2005.01.30
28日,日英の教育交流に関する財団,ジャパン21のエグゼクティブ・ディレクター,ハイディ=ポッター氏をお招きして,虎ノ門の松下教育研究財団で教育における国際交流に関するプチセミナーを開催した(お部屋を貸してくださった財団の三田課長,ありがとうございました)。静岡大学の堀田先生と私の共同企画・運営だ。
ポッター氏のプレゼンテーション,全員でのディスカッションの後,総括タイムが設けられたが,私は,それを任された(堀田先生に任せたかったのだが――)。教育における国際交流の意義,その多様性を整理した後,交流方法の多様性について言及した。また,最後に,各学校において国際交流をスタートさせたり,充実させたりするためには何をすべきかについて,ある学校において国際交流学習のカリキュラムを構築した教師の語録を紹介した。以下のとおりである。
「誘われたから,アメリカに行っちゃいましたが,(異国での経験が)もう楽しかったです」
「(パートナーは)10分の1ぐらいの確率でしか見つからないので,返信が来なくてもメゲません」
「(国際交流は)実施時期が大事ですから,1学期の情報活用スキル等を活用する形で,3学期に集中的に実施することにしました」
「保護者を巻き込むとやりやすくなります」
「成果を廊下に掲示して,同僚にアピールしました」
「先生方に楽しんでもらう研修を,成果を実感できる研修をやると,同僚の(国際交流学習への)意欲が高まります」
「(国際交流について)いろいろ批判をする人もいますが,(子どもの成長の)事実が大きくものを言いますから」
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.29
28日,日英の教育交流に関する財団,ジャパン21のエグゼクティブ・ディレクター,ハイディ=ポッター氏が関西大学総合情報学部にて,日英教育交流の現状と課題について講演をしてくれた。彼女には,私や静岡大学の堀田先生が彼の地の学校を訪問する際に,そのアレンジをお願いしている。
今回,関西大学総合情報学部の久保田賢一先生が代表者になっておられる科研の研究活動の一環で,彼女の招待講演等が実現した。
講演会では,実践事例を参照しながら,英国教育雇用省の国際交流に関するポリシー,実践事例とそこに確認される問題点などを明快に示してくれた。彼女のプレゼン後の議論においては,相互にメリットのあるテーマの設定,コーディネーション,交流スパンの熟慮などの重要性に関する意見が交換された。

| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.28
28日,こちらからお願いして,箕面市立西小学校を訪問させてもらった。英国訪問時にお世話になった日英の教育交流プログラムのエグゼクティブ・ディレクター,ハイディ=ポッター氏の要請に応えるための学校訪問だ。
同校では,2年生の英語活動,4年生社会科におけるWebによる調査などを見学させてもらった上に,給食までごちそうになった。校長先生他の先生方,本当にありがとうございました。
2年生の英語活動では,学級担任とチームを組んでいる,英語活動ボランティアが大活躍している様子を見ることができた。彼女の発音はとてもきれいだし,なにより,彼女は,子どもを英語活動に引き込む技をお持ちであった。子どもたちが,彼女のリードで,英語活動への気持ちを高めていた。小学校の英語活動の展開における多様な人材の活用可能性,その必要性を感じた1日だった。

| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.27
私は,大阪市立大学の大学院・人間行動学専攻・教育学専修では,学校教育学研究IIと学校教育学研究演習2を担当している。今日,後者は,今年度の最終回を迎えた。
今年度,この演習では,Reflective Teachingに関するアンソロジーを題材にした。Andrew Pollard et al.(eds.) (2002) Reflective Teaching. Continuum, Londonだ。英国では,研究者としての教師(Teacher as Researcher)という概念が早くから台頭し,発展している。テキストの購読とその内容に関する討論を通じて,受講生に,反省的教授の背景,手順等について,その明確化を試みてもらった。
Jennifer NiasのFeeling like a teacher,Lucy O’Hara and Mark O’HaraのThe role of the subject coordinator,Geoff Southworth, Jennifer Nias and Penny CampbellによるThe culture of collaborationなどを読み,英国の反省的教授の研究動向を的確に把握できたと思う。
英文購読は,うちの大学院のように,必ずしも授業研究や教師研究を専門とはしない大学院生が履修している演習では実施しにくいと思っていたが,いい題材を選べば,そんなことはないと分かった。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
25日,18:30~21:00,NHK大阪で,第21回なにわ放送教育研究会が催された(会議室のアレンジを担当してくださっているNHK大阪の奥西さん,ありがとう)。26日に授業を撮影されることになる,浅香さんのプランの検討等を進めた。
