« September 2004 | Main | November 2004 »

2004.10.31

教育工学会・秋の合宿研究会,成功裡に終わる!

 31日,教育工学会・秋の合宿研究会の2日目が催された。この日は,前日の課題別分科会の座長による報告とパネルディスカッション「すべての教員がITを活用した授業を創造するために」,続いてそれを踏まえたオープンディスカッション,そして最後に静岡大学の堀田先生による総括講演というメニューだった。私は,パネルとオープンディスカッションの司会進行役を仰せつかったが,テンポよくやれたかなと自分なりには満足している。
 今回,現地熊本の先生方とともに合宿研究会全体をデザインする立場になったが,先生方のご尽力で充実した研究会になったと思う。ありがとうございました。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.10.30

秋の合宿研究会・アフターディナーレクチャー「デジタル社会のリテラシー」始まる

 日本教育工学会の2004年度秋の合宿研究会も,プログラムが進んでいる。2.事例の報告と検討,3.課題別分科会,懇親会を経て, 4.アフターディナーレクチャーが始まった。「デジタル社会のリテラシー」というタイトルの講演を山内祐平(東京大学)さんが担当してくれている。IT活用実践の普及戦略を語る際に,デジタルリテラシーの問題は避けて通れない。そうした意味で,本合宿研究会における山内さんのプレゼンテーションは実に貴重だ。
DSC04759.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

日本教育工学会の2004年度「秋の合宿研究会」始まる

 日本教育工学会の2004年度秋の合宿研究会が,熊本県阿蘇郡阿蘇町のひのくに会館で,始まった。テーマ は,「IT活用実践の普及戦略」である。プログラムのスタート, 1.基調講演は,田中博之(大阪教育大学)先生の「IT活用と学力向上,学校改革」という提案だ。IT活用による学力向上,IT活用の類型と事例,自己成長型ポートフォリオの可能性などについて,具体的にご提案いただいた。
DSC04706

| | Comments (0) | TrackBack (1)

体育で表現の工夫を子どもにしっかり考えさせるために(長野県視覚・放送教育研究大会の公開授業から)

 29日,長野県視覚・放送教育研究大会佐久大会の会場校のひとつ,御代田南小学校を訪問した。算数と体育の授業を見学したが,体育の表現運動におけるメディア活用はすばらしかった。「龍神三郎」という地元に伝わる伝説を5年生の子どもたちが表現するのであるが,発表会に向けて,子どもたちが様々なメディアコーナーを活用して,自らの表現の工夫を振り返り,その改善に着手していた。
 子どもたちに表現の工夫を喚起するために用意されたのは,「サウンドコーナー」「ビデオコーナー」「ふりかえりコーナー」「イメージコーナー」「ヒントコーナー」である。例えば,ビデオコーナーでは,VTRの鏡的利用が試みられるし,イメージコーナーでは情景をつかむための資料映像が流される。それらのツールが子どもたちの思考の精錬に寄与していた。また,教師が他のグループを指導しているので,自律的に学習活動を推進しなければならない状況にあっても,自学自習を成立させていた。

DSC04636 DSC04638

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.28

長野県視覚・放送教育研究大会佐久大会

 29日,長野県視覚・放送教育研究大会佐久大会が催される(視聴覚ではなく,視覚とネーミングしている!)。私は,全体会で講演を担当する。タイトルは,「学力向上と教育メディアの活用」である。確かな学力の育成,ことに「思考・判断」力の育成には,豊かな情報・ツールが必要となる。教育メディアは,学力向上に資するはずだというのが講演の主旨だ。
 この大会の講師はこれまで2度,日程があわず,お引き受けできなかった。3度目の正直で,今年はなんとか担当できることになったので,明日はベストを尽くしたい。公開授業もたくさんあるので,それを踏まえて講演内容を再構成するつもりである。
 それにしても,ここは遠い。大学を出発して,5時間以上かかって,やっとホテルにチェックインできた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.27

