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2004.11.30

教科学習と総合的な学習の連結(東ときわ台小学校の研究授業から)

 30日,大阪府豊能郡豊能町立東ときわ台小学校で,5年生社会科・総合的な学習の研究授業が催され,私も,参加した。
 同校は,学力向上フロンティアスクールとして,2年間にわたり,実践研究を積み重ねている。早々と6月に公開研究発表会を開催したが,今日は,それを継続・発展させる試みを提案してくれた。それは,教科学習と総合的な学習の連結だ。
 社会科の自動車産業の単元で,基本的な目標を満たした後,教師たちは,「自動車は必要か」という論題で,児童にディベートを繰り広げさせた。そして,「自動車づくりへの願い」として,「環境にやさしい車」「人にやさしい車」「安全な車」を児童がデザインし,それをプレゼンテーションするという学習過程を構成した。本時は,最終プレゼンテーションの場面であった。
 国民生活を支える自動車産業から環境,福祉,安全と,学習内容を学際的に広げていく流れは自然で,まず単元構成において教科発展型の総合的な学習という色が濃かった。加えて,車のデザインや模型の制作(図工,写真参照),キャッチコピーの作成や車の売り込み(プレゼンテーション)(国語)とそれに教科横断的な志向性が加わっていた。二重の意味で,教科と総合の連結が図られていた。
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2004.11.29

評価規準の作成-その調整役を育てる研修を-

 現在,ある原稿の執筆を進めている。それは,教育開発研究所から刊行される『新編 教務主任読本』の「評価規準の作成と教務主任」だ。
 我が国では,目標に準拠した評価を推進する一環として,評価規準や判断基準を,各学校で,教師たちが作成することになっている。教務主任は,その調整役を果たすべきだというコンセプトで原稿を書くことになっているので,それに従って原稿執筆を進めている。しかしながら,そのようなシステムは,我が国の学校では未成熟だ。今後,そうした観点から,教務主任や研究主任の力量形成が推進される必要があろう。
 なお,イギリスなどでは,評価規準にブレが出ないようにするために,地域単位で,評価規準作成のための研修会,ワークショップなどが催されるという。我が国では,評価に関する研修会などが催されても,識者の講演を聴くといった取り組みに終始している場合が少なくない。特に行政研修にそのような色が濃いような気がする。もし私が評価についての行政研修に招聘されたら,最近試みている参加型の活動を導入して,評価規準の作成についての実践的知識を教師たちが得られるように工夫してみたい。

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2004.11.28

思考力・表現力の育成手法(竹原市立忠海中学校の公開研究会シンポジウムから)

 27日,竹原市立忠海中学校が学力向上フロンティアスクールの成果を公開するための研究会を開催した。私も,講師として,参加した。
 当日は,2コマの授業公開に続いて,基調提案,授業を題材とする研究協議会(4分科会),そしてそれを交流する全体会,そしてシンポジウムが用意された。研究協議会は,参加者が意見を十分に述べられるように参加型で構成し,コーディネータがまるで授業のごとく,参加者にコメントを求めたり,小グループでの話し合いを促したりした(写真)。また,全体会では,私が「マスターコーディネータ」として,4名のコーディネータに協議会で共通理解できたことを報告してもらったり,フロアの参加者にそれについての補足や反論を求めたりした。短い時間で,数多くのコメントを拾えた。
 シンポジウムでは,教育委員会,学校現場の管理職などに,忠海中学校の研究についての批評,確かな学力,特に思考力・表現力の育成方法についての提案,そして確かな学力の育成に関する今後の課題などを述べてもらい,司会進行役として私がそれを整理した。思考力・表現力の育成には「言葉の力」が必要になること,そのためには音読などの繰り返し学習が功を奏すること,その営みを充実させるためには小中連携や家庭における生活習慣の改善が求められること,思考力を子どもが十二分に発揮する問題解決的な学習を準備しなければならないことなどを共通理解できた。
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2004.11.27

小中連携をカリキュラムレベルで(松原第三中学校区の協働研究)

