスタートした。電視台のこのシリーズは,毎年26本の番組を制作し,2004年度末で104本が制作・放送される(現在86本)。毎週土曜日の朝9:00から放送され,そして日曜日の18:30からが再放送の時間だ。
 制作スタッフは,1年を前期・後期に分け,前期に26本放送し,後期はそれらの再放送期間にあてている(ただし,制作は1年間継続する,つまり,それぞれの期に放送される番組はその前の期に制作されたもの)。その構成は,プロデューサー1名,2つの制作グループ(ディレクター1名,ライター1名)で合計5名の規模だ。
基本構成は次のとおり。
1.ドラマ的なオープニング
2.キャスターと子どもとの話し合い
3.キャラクター,専門家のコメント
4.子どもを含む様々な人へのトピックに関するインタビュー(そのトピックについての探究)
5.出演した子どもにょる専門家の取り組みへの接近
6.スタジオでその活動の振り返り
 NHKの学校放送番組ではないので,スタッフは,視聴率がとても気になるとのことであった。だから魅力的なイントロとしてドラマ的なストーリーを持ち込んでいるという。
 番組はかなりアップテンポで,洗練されていた。
 番組が扱うトピックは,かなり広範囲で,それらの編成にあたって,台湾政治大学のSophia T. Wu助教授の意見を聞いているようだ。

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それぞれの教師のメディア・リテラシーへの取り組み

 台湾出張3日目。午前中,(前日ライフストーリーインタビューを試みた)台湾政治大学附属実験小学校の芸術・人文領域の張麗華先生の授業を見学する。
 3年生の芸術・人文領域の中で,コマーシャルの問題点について子どもに考察させることをねらいとするものだ。この授業の意義と課題は,堀田さん(http://horitan.net/)が指摘するとおりであるが,私にとっては,張先生の持ち味が薄れていたことが気になった。彼女の芸術・人文領域の授業は,昨日のインタビューと授業の見学によると,極めて独創的であり,またよく練られたものであると感じた。しかし本日の授業は,コマーシャルの問題点をグループごとにそれを作成させる中で気づかせようとするものであったが,どのグループの発表も芸術性に乏しいと言わざるを得なかったからだ。「時間がなかった」とのコメントを本人から受けた。確かにそうであろうが,前日見た自分の顔の鋳型づくりの授業のデザイン,その展開が見事だっただけに,メディア・リテラシーの育成を志向した授業にそれが反映されていなかったことが残念だった。
 我が国の教師たちが取り組むメディア・リテラシーの実践は,そのねらいや展開が多岐に渡っている。いわば色がないのが特色だ。「それぞれのメディア・リテラシー」を感じることができる。教師の成長を研究する私の立場からすれば,それが最も理想的なメディア・リテラシーへのかかわり方であるように思うのだが−−。

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台湾のメディア・リテラシー実践への共感と疑問

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 2日午後,台北市近郊の新店市北新国小学校5年生の「情報」(総合活動領域のひとつ)の授業を見学する。まだ教職3年目の張嘉倫先生の2校時連続80分のWebページ分析の取り組みだ。まず,アダルトサイトに対する理解を公共電視台の『別小看我(甘くみないで)』の視聴等を通じて育む。次いで「良い」「悪い」という基準(例えばファイルをダウンロードできる,レイアウトがよいなど)を子どもたちに与え,あるいは彼らに作成させ,それをもとに,グループごとに選んできたサイト例を,その判断理由とともに報告し,その意思決定を子どもたちに相互評価させる。最後に,再度『別小看我(甘くみないで)』を視聴し,問題のあるサイトの存在とそれへの対処を指導する。また,これまでのWebページ分析の学習活動を総括するとともに,Webページの問題点に関するテストを実施する。
 Webページ評価の基準を提供していることは感心したし,小学生にもアダルトサイトの存在と対処法を指導する挑戦には驚きを禁じ得なかった。また,学習の成果のすべてを評価できるものではないにしても,テストを作成・実施して授業評価を試みていることも肯定的に評価したい。
 ただ,アダルトサイトの存在を社会構造から説明しないとたんなる禁止教育に終わるのではないかと危惧の念を抱いたし,現実のWebには,良い点と悪い点が混在しているので,それぞれを代表するページを選択することがオーセンティックでないこと,そもそも(堀田さんが指摘していたが)「良い」「悪い」というのは受け手によって評価が異なるので,対象者の吟味を付随させるべきであることなどが疑問として残った。

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台湾のメディア・リテラシー実践者−そのライフストリー−

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 台湾出張2日目。午前中,台湾政治大学附属実験小学校の芸術・人文領域の張麗華先生に,彼女のメディア・リテラシー教育の実践について,特にライフストリーの観点から,インタビューを実施する。彼女は,26年もこの小学校に勤務しているが,徐々にメディア・リテラシーの育成について,実践を拡張していったこと,その節目に,同大学のDr. Wuとの出会いがあることを確認できた。また,彼女の実践の発展には,Wu氏からの示唆があるが,それを自らが求めて彼女の下に足を運んでいることも分かった。
 各領域の教員研修は,リーダーたる教師(種子教師,各領域4人から10人)が,台湾全土から毎週1回集い,そこで情報や意見を交換するという密度の濃いものが存在することが分かった。しかし必ずしも芸術・人文領域の教員研修では,メディア・リテラシー教育についての実践交流は試みていないとのことであった。やはりメディア・リテラシーの育成は,アウトサイダー的色彩が台湾にもあるように思えた。

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2004.03.02

台湾国民小学校のカリキュラム

 今日から5日間,静岡大学の堀田さんとともに,台湾出張(科研)。本日夕方,台湾政治大学の呉副教授や同実験小学校の張先生と打ち合わせをした。その際に,台湾の小学校カリキュラムが教科ではなく,領域で編成されていると聞く。2001年度かららしい。それらは,言語(国語,台湾語,英語),数学,社会科学,自然科学と技術,健康と体育,芸術と人文,総合活動の7つである。総合活動はその他の6領域にクロスカリキュラテーマとして盛り込まれるものを言うらしい。情報,環境,人権,家庭,郷土,性(ジェンダー)の6つである。
 手元に1995年度のカリキュラム編成表がある。それと新しいものとを比べてみると,要するに,統合されたのは,芸術関係だったことが分かる。もともと,音楽(歌・遊戯),美術(図工),民俗芸術に分化されていたものが,芸術・人文領域に統合されたのが大きな変化だ。
 あと1995年度には英語はない。保健(健康)も中学だけだった。
 総合活動領域の編成は各学校(各教師)に委ねられているが,地域の特色を生かすこと,学習指導要領には目標リストがあるのでそれを踏まえることがカリキュラムの要件とのことだった。

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