平成16年度「教育コミュニケーション論II」の講義概要

 大阪市立大学に赴任してから,教職課程の講義のひとつ,「教育コミュニケーション論II」を担当している。これは,中学校教員免許の所得を希望する学生が履修しなければならない講義だ。各教科の指導におけるIT活用,情報教育の展開が講義内容の柱だ。
 今日も,第2部学生を対象とする,この講義があった。18名という少人数講義(第1部学生を対象とするものは60名を越えるが)だから,討論や演習を取り入れ,インタラクティブな授業を実施できる。だから,楽しく,やりがいがある。今日もあっという間に90分が過ぎた。
 講義の概要とスケジュールは以下のとおり。
<講義概要>
本講義では,教育の情報化(各教科の指導におけるIT活用や情報教育の展開)について,吟味する。
 今日,小・中・高等学校では,IT環境の整備が進んでいる。また,1)情報活用の実践力,2)情報の科学的な理解,そして3)情報社会に参画する態度,という3つの側面からなる情報活用能力の育成のための情報教育カリキュラムが体系化されつつある。
 新しい時代の学校教育の教科指導においては,ITの積極的な活用と,各教科の評価の観点に応じた情報教育の展開が要請される。そこで,本講義では,受講生自身が各教科の指導におけるIT活用と情報教育の実施に関するプラン作成を試み,高度情報通信社会における,新しい教科指導に対する素養を身につけてもらう。
<講義スケジュール>
第1回:オリエンテーション
第2回:IT活用の可能性と展望
第3回:情報教育の定義と枠組み
第4回:情報教育の実践事例(情報活用の実践力)
第5回:情報教育の実践事例(情報社会に参画する態度,情報の科学的な理解)
第6回:教育の情報化のサポートシステム
第7回:実践プランの作成(グループ決定,評価規準と判断基準の紹介)
第8回:実践プランの作成
第9回:実践プランの中間報告
第10回:実践プランの修正
第11回:実践プランの修正
第12回:実践プランの発表と意見交換
第13回:予備日

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.26

「授業力量形成の要件」(明治図書『解放教育』11月号)

 先日,明治図書の月刊誌『解放教育』の11月号が刊行された。これに,私は,「授業力量形成の要件」という文章を寄せている。この号では,人権教育の授業研究やそれにたずさわる教師たちの力量形成についての特集が組まれているが,私なりに,授業研究と人権教育の接点を探り,それを綴ってみた。
 興味のある方はご一読の上,コメントを寄せていただけば幸いである。

ファイルのダウンロード

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.10.25

「学校デジタル羅針盤」第13回『小学校の英語活動』(府中市立上下北小学校の授業)

 24日,渋谷のNHKで,「学校デジタル羅針盤」第13回の撮影があった。私も,番組アドバイザーとして,出演した。カメラに向かってのコメントにも慣れてきて,3カットの撮影だが,今回の収録は,1時間もかからなかった。
 今回の番組のタイトルは,『小学校の英語活動』で,22日に研究発表会を催した,広島県府中市の上下北小学校の取り組みが紹介される。同校の英語活動の模様は,NHK広島などによる撮影で既に22日にも放送されているが,羅針盤では,カリキュラムや指導の工夫などがしっかりとレポートされる。放送日は,11月12日11:30~である。ぜひご覧いただきたい。

DSC04432 DSC04538

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.10.22

参加型全体会が成立した!(府中市立上下北小学校の研究発表会にて)

 9月にも紹介したが,広島県府中市の上下北小学校は,府中市の特色ある学校づくり推進事業指定校として,実践研究を展開している。22日,国語,算数,英語活動の7つの授業を公開して,「コミュニケーション能力を高め,基礎・基本の定着を図る授業づくり」の成果を披露した。
 公開授業後,3部会に分かれて,いわゆる「参加型」の事後研を実施した。フリーカードを用いて,授業についての意見を出し合い,私がそれを整理しながら,議論を深めていった。さらに,私の提案で,部会のコーディネータが議論のポイントを報告し,それを題材にして参加者全員がコメントを交わす全体会を構成した。名付けて,参加型全体会だ。私が司会役を務め,報告に突っ込みを入れたり,助言者やフロアの意見を整理しつつ報告者に補足説明をお願いしたりした。時には,質問や意見を出してくれた方にも私が逆質問をして,論点を焦点化したり,対立の図式をわざと用意したりしてみた。
 授業,分科会,そして全体会がひとつの線で結ばれ,参加者が,授業をもとにコミュニケーション能力の枠組みや英語活動の意義について再確認できたし,何より上下北小学校の実践と所属校のそれを比較検討して自らの学校の課題を自覚できたと思う。
参加者数にもよるが,全体でさえも,やり方によっては,参加型が十分成立することを実証できた,よい研究会だった。