 26日,大阪府松原市立第三中学校区の幼稚園・小学校・中学校が合同で開催した研究発表会に出かけた。2日の豊中市立南桜塚小学校と同第三中学校の協働研究発表会への参加に続いて,招聘もされないのに,出かけてみた。講師ではないから,まったく自由に授業を見学し,研究発表に耳を傾けた。
 第三中学校区の協働研究(あの地域ではこういうワードを用いるらしい)は,同和・人権教育等における連携の歴史を財産にして,確かに進展している。それは,算数・数学や国語のカリキュラムの関連づけ,そしてそれを体現する指導法の整理などの成果が出ているからだ。たんに合同研修会を開催したとか,交流学習を実施しているというのではなく,カリキュラムの接続,段階性がきちんと提案されている点に,多くの学校が学ぶべきであろう。
 ただし,実際の授業については,見ていて問題視したくなる点もあった。小学校の習熟度別指導,総合的な学習などを見学したが,例えば前者であれば,習熟の差と学習速度の差を混同している,コース別の指導案に指導コンセプトの差異が反映されていないと思われたからだ。
 また,授業後に,授業についての協議の時間帯が設けられていないのも,研究発表会としては,私は,もの足らなかった。
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2004.11.25

101回目のS&C勉強会(平野附中の先生方と)

 今日は,大阪教育大学附属平野中学校で,定例の自主勉強会,S&C勉強会が催された。13日の公開研究会の授業・協議会の報告4件,附小生活科の実践報告などがあり,3時間以上,参加者で議論した。
 今回で,数えて101回となった。この勉強会への参加は,とてもためになる。各先生が取り組んでいる教科教育の実践研究のフロンティアに接することができるからだ。
 しかし,それでも10年近く同校に通い続けた自分を,少しはほめてあげたい。特に,岡山大学教育学部に勤務していた5年半の間,この勉強会を一度も休まなかったことは,自分としては,それを誇りに思っている。当時,地下鉄平野駅を21:26に発車する電車に乗らないと,その日中に岡山に戻れなかった(今は,新大阪駅をもっと遅くに発車する新幹線が増えた――)。学校から平野駅まで何度走ったことか――。
 今は距離でなく,時間の捻出が障害になったりするが,まだがんばって参加したいと思う,このS&C勉強会には。
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2004.11.23

学力向上のための基本調査2004中間報告(ベネッセ教育総研との共同調査)

 先日,「総合学力研究会」(事務局:ベネッセ教育総研)による学力向上のための基本調査2004の結果についての中間報告が,速報版として刊行された。タイトルは,「教師の指導力・家庭の教育力・学校の経営力の相互関係を探る-学力向上へのパートナーシップの確立に向けて-」だ。教師の指導力,家庭の教育力,学校の経営力に関するモデルを構成し,その実施状況と子どもたちの学力(学びの基礎力,教科学力,生きる力)の連関を明らかにしようとするのが,この調査の特徴だ。小中学生約8900名,教師1700名を対象とした,大規模な調査だ。いろいろユニークなモデルや調査結果が報告されているので,ぜひ,ご入手いただきたい(私のところにも200部届いている)。
 なお,近日中に,ベネッセ教育総研のWebページにも,同中間報告がアップされる予定。

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2004.11.22

学力向上についての公開授業研究会(広島県竹原市立忠海中学校にて11月27日に)

 11月27日,土曜日にもかかわらず,竹原市立忠海中学校にて,学力向上フロンティアスクールの公開授業研究会が催される。朝から,2コマの授業公開,基調提案,参加型研究協議会及び全体会,そしてシンポジウムというプログラムだ。
 中学校における学力向上の営みは,あらゆる教科でそれを試みるべきだとする私の主張を実践化してくれている学校だ。また,研究授業を参加者全員で討論していく,それらを,教科をまたいで共有していくための工夫についても,先生方は,2年間かけて努力を傾注してくれた。
 できるだけ多くの方に参加していただき,協議を深めたいと考えて,学校は,あえて土曜日に研究会を設定している。シンポジウムも,私の司会のもと,尾道市立土堂小学校長の陰山英男先生等が,学力向上への秘訣を語ってくれる貴重な機会だ。ぜひ参加を検討していただきたい。特に,広島県の先生方には。