この日の参加者は,私を入れて,7人。最近になく,参加者が少なかった。このblogの読者も,きっと研究会に参加したり,それを主催したりしている人が多いに違いない。研究会の参加者が少ない日に,なんだか寂しくなることがあるだろう。私も,10年以上,様々な研究会に参加しているが,かつて,研究会の参加者が減少して,それに歯止めをかけられなくて,なんだか寂しい気持ちになったことがあった。
しかし,今は,あまりそれを気にしなくなった。少なければ,参加者は,3人でもいいと思っている。人にはそれぞれ都合がある。体調,校務,プライベート,様々な理由で,心ならずも研究会を欠席せざるを得ない場合が誰にでもあるからだ。また,なんらかの理由で少人数になった場合でも,「だから密に議論できる」とか「発言のチャンスが多い」,「懇親を深められる」と考えると,得をした気分にもなる。
そういう考え方に立脚すれば,不思議なことに,研究会は(浮き沈みはあるが)なぜだか継続する。私は,授業づくりに関する研究会は,100回は継続させたいと願っている。なにわ放研は,それを満たすことができるだろうか――。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.26
26日,守口市立三郷小学校の浅香一世教諭がNHK学校放送番組「わかる国語 読み書きのツボ」『どきどきすることば』を活用した授業を実施した。「学校デジタル羅針盤」第19回でこの授業を解説する役割を仰せつかっているので,私も,見学に出かけた。
今年度,浅香さんは,「わかる国語 読み書きのツボ」の継続利用に取り組んでいる。春にも,この番組を活用した実践に挑戦し,やはり「学校デジタル羅針盤」で,それが紹介された。
今日は,「ふらふら」とか「どきどき」といった言葉を用いて豊かに表現する能力を養うことが授業の目標,そして評価の観点に据えられていた。そのための動機づけやモデル提示として,『どきどきすることば』の視聴が授業過程に位置づけられた。
浅香さんの指導過程の工夫は,視聴後の評価場面に代表される。彼は,ここで番組ホームページを用いて,「ふらふら」等の表現に関する子どもたちの理解を確認した。番組ホームページに用意されている,「にこにこ・はきはきゲーム」にはそうした表現に関する問題が5問準備されているので,それを示しながら,番組で示された表現を子どもがどの程度吸収したかを浅香さんは確かめていた。ゲームへの取り組み,その正誤を観察して,「宝物をさがしに」という創作に取り組ませる際に指導のターゲットとする子どもを同定していたのだ。ホームページのコンテンツは,一般には情報収集とか理解やスキルの定着に用いられることが多いけれども,評価の題材としても役立つことを彼は実践で具体的に示してくれた。

| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.23
23日, 新大阪で,eCCプロジェクトの最終オフミが開催された。このプロジェクトは,カリキュラム・コーディネータ養成のためのe-Learningプログラムの開発研究だ。松下教育研究財団の平成16年度研究開発助成を受けて進められている。
このオフミでは,メンバーに,プロジェクトの活動の最終ステージで,所属校の次年度の総合的な学習のカリキュラム開発を進展させるためのアクションプランを策定し,報告してもらった。
その後,ゲーム性のある,グループ間交流活動を展開した。今回は,柔道の試合形式を採用してみた。メンバーは,まず2グループに分かれてプランを報告する。各グループでは,評価規準に基づき,相互評価して,グループ代表たるプランを決定する。その後,もうひとつのグループに向けて,グループ代表がプレゼンをし,それを残るメンバーやファシリテーターが応援演説で支える。もちうろん,相手チームは,プレゼン等に対して質問や意見を投げかけて,相手チームの弱点を探る。最後に,2つのグループのプレゼンや応援演説を審判団が判定して勝敗を決するという流れだ。
グループ代表の発表や応援ではプランの特長をアピールしようとして,全員が工夫を凝らしていた。また,その後の質疑応答はで,するどい突っ込み,鮮やかな弁明,そして困った時には「ぼけ」の応酬が続いた。なによりそれは,笑いに満ちていた。やはり,集合研修は,楽しいのがいい。e-Learninだけではこうはいかないから。

| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.22
1月22日(土)午後,岡山のピュアリティまきびで,「社会・生活・総合学習研究会」岡山セミナーが開催された。80名以上が参集し,盛況だった。また,基調講演,事例報告,パネルディスカッションと社会科の独自性をどう定めるか,総合的な学習といかに連結させるかについて,理論的,実践的に検討できた。成功裡に終わり,企画・運営側としてはほっとしている。
このセミナーの準備,運営には,かつて,私が会長を務めていた「岡山総合的な学習研究会」の面々から多大なる支援を受けた。彼らの協力無しには,この会は成立しなかった。岡山大学在籍時代に一緒に研究会でがんばった仲間とのいい関係が,今の新しい営みにつながっていることが嬉しいし,それを誇りに思う。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.21