DSC04586.JPG

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.10.21

コミュニケーション能力を育む3つのアプローチ(広島県府中市立上下南小学校)

 19日,広島県府中市の上下南小学校の校内研修に参加した。同校は,本年度,「ことばの力」を育むこと,すなわち「コミュニケーション能力」の育成に挑戦している。
 この学校のコミュニケーション能力の育成は,3次元で展開されている。1つは,コミュニケーションの基礎を培う「繰り返し学習」だ。朝学習「チャレンジタイム」でのスピーチや読み聞かせなどに代表される。続いて,国語科におけるコミュニケーションの「型の会得」だ。子どもたちは,話す・聞く活動の基本スキルを,教科書等に掲げられた題材をベースにして,習得していく。そして,最後に,他教科や総合的な学習の時間におけるスキルの応用だ。各教科の特性に応じたコミュニケーション活動(例えば社会科における資料活用)と,総合的な学習における実践的なコミュニケーション活動を通じて,子どもたちは,国語で培った基本スキルをさらに豊かなものにしていく。
 私の考える情報教育やコミュニケーション教育のフレームワークを上下南小学校の実践は見事に体現してくれている。同校の公開研究会が,12月2日(木)午後に開催される。事後研究会も参加型で実施されるので,得るものも多いと思う。広島県の先生方にはぜひ参加してもらいたいものだ。

DSC04369

ファイルのダウンロード

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.20

他校の公開研究会に学ぶ(ぎょうせい「悠」11月号)

 先日,出版社「ぎょうせい」の月刊誌「悠」の11月号が刊行された。4月から始めている連載も,第8回目を迎えた。この号では,他校の公開研究会に参加する際の構え,ルールなどについて言及した。
 今秋も,数多くの研究発表会が催される。そこで,実践知が豊かに交流されることを望んで,また,他校の公開研究会への参加がそれぞれの学校の実践研究の発展に結実することを期待して,この原稿を書いてみた。ポイントは,次の4点である。
◆他校の公開研究会への参加も,学校研究推進の重要なアプローチである。
◆公開授業のレパートリー,研究内容の継続・発展性などを指標・基準として,参加校を慎重に決定すべきだ。
◆指導計画・指導案とのズレを視点として公開授業を観察・分析してみよう。また,自校の実践と比較しながら協議会の議論に身を投じてみよう。
◆研究者等による総括的コメントと自らの印象や評価を連結させて,公開研究会開催校の学校研究,そして自らの学校研究を整理し,相対化するとよい。

ファイルのダウンロード

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.18

平成16年度「教職概論」の講義概要

 大阪市立大学に赴任してから,教職課程の講義のひとつ,「教職概論」を担当している。今年も1部,2部で280名程度が履修し,10月4日から始まった。その概要とスケジュールは次のとおり。新しい免許法で登場した科目であるが,教職のイメージをより包括的なものにするように,内容構成を工夫しているつもりである。
<講義の概要>
 本講義では,まず,教職の魅力・意義・可能性及び教員の役割,教員の服務内容等,教職に関わる基本的事項を概説する。また,教職の特性に関して,その枠組みやモデルを紹介する。
 次いで,少人数指導,総合的な学習の時間や中高一貫教育,情報教育などの新しい教育課題に対応するための教師の能力・資質についても,事例をひもときながら,解説する。
 講義を通じて,教職の複雑さとそれへの備えとしての研修・研究の重要性を実感してもらいたい。
<講義スケジュール>
第1回:オリエンテーション,教職課程の履修の諸注意
第2回:教職の可能性,教師の営みの子どもへの影響
第3回:教師の仕事の複雑さと忙しさ
第4回:授業のデザイナーとしての教師-教科の設計・実施・評価
第5回:学力保障と新しい指導法の導入(少人数指導,習熟度別指導等)
第6回:生徒指導の実際(ゲストスピーカー)
第7回:カリキュラムプランナーとしての教師-総合的な学習の時間
第8回:新しい学校制度と教師-中高一貫教育-
第9回:授業づくりの実際(ゲストスピーカー)
第10回:高度情報通信社会と教師の専門性
第11回:教師の成長-教師の職業発達と初任者の課題
第12回:諸外国の教師-社会・文化と教師-
第13回:まとめにかえて-理想の教師像の探究-

