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2005.01.14

10年目の教師にふさわしいチャレンジ

 14日,NHK学校デジタル羅針盤の第16回が放送された。この回は,豊中市立克明小学校の森真理子教諭の「かんじる算数 1,2,3!」の活用を題材として,教師の「自己研修」のあり方を提案することが番組のねらいだった。
 森先生の自己研修の課題は,算数の学力向上を実現するための授業改善であり,そのための手法としてNHK学校放送番組の活用を試みたわけである。彼女は,学校デジタル羅針盤のWebページで他の教師の番組活用プランや記録を入手したり,放送教育の研究サークル(我が「なにわ放研」)の仲間からアドバイスをもらったりして,番組の役割,それを適切に位置づけた単元デザインを検討した。その結果生まれた授業の様子は,このblogの12月15日に「教師と放送番組のいい関係(豊中市立克明小学校・森教諭の番組利用)」で紹介したとおりである。
 ここで,あの授業に至るエピソードを紹介したい。実は,彼女が自らの授業案をなにわ放研で発表した際,私は,彼女が持参したプランが放送番組を分断利用するスタイルになっていたことについて異論を述べた。授業のねらいが立体に対する関心・意欲を高めることに焦点化されるのであれば,番組のいかなる場面に子どもたちが惹きつけられるかは,視聴させてみないと分からない。だから,丸ごと視聴,子どもたちの反応に応じた柔軟な展開の必要性を訴えた。彼女は,それに「いったん」納得し,指導案を修正した。
 ところが,授業実施当日,番組利用のスタイルは,分断利用に戻っていた。「よくよく考えたら,自分のクラスでは,番組を分断して利用して,活動をていねいにした方がいいと思って」とのことだった。私のアドバイスは結局(表面上は)生かされなかった。しかし,それでいいと思う。授業は一期一会の営みであるから,分断の場合と丸ごとの場合を比べることはできない。だから,どちらの方法がよかったのかは,誰にも分からない。大切なことは,授業者が,例えば番組活用といった検討課題について,詰めて考えること,特に研究者が述べる一般論を踏まえつつも,自らの実践史やクラスの独自性を尊重した意思決定を繰り広げることだ。そうした意味で,彼女の今回の授業づくりは,(教師が自らの授業力量の特徴化を図る時期にあたる)10年目の教師にふさわしいチャレンジだったと思う。
 授業直後にも12月28日のなにわ放研でも,彼女は,子どもたちの番組視聴の様子を振り返りながら,「やっぱり,丸ごと利用の方がよかったかも――」「でも,○○という点だけは,分断利用の効果があったと思う」と研究授業の自己評価を展開していた。そのようなリフレクションも,彼女のこれからの番組利用,授業づくりに資するはずだ。

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