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2004.11.20

デジプロ最後の研究授業(さいたま市立大谷口小学校・鶴田教諭の挑戦)

 20日,渋谷のNHKで,全放連・教育放送デジタル化対応ミレニアムプロジェクトの委員会が催された。12月7日に営まれる,さいたま市立大谷口小学校・鶴田教諭の研究授業のプランについての検討が議題の中心であった。
 この授業では,NHK学校放送番組『みんな生きている』と関連Webの活用が試みられる。鶴田教諭は,10年以上に及んでこの番組を授業で利用しているが,今年度解説された「けいじばん」を授業に導入し,4年生の子どもたちの生き方についての考えを広げることを構想している。彼女は,昨年度,道徳番組の「けいじばん」利用に着手したが,それと今回の授業での利用にはいかなる違いが生まれるのか,そもそも「けいじばん」利用によって子どもたちにいかなる能力・資質を育むのか等について,メンバーで2時間以上も議論した。
 デジプロは,今年度で一応プロジェクトの終わりを迎える。これが,最後の研究授業だ。ベテランの鶴田教諭が伝統的放送教育と新しい放送教育をどう融合するのか,デジプロの成果が問われることになる。
 なお,その他の研究授業も含めて,今年度のデジタル教材活用事例を集約し,またデジプロの5年間の歩みをまとめた報告書が年度末には刊行される。放送教育に関心を寄せる実践家にはぜひそれも入手してもらいたい。

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2004.11.19

あなたは,同僚の研究授業を見て――(Y先生の言葉から)

 15日,講義:教職概論に,ゲストスピーカーとして,学校現場から,Y先生をお招きした。生徒指導の実際について,学生に語っていただくためにだ。毎年,実に,見事な講義をしていただける。事例に基づいた,生徒指導のディテール,今年度は特に,ある中学校の荒れ,そこからの再生の軌跡を描いていただいた。荒れの「兆し」に関する実践的知識は,聞く者を納得させた。
 ところで,Y先生の講義のファイナルコメントは,「あなたは,生徒を励ます,褒める言葉をいくつ持っていますか」というものだった。生徒指導の基本精神を体現するためには,生徒に語りかける言葉をたくさん,また豊かに持っていなければならないことを再確認させてもらった。
 そいて,それを,自分の研究の文脈に適用すると,次のようになろう。
 「あなたは,同僚の研究授業のよい点をいくつ発見できますか,それを語る言葉をどのくらい持っていますか。」
 授業研究や学校研究でリーダーシップを発揮する立場にある人に自問自答してもらいたい。
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2004.11.17

若い教師に活躍の場を(京都市左京区の修学院小学校の授業別分科会にて)

 17日,京都市立左京区の修学院小学校の研究発表会に参加した。京都市教育委員会の指定を受けて,個に応じた指導と生活科・総合的な学習のカリキュラム開発に,教師たちが取り組んでいる。研究主任のI先生とのつながりで,講師役(?)を引き受けた。
 研究が,豊かな体験,聞く力伝える力,教育メディアの有効活用という3本の柱で勧められており,それによって,各学年の取り組み(授業やカリキュラム)が連結されている。だから,研究発表を聞いていても,授業を眺めていても,学校全体で取り組んでいることが参加者によく伝わる。
 ところで,同校の研究発表会のプログラムには授業別分科会と全体会が設けられていたが,それらにおいて,若い教師に,活躍の場が与えられていた。報告等にたどたどしいところもあったが,彼らの真剣さは聞くものを惹きつけたし,これから授業研究を進める上で彼らにとっては大きな糧になるに違いない。
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2004.11.16

児童の「いい先生ですよ」の一言(丹波市立西小学校の昼休みの出来事)