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.17

全放連デジプロの報告(日本教育メディア学会にて)

 17日に催された日本教育メディア学会で,全国放送教育研究会連盟の教育放送番組デジタル化対応プロジェクト関係の2つの報告が試みられた。ひとつは,課題研究「学力とメディアの関係を問う」における,井部先生のデジプロメンバーの実践の比較検討である。もうひとつは,自由研究発表における,鈴木先生のデジプロによる研究の意義や独自性についての考察だ。いずれも,よく整理された,説得力のある報告であった。
 特に後者は,全放連の今と昔に精通している鈴木先生にしかできないレポートであったと思う。後日,全放連のWebにこのレポートがアップされると思うので,放送教育関係者はぜひ入手して,実践等を発展させるための糧としてもらいたい。

DSC04328.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

日本教育メディア学会のワークショップ

 10月16,17日,高槻市の関西大学で,第11回日本教育メディア学会が開催された。両日とも,私も参加した(熱と悪寒に悩まされながら,なんとか2日間,研究発表,ワークショップのコーディネータ,課題研究の座長等を遂行した)。
 今大会の目玉は,初めて導入された「ワークショップ」だった。同志社女子大学の上田先生の企画・運営のもと,日本賞教育番組コンテストを模した3時間のワークショップが催された。そのスタイルで,すぐれた教育番組の要件を探る,再確認することが試みられたが,そのねらいを十分に満たした,よいワークショップになったと思う。
 新潟大学の生田孝至先生,すなわち,本学会の会長も,このワークショップに参加し,真摯に活動に取り組んでおられた。ワークショップのデザインの妙とともに,会長の姿勢にも敬服した。

DSC04294.JPG DSC04296

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.15

華東師範大学・教育科学学院との共同研究の成果

 14日朝,華東師範大学・教育科学学院のメンバーと,本年度の共同研究の成果をまとめる方針について再確認した。予定どおり,3月末までに,中国の出版社から,中国語の著書が,共同研究の成果として刊行されることになった。
 タイトルは,「都市の小・中学校におけるカリキュラム開発の実践と課題-日本・中国の比較検討-」である。2回のシンポジウムの成果を踏まえて,共同研究メンバーの8名(日中各4名)が,総合的な学習等の枠組み,創設の経緯や歴史的検討,指導や授業システム等を,分担して報告する。そして,日中の代表者がそれらの報告を比較検討しながら,互いの国の教育に学ぶ点を省察する。
 翻訳作業も必要だから,刊行までの道のりは極めて厳しい。しかし,これまでの共同研究の企画・運営の苦労と実りを無駄にするわけにはいかない。なんとか乗り切ろうと思う。ちなみに,日本語による同じ内容「報告書」も作成される。

DSC04184
DSC04181

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.14

探究的カリキュラムの枠組みとそのコーディネーション(上海市静安区第一中心小学校での聞き取りから)

 13日,華東師範大学とパートナーシップを築いている静安区第一中心小学校を訪れた。この学校では,国や上海市のカリキュラム改革のガイドラインに添って,カリキュラムをデザインしているが,それを,基礎的カリキュラム,発展的カリキュラム,そして探究的カリキュラムに分割している。このうち,発展的・探究的カリキュラムが学校を基盤とするカリキュラムとしての性格を強く持っている。3者の割合は,85%,12%,そして3%である。
 探究的カリキュラムは,1)教科からの発展,2)合科的・総合的な展開の2種類があり,低学年から中・高学年になるにつれて,前者から後者へと重点が変わってくるようだ。後者はさらに,文系,理系,文系+理系という3タイプを構想していると聞いた。それらは,例えば「文化総合」「創新実践」「ロボット」などである。
 探究的カリキュラムの理系に属する,4年生の授業「創新実践」を見学した。風車のデザインと制作,実験に関するものであった。日本で言えば,理科と図工の合科であろうか。子どもたちは,3人のグループで,羽の形や大きさによって風車の動きが変わることをトライアル&エラーで検討していた。授業の最後のまとめには,ニュートンが紹介され,発展的な課題も示唆された。
 同校は実験小学校であり,優秀な教師たちが集まっている。そうした教師たちが2,3人でチームを組んでカリキュラムや教材を開発し,それを他の教師たちにも提供して,共有化を図っているようだ。そして,それらのプロセスを校長,教頭が管理している(我々への説明の大半を校長が担当した)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