 16日,丹波市立西小学校の校内研兼丹波市情報教育推進委員研修会に参加した。4時間目に1年生の国語の授業,5時間目に5年生の算数の授業が実施され,その後,授業別(情報活用能力の育成,教科におけるIT活用)の分科会,全体会と盛りだくさんの内容の研修会であった。
 西小学校は昨年度,一昨年度と旧氷上郡教育委員会の情報教育研究指定を受け,各教科・総合的な学習における情報活用能力の育成等にチャレンジしてきた。今年度,それを継承しつつ,教科におけるデジタルコンテンツの活用にも研究を発展させている。すばらしいことだ。
 ところで,昼休みに,同校のある教室を(勝手に)訪れた。教室の前にコンピュータが設置され,ある児童が「学校放送オンライン」にアクセスしていた。それもすごいなと思ったが,その児童と話をして,もっと驚かされた。「担任の先生は?」と私が質問すると,「N先生です」と教えてくれた後,「いい先生ですよ」とこちらがたずねもしないのに,彼は,続けて話してくれた。児童からこう評価される教師がいる学校だから,きっと情報教育,IT活用も進展するのだろう。
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2004.11.14

新しいタイプの役割に挑戦する教師たちへのエール(拙稿「小学校教科担任制の新展開」)

 先日,出版社の「ぎょうせい」より『特色ある学校づくりのための新しいカリキュラム開発 第5巻 確かな学力をはぐくむ教育組織の多様化・弾力化』(児島邦宏編著)が刊行された。この著書において,私は,「小学校教科担任制の新展開」という章の執筆を担当させていただいた。そこで,小学校における教科担任制,すなわち,完全教科担任制,専科の単独指導,学級担任と専科のTT,授業交換,カリキュラム・コーディネータなどを整理する図式を提案してみた。
 また,小学校における専科やコーディネータの意義,彼らが抱える悲哀について論じてみた。学級担任制を旨とする小学校において,管理職でもないのに学級を持たせてもらえない教師は,学校においてマイノリティになりやすい。そもそも学級の子どもとのふれあいを生き甲斐にして教職に就いた彼らは,教科担当的な立場を,そう簡単には受け入れがたい。彼らは,そうした立場を自己実現の舞台とは思いがたい。学校組織や同僚のためにあえてそうした立場に身を置いているのに,それを認めてくれる人も多くはない。
 しかし今日の授業改善,学校改造は,教師間の共同を強く要請するものであるから,小学校では,多くの同僚と直接・間接にパートナーシップを築き,同僚間コミュニケーションの媒介役を果たす専科やコーディネータは不可欠の存在だ。
 新しいタイプの役割に挑戦する教師たちへの私のエールをぜひお読みいただきたいと考え,アップロードした。
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教科教育の底力(大阪教育大学附属平野中学校における教材開発)

 13日(土)に,大阪教育大学附属平野中学校で教育研究会が開催された。午前中,研究部長の井寄先生による研究報告があり,それに続いて,教科別説明会(オリエンテーション),そして,必修教科,選択教科の授業公開が用意された。午後は,教科別協議会と講演だ。
 午前中の必修教科や選択教科では,同校の先生方の教科教育の底力を見せつけられた。特に教材開発の巧みさだ。絵巻物をアニメーションとしてしかも英語を活用して鑑賞する美術,文楽のプロに三味線を演奏してもらってその音色を比較検討する音楽,GISを駆使して地域の「ひったくり」の原因を探る社会(技術との合科),解剖学を標榜する理科など,参加者が皆納得するほど,同校の先生方の教材開発は豊かであった。

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2004.11.12

ごく自然なIT活用(彦根市立稲枝中学校の研究発表会の授業から)

 11月12日,彦根市立稲枝中学校が,学力向上フロンティアスクールとしての研究成果を公開するための研究発表会を開催した。私も講師として参加した。
 以前にもこのblogで紹介したように,同校は,全教科で,学力向上への取り組みを繰り広げている。本日は,思考力を育成するための異教科合同,教科横断的な取り組みも紹介された。中学校における確かな学力の育成としては,理想的なアプローチだ。
 ところで,彦根市のすべての中学校には,既に3,4年前から,普通教室に,コンピュータとプロジェクターが設置されている。その好影響を,本日の授業公開で確認した。体育科では,マット運動のモデル映像を提示するために,社会科ではクイズ形式の小テスト(?)の問題や解答の提示に,そして国語科ではスピーチの題材のビジュアル化に,教師や生徒がごく自然にITを活用していた。
 稲枝中学校は,IT活用を研究している学校ではない。しかし,学力向上の多様なアプローチを模索する中で,ITを活かす授業づくりも,教師たちは自らの得意技に加えたようである。稲枝中学校の授業では,ITが,名脇役として,学力向上の舞台を支えていた。

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算数番組の活用方法(「かんじるさんすう1,2,3!」をどう利用するか)

 11月11日,NHK大阪で,第18回なにわ放送教育研究会が開催された。この日は,前に紹介した,豊中市立克明小学校3年生担当の森教諭による,学校放送番組「かんじる算数 1,2,3」を活用した授業実践が報告され,議論の対象となった。
 第11回『形のへんしん』を授業でどう利用するかについて議論したが,まず教師だけが視聴する派と子どもに見せたい派に分かれた。後者についてはさらに,丸ごと視聴派と部分視聴派に分かれた。さらに,丸ごと視聴派についても,番組で示唆している活動(三角形と正四面体)だけに限定したいという意見と,それを発展させる活動(正方形,立方体)を導入したいという意見が出てきた。
 NHKの算数番組の活用方法は,多様だ。それを決めるのは,教師がどんな目標(評価の観点)を重視するかに依存していることを,メンバー全員で再確認した。

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2004.11.11

学校研究の成長と発展(豊中市立克明小学校の学校研究の軌跡)

 11月9日,豊中市立克明小学校の研究授業と事後検討会に参加した。(今年も)4,5時間目を使った2コマの研究授業とその協議が企画された。せわしない日程だが,内容の濃い研修となった。
 特に,5年生の国語の分割学習は,同校の学校研究の成長と発展を物語るデザインであった。2クラスを3つのコースに分割して8時間の「読む力」を育成するための単元が展開されるが,ホップコースでは,少人数の児童を対象として,きめ細かな指導が実施された。ジャンプコースは人数が多いが,読む力の定着を意図して,読む活動と書く活動,話す聞く活動の融合が図られていた。そしてステップコースでは,課題研究とも呼べる探究活動が導入され,探究の過程ではICT活用も試みられる。子どもたちのそれぞれが,読む力を自己評価してコースを選択し,その獲得や充実に向き合っていた。どのコースの子どもたちも,楽しそうに課題に取り組み,読む力を高めていた。
 長く人権教育に取り組んできた克明小学校には,分割学習,少人数指導に関する実践の蓄積,資産がある。しかしそれに甘えずに,(広い意味で)習熟の程度を加味した少人数指導,発展的な学習の実践に,今年は挑戦している(私がそれを勧めたわけではない)。
 しかも,4時間目に試みられた1年生の生活科では,遊びを媒介にして,友だちや保護者等と心と体を通わせる活動を見せてもらった。コミュニケーションの基礎体験を子どもたちに提供し,その「よさ」を体感してもらおうと教師たちは考えたようだ。人権教育の基礎・基本を育む実践事例だ。
 新しい挑戦的な授業の導入とこれまでの実践の資産の継承は,決して矛盾しない。学校研究の成長と発展には,その両立,統合がむしろ必要だ。克明小学校の学校研究の軌跡が,それを端的に物語っている。

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驚異の保護者参画型授業!(大阪教育大学附属平野小学校3年生の総合的な学習)