探究的学習の課題設定の手順(上海市文来中学校での聞き取りから)

 12日,上海市の文来中学校を訪問した。この学校では,教科における探究的学習と生徒が課題を設定しておこなう(トピック学習的な)探究的学習を計画・実施している。
 後者の手順がおもしろい。まず,1人が10課題を自由に提案する。そこから,「価値ある」課題をまず5つ選択し,そして1つに絞る。クラスは50人で構成されているので,クラスで50個の課題が出てくるが,それをクラスで10個に絞る。学年は10クラスで構成されているので,100個の課題がリストアップされるが,それをさらに10個に焦点化する。その10課題を,各クラスで10グループを設けて,追究することになる。こうしたていねいな過程によって用意された課題の追究には,週2コマが準備されている。
 なお,指導担当は,学級担任に限られない。他の学級の担任でもよいし,外部人材でもかまわない。この点は,大阪教育大学附属平野中学校のJOINに似ている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

中国中等教育の「研究性学習」の実践動向(王健軍氏の発表から)

 COE事業で上海に来ているが,12日午後,華東師範大学で,都市における学校改革とカリキュラム開発に関するシンポジウム(1日目)が催された。日本側からは,静岡大学の堀田さんが登壇し,「総合的な学習の時間と情報手段の活用」というタイトルで報告をおこなった。中国側は,王健軍氏が「「中国高等学校における研究性学習の調査分析」について発表してくれた。その中で特に興味を持った点をここでレポートしておこう。
 中国の高等学校では,週6時間も,「研究的学習」に費やされている。国語・英語・数学が週あたり4時間ということに比べると,その量がまず分厚いことに驚かされた。また,この研究的学習以外にも,「社区服務」や「社会実践」の時間も用意されている。これらをまとめて「総合実践活動」と呼ぶらしい。
 王氏たちは,全国 81校の667名の教師に質問紙及びインタビュー調査を実施し,その実態把握を試みた。調査結果の中では,「課題設定の主体や手続き」が興味深い。その決定は,「『教師と生徒が話し合って』が一番多い」し, 「教科の組み合わせタイプの課題が多い」とのことであったからだ。また,困難点としては,大学受験の圧力物質的(コンピュータ室など)課題の価値や専門性を教師たちは把握しにくいことなどが掲げられていた。また最も強調されていたのは,時間の問題である。教師たちは,研究的学習の効果を一定程度認めつつも,「たくさんの時間が必要(十分な時間が与えられていない)」とのことであった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.11

COE事業による上海訪問(10月11日~15日)

 10月3日に英国から帰国したばかりだが,本日から上海を訪れている。明日,明後日と小中学校の教室風景を見学したり,当地の研究者と交流したりする。テーマは「都市における学校改革と総合的な学習のカリキュラム開発」であり,日本の学校現場との比較検討を試みる。英国の様子を眺めてきたばかりだから,3点比較も実現するかもしれない。
 この共同研究プロジェクトでは,私は,「総合的な学習の時間」の現状を6月に報告する機会を得たし,その概要をレポートにしたためる役割を仰せつかっている。国際共同研究の実施は困難を伴うが,市大の一員として,また日本の教育方法についての学徒として,与えられた役割をなんとか果たしたい。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

メディアとのつきあい方学習セミナーin笠岡(MLK5の営み)

 10月9日,台風がやって来る中,岡山県笠岡市で,「メディアとのつきあい方学習セミナー」が開催された。このセミナーは,笠岡の小学校の有志たちが,メディア・リテラシー教育の普及を願って企画・運営したものだ。
 当日は,模擬授業,パネルディスカッション,そして静岡大学の堀田先生による講演という3部構成だった。
 メディアとのつきあい方学習の魅力,可能性,課題について,上記のメニューで,参加者が考えを深められる,よいセミナーだったと思う。特に,パネルディスカッションでの,岡山県情報教育センターの高橋さんの報告は,実にすぐれていた。自らの10年以上に及ぶ,メディア・リテラシー教育実践の変遷を見事に整理し,その多様性と要件を語ってくれた。特に,実践の出発点やターニングポイントのレポートは聴衆を納得させるものであったと思う。
 このセミナーを契機にしてMLK5の営みがさらなる発展を遂げることを確信した。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.10.10