 11月8日,大阪教育大学附属平野小学校にあいさつに出かけた。担当している学部4年生の卒論に関して,ご協力いただいているからだ。そこで,すごい実践に接した。
 第3学年の総合的な学習では,地域についての調査,その特徴の発信やそれを強化する実践に子どもたちが着手している。特に,子どもたちがプロジェクト学習の流れに添って,つけたい力を吟味し,活動を自己評価し,そして自らの成長をアピールする評価活動がたいへん充実している。
 しかし,それとともに,このカリキュラムには,保護者が数十名,「参画」している。彼らが,子どもたちの課題追究についての指導を担当したり,学級担任と協議して子どもたちの活動を評価したりしている。また,後の評価セッションでの振り返りの材料を蓄積するために,子どもたちの活動の模様をデジタルビデオカメラ等で記録している。それらの姿やアドバイスの質は,「教師」の営みに匹敵する。
 校外活動の引率や地域情報の提供者に保護者が位置づく実践なら,これまで幾度も目にしてきたが,ここまで「指導者」(教育内容に詳しいだけでは指導者にはなれない)の役割を彼らが果たしている実践に,私は,ふれたことがなかった。
 評価実践とともに,この学校が志向している「保護者参加型」の授業,カリキュラム開発の可能性の大きさを垣間見たような気がする。その全容,成果は,2月19日の同校の公開研究会にて披露される。もちろん,私も参加する。

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(写真は事前の打ち合わせの様子)

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2004.11.09

初めての放送教育(豊中市立克明小学校・森教諭のトライアル)

 11月9日,豊中市立克明小学校3年生担当の森教諭が,学校放送番組「かんじるさんすう 1,2,3!」を活用した授業実践を私に見せてくれた。彼女は,これまであまり学校放送番組の活用に取り組んでこなかったそうだが,今回,それにトライしてくれた。
 前時に,図形領域の導入場面(2時間扱い)で,『形のへんしん』を子どもたちに視聴させ,三角形や正四面体への親しみを子どもたちに抱かせていた。
 そして本時では,彼女は,番組からの発展学習を構想し,実行した。まず,番組の内容を発展させ,正方形を折り曲げて立方体が作れるかを,子どもに検討させた。次いで,立方体を切らせて,多様な展開図を作成させた。つまり番組では正三角形と立方体を用いて繰り広げられていた活動に,正方形や立方体を用いて挑戦させたのだ。それは,子どもたちの図形への興味をいっそう掻き立てることとなった。
 放送番組に任せる部分と,放送番組から発展する部分が,見事に連結されている。放送番組と教師の二人三脚の代表例だ。彼女の「初めての放送教育」は,とても充実していた。

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2004.11.07

私が心がける「司会・進行の工夫」(その1)

 最近,各学校における研究授業後の事後研,研究発表大会の全体会(パネルディスカッションやシンポジウム)等で司会を仰せつかることが多くなった。学会や各種セミナーでも,同様だ。
 自分では一生懸命やっているだけなのだが,割と褒めてもらえることが多い。最初は意外だったが,他のことに比べれば,それなりに工夫しているということなのだろうか――。そこで,自分が普段心がけている「司会・進行の工夫」,司会スキルを整理してみようという気になった。それらは,次のとおりである。

1)事前に,時間内に必ず取り扱いたいトピックを2つ,3つ,定めておく
2)スピーディーに,またテンポよく進める(長いコメントは途中で止め,要約してもらう)
3)フロアのメンバー間でコミュニケーションを繰り広げる機会を設ける
4)コメントを促すには,壇から降りて,直接マイクを向ける
5)抽象的なコメントは,具体化を促す(例:それは今日の授業のどこに現れていましたか?)
6)あいまいな質問は,その意味するところを翻訳したり,焦点化したりしてから,当事者に答えてもらう
7)個人攻撃になりそうなコメントは,「では,あなたならどうしますか」と切り返す
8)最後のまとめのパートでは,議論を総括する図式を描き,提示する(事前にある程度準備できるはずだ,1)で述べたように,議論のポイントはある程度定まっているのだから)

 とりあえず思いつくままに書くと,こんなところだろうか。「その2」を後日披露しよう。

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2004.11.06

参加型研修会をコーディネーションする難しさ(放送教育全国大会「デジタル時代の授業創造講座」)

 11月6日,NHKふれあいホールで,放送教育研究会全国大会(第2日目)が開催された。この日は,すべて全体会で,午前中は全放連基調提案と対談が,そして午後はNHKプレゼンテーション,デジタル時代の授業創造講座,そして大会総括の場が設定された。
 私は,授業創造講座のコーディネータを仰せつかり,虎の穴卒業生の戸川さん(鹿児島県薩摩川内市立鳥丸小学校教諭)とともに,NHK学校放送番組「びっくりか」に連動したデジタル教材,とりわけ「クリップ」の活用方法に関するワークショップを運営した。
 自分なりにワークショップの課題,作業,資料等を工夫し,さらには進行についてもテンポよくなるように留意したつもりであるが,いかんせん,参加者には,幼保から中高等学校,さらには養護学校等の先生方も含まれている。そこで,小学校の授業づくりについて検討するのであるから,やはり無理があった。参加者の一部から「指導内容が分からない」と言われ,あわてて学習指導要領の内容等を示すといったドタバタ劇となった。
 参加型研修会のデザインは難しい。それが成立するためには,あらかじめ参加者の背景をデザインする側がしっかり把握し,そのニーズに応えられるようにコーディネーションしなければならないことを再認識した(といっても,今回はどうしようもなかったのであるが――)。

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2004.11.05

放送教育全国大会実践研究交流会(デジプロメンバー小林教諭の奮闘)

 11月5日,立川市立幸小学校で放送教育全国大会が開催された(小学校会場)。公開授業,授業別交流会に続いて,実践研究交流会が2分科会で催された。そのひとつで,杉並区立浜田山小学校の小林教諭のNHK学校放送「日本とことん見聞録」の『めぐりゆく食べ物』を活用した授業実践が報告された。全放連教育放送デジタル化対応プロジェクトの研究の一環を披露するものだ。私も,コーディネータ兼司会として,この分科会に参加した。
 彼女による15分の報告の後,番組とデジタル教材の活用,社会科の学力向上について,20分ほど協議した。極めて短い時間であったが,5,6名の参加者から,様々なコメントが出てきた。私は,それを受けて,確かな学力の育成に対する小林実践の意義を説いた。
 短い時間での報告,私の突っ込みに対する返答,参加者からの難しい質問に対するリアクションと,難しい課題が続いたが,彼女は,それに,よく耐えた。そのがんばりを大いに讃えたい。

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2004.11.04

それぞれの学校研究(M市の校長研修会にて)

 4日,M市の校長研修会の講師を仰せつかり,講演を担当した。「学力向上と授業研究の進め方」が,そのタイトルだ。冒頭,各校長に,学校研究のテーマと推進の工夫を報告してもらった。M市は大阪府内でも研究熱心な地域として知られているだけあって,どの校長からも「うちの学校の取り組みの特色は――」という自信に満ちた声が聞こえてきて,それらの多様性とともに感心させられた。各学校の取り組みの必然性にも納得させられた。「それぞれの学校研究」が誕生し,成長しているM市のような地域が増えることを切に願う。
 ただし,講演後の質問タイムになっても,なんらリアクションが無く,担当窓口の方によると,「校長間で牽制しあっているので」とのことだった。やっぱり,講演と質疑応答の研修スタイルには限界があることも,残念ながら,再確認した1日であった。

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2004.11.02

小学校と中学校の合同研究発表会(豊中市立南桜塚小学校と同第三中学校)

 2日,豊中市立南桜塚小学校と同第三中学校による「学力向上フロンティア事業」の合同研究発表会が催された。午前中に南桜塚小学校で2コマ,午後第三中学校で1コマ,授業が公開された。公開授業後には,合同の全体会や分科会が運営され,「学びをつなぐ」ための営みについて,提案や意見交換の機会が準備された。
 小中学校の公開授業については,学力向上という点からすると,十分ではないと思われる点もいくつかある。分科会のデザインについても,異論を唱えたい。しかし,小中で合同研修会・授業研究会を持ち,学力向上の連携を推進し,その成果を合同研究発表会の開催に結実させた努力には,敬意を払いたいと思う。

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