小学校の教師が参画した数学の授業(広島県竹原市立忠海中学校)

 10月5日,竹原市立忠海中学校の校内研修会に参加した。同校は,いわゆる学力向上フロンティアスクールである。1年生の数学「一次方程式」の授業に,学区内の小学校の教員が参加し,指導の一部を担当していた。
 問題の特徴的な部分に線を引く,「生活に関係した課題」から導入を始めるといった小中の指導の一貫性の維持,算数から数学へのより抽象的な思考を苦手とする子どものケアなどにおいて,両者の協力教授は実に有効であった。
 他にも,理科,音楽,国語,英語,体育などの教科においても研究授業が試みられたが,例の「参加型」の協議会を開催して,各教科における思考力・表現力の育成と評価について,教員間で密に議論を展開できた。その成果が,11月27日(土)の同校公開研究会でしっかり披露されることを祈念している。

DSC03901.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.09

ICT駆動のクロスカリキュラアプローチ(Holy Cross Catholic Girl’s School)

 10月1日,英国学校訪問の最終日,New MaldenのHoly Cross Catholic Girl’s Schoolを訪問した。この学校には,7学年から,シックスフォームの生徒(共学),900名が通っている。昨年度,政府からScience Collegeの指定を受けたが,それに加えて,教師教育学校の指定も受ける。それにより,8~9名のNQT(初任者)の指導を引き受けているし,それらに対するメンタリングを学校の特色としている
 この学校では,クロスカリキュラテーマに基づく,教科横断的指導が継続的に試みられてきた。そのコーディネーションについてリーダーシップを発揮するのが,校長補佐が数名いるうちの一人,Lawrence氏(写真)である。彼は,クロスカリキュラとICTを担当しており,そのアイデアが同校の教科横断プロジェクトの要となっている(授業としては,国語を専門としてはいるが,ICT,歴史,ドラマなどの授業にも参画している)。したがって,同校の教科横断プロジェクトは,ナショナルカリキュラムの要件を満たしてはいるものの,QCAには基づくものではない。ICT駆動といってよい。彼がICTの新しい可能性を追究したことが,カリキュラムの新しい可能性に結実している。
 ただし,プロジェクトメンバーの編成は,あまりシステマティックではない。教師たちの経験,熱意,アイデア,そして多様な教科指導の実績等によるようだ。予算や施設の充実を「にんじん」にして,参加教師を募っているきらい有り。

DSC03863.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

「宗教の時間」を使ったクロスカリキュラアプローチ(St. Peter CE Primary School)

 30日,SuttonのSt. Peter CE Primary Schoolを訪問した。3年生の宗教の時間を見学した。「シンボル」についての学習であった。十字架とか鳩とか,キリスト教でよく用いられるシンボルを題材にして,その意味を考えて文章で表現し,そして自分たちでもそうしたものを発見したり,描いたりする活動が構成され,宗教と国語(書くこと),美術がミックスされた総合的な学習のカリキュラムであった。
 国語と美術の組み合わせは我が国でもよく試みられているが,それに宗教がからむのは,英国らしい展開であると思った。
 なお,このクラスの算数の授業も見学したが,学級内習熟度別指導が繰り広げられていた。この学校の師弟の大半は白人で,マイノリティゆえの低学力問題があるわけではない。それでもなお,子どもたちの習熟の程度は教師によれば「so huge」であり,学級内習熟度別指導が必然的なものとして理解されていた。写真は,そのグループ分けの図だ(なんとか常に掲示されている!)。そして,複線化する授業展開を「アシスタント」が支えていた。我が国でとかく問題視されがちな,この指導スタイルであるが,英国ではどうやら当然視されているようだ。

DSC03842.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.06

カリキュラム・コーディネーションの組織化(Dagenham Park Community School)

 9月29日,DagenhamのDagenham Park Community Schoolに出かけた。7学年から,シックスフォームまでの生徒,1100名を抱える学校だ。もともとこの地域は白人労働者階級の居住区だったが,エスニックマイノリティがたくさん住むようになり,現在は,その師弟が生徒の40%を占めている。
 政府から,数年前に,Specialisit Art Collegeの指定を受ける(そのために,自ら5万ポンドを準備した)。それにより,政府から施設改善用等の資金を得る。また,美術,音楽,ドラマのエキストラ教師を雇用できている(レギュラースタッフ)。14歳以降で,8~9割の生徒が芸術教科を選択している。
 オフステッドの査察の結果で,肯定的な評価を得ているし,GCSEやGNVQの成績もここ数年向上している。また,生徒の出席率が向上しているし,学校への転入者数が,学校からの転出者数を上回っている。
 この学校のクロスカリキュラアプローチの柱は,ICTの活用だ。これを,各教科で活用している。例えば,11学年の音楽における作曲ソフトの活用,9学年の理科におけるCAI(コースウェアは教師たちが自作)などだ。クロスカリキュラテーマに基づいたものやトピックワークなどは試みられていない。
 2名の教頭のうち,一人がカリキュラム担当であり,施設設備や予算などをまかなう。また,4名のアシスタントヘッドのうち一人がカリキュラムや試験結果や査察担当であるこの2名と各教科のコーディネータが連携をとって,カリキュラム経営を推進している。カリキュラムのコーディネーションが組織的に展開されていることが分かった。また,学校改革とクロスカリキュラアプローチとの連動も確認できた。

DSC03803.JPG

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.10.04

ナショナルギャラリーの総合プロジェクト(Eastcote Primary School)

 9月28日,WellingのEastcote Primary Schoolを訪ねた。nurseryから6年まで,すべて単一学年の小学校だ。
 この学校では,主として,3年生や6年生で展開されているクロスカリキュラアプローチを見学した。これは,ナショナルギャラリーが提供しているプロジェクトで,Take one pictureという。この日は,例えば,3年生ならば,ドガの絵を見てそれを鑑賞しながら語彙や文法を学んでいた。また,ドガが絵画を描いているビクトリア時代の子どもの生活を議論する歴史の学習が繰り広げられていた。時々はペア学習等もあるが,基本的には実に古風な一斉指導で,まるで日本の教室にいるようだった。
 美術の教師がコーディネータとして全体を把握してはいるが,プロジェクトの枠組みはナショナルギャラリーが提供しているようである。そうした外部組織が提供しているプロジェクトに全面的に乗っかって展開する,クロスカリキュラアプローチの存在を確認できたのは,収穫だった。

DSC03680.JPG

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.10.03

クリエイティブアーツによる総合(Priory CE Primary School)

9月27日,英国視察第一日目,WimbledonのPriory CE Primary Schoolを訪問した。ここは,
nursery3クラス,reception5クラス,1学年2クラス,2学年2クラス,3学年2クラス,4学年1クラス,5学年2クラス,6学年1クラスで,合計328名の学校だ。スタッフは,非常勤も入れて50名を擁する。強力なリーダーシップを発揮する女性校長のAngeles Walfordが赴任してから,学校改革に取り組んでいる。
この学校では,午後のすべてがカリキュラム・エンリッチメント・プログラムにあてられている。訪問した日には,3年から6年までの子どもが合同で,「真夏の夜の夢」を演じるためのクリエイティブアーツ(ダンス&ドラマ,音楽,美術)に従事していた。
こうしたプロジェクトが,1年間に3つ(つまり学期に1つ)あるらしい。プロジェクトのねらいは,子どもたちの経験を広げること,それによりEnglishの表現力を高めることにあると聞いた。
教師たちがクリエイティブアートムチームを編成し,カリキュラムエンリッチメントのために協力教授を展開するが,そのリーダーは,Soo Beerという音楽を専門とする教師であった。彼女は,政府の認めるadvanced skills teacher1である。
なお,この日,英国ではクロスカリキュラアプローチが再評価されていることがはっきり分かった。それは,政府が「Excellent and Enjoyment」という刊行物を2003年12月に出してからである。

DSC03588.JPG

| | Comments (0) | TrackBack (0)

これから英国における学校訪問記を

 9月26日から10月1日まで,ロンドン市内や同郊外の学校を巡って,クロスカリキュラアプローチやカリキュラム・コーディネーターについて,視察を続けた。パディントン駅近くの安宿(写真)に宿泊していたので,インターネット環境が悪く,現地からWebブラウジングするのが難しく,記事を投稿できなかった。少々遅れたが,これから少しずつ,ここで,英国の教育の今,いくつかの事例を紹介していきたいと思う。

DSC03886.JPG

| | Comments (1) | TrackBack (0)

« September 2004 | Main | November 2004 »