昨晩,NHK教育テレビジョンで,『わくわく授業-わたしの教え方-』を見た。有名な教育実践家を紹介するシリーズの1本で,あの齋藤喜博の仕事(飛び込み授業や教授学研究の集いにおけるアドバイスの様子等)が,記録映像を用いて,紹介されていた。
一方,今朝,私も出演している,同じくNHKの『学校デジタル羅針盤』で,ある女性教諭の授業づくりへの挑戦が映像化された(再放送だったが――)。これは,このblogの12月15日の「教師と放送番組のいい関係」という記事で言及した実践だ。
2つの番組で示された,教師たちの自己研修には,コンセプトの違いがある。名人教師のパフォーマンスによる啓発とまだ若い教師たちの試行錯誤は,極めて対照的だ。まるで演劇かフェスティバルのような大がかりな授業研究や集会と,ひっそりとしかし継続的に開催されている勉強会は,趣を大きく異にする。
おそらく,いずれの自己研修も,教師の力量形成に資するものなのだろう。ただ,今日,より重視すべきなのは,それぞれの教師がより主体的に参画し,より共同的に授業の創造に取り組めるスタイルの自己研修であると思う。研修のスタイルにも,「時代性」があると感じた。それは,教師,授業,カリキュラム,研修などに関する概念の成長を意味していると思う。また,総合的な学習の時間の創設,Webなどのインフラ整備が,それを強化していると思う。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.18
このblogでもたびたび紹介してきた,「ぎょうせい」『悠』における連載「教師が磨き合う学校研究」だが,いよいよ連載最終回の原稿を提出する時期となった。今日は,その原稿の仕上げにかかった。
連載は締め切りを遵守しなければならないので,プレッシャーが大きい。だから,これまでは,あまり好きではなかった。けれども,この連載については,締め切り破りはほとんどなく,順調に原稿を提出できた。やはり,執筆への意欲は,その内容に規定される。自分が本当に書きたいと思うものなら,そう苦痛ではないことが分かった。
連載最終回のタイトルは,「学校研究の発展に向けて」である。年度をまたいで研究を継続・発展させることの意義と可能性,その視点や活動について言及するとともに,連載を振り返り,各学校における実践研究への期待を簡単に述べる。来月下旬には出版されるので,学校研究を発展させようとする先生方には,ぜひこれをお読みいただきたい。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.17
本日,「教職概論」の講義で,タイ,インド,フィンランドの教師の姿を映像で提示した。教職議論の講義は大きく3つのパートで構成されているが,第3のパートは,教師の多様性がキーワードだ。第11回は,教職経験と教師の発達課題について言及した。
本日の講義(第12回)では,諸外国の教師の授業づくり等を受講生に紹介し,社会・文化的要因が教師に期待されるものを変える,少なくともその強調点を変えることを論じた。例えば,タイでは担当する科目が数多く,学級定員が80名にも及ぶので,衛星放送で示される他の教師の授業映像を,自らの授業に取り入れる教師がいるといった事例を学生に提供した。
同時に,講義の最後に,それでも,あらゆる国の教師に共通する点があるのではないかと受講生に問うてみた。「創造性の発揮です」と答えてくれることを期待して。それに近いコメントが聞けて,安心した。
児童・生徒の実態を見つめ,時代や社会の要請を受け止め,自らが置かれた条件をかんがみ,自分なりのアイデアを生かして授業をデザインし,実行する。そうした創造性の発揮を,どの国の教師たちも,苦しみながら,楽しみながら,続けている。今日の講義を終えて,またそう実感した。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.16
14日,新大阪で再び,「学力向上のための基本調査2004」(ベネッセ教育総研等との共同研究)の最終報告書の執筆内容検討会が開催された。
私の担当する章は2つあるが,そのうちの1つは,「総合教育力の向上を目指す学校の取り組みの発展~学校改革への針路~」というタイトルで,学力向上に向けた総合教育力=教師たちの指導,学校経営,そして家庭教育の充実に関するプロセスモデルの提案だ。
学力の実態を6タイプ(7タイプから変更)に分類し,そのタイプごとに教育力の実態を分析してみると,両者の関連について,いくつかの代表的なパターンが浮き彫りになる。それらを示した後,いくつかの学校について,その処方を提案するというのが,私に課せられた課題だ。けっこう難しい作業だが,「学力向上は一朝一夕には成らず」「各教師の持ち味を生かせる学力向上の営みを」「学校の実践史を生かした学力向上施策を」と主張してきた私としては,学力向上に資する処方をきちんと提案することで,自分の論に説得力が出てくるわけだから,がんばらざるをえない。締め切りまで時間がないが,なんとかしたいと思う。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.15
13日,渋谷のNHKで,全放連・教育放送デジタル化対応ミレニアムプロジェクトの委員会が催され,私も出席した。5年の長きにわたって,NHKデジタル教材の活用に取り組んできた,この研究プロジェクトも,いよいよフィナーレを迎える。
5年間の研究成果を総括するために,現在,最終報告書の原稿をメンバーは執筆中だ。今年度の授業研究の営み,デジタル教材活用事例とその集約(全国マップ),デジプロの5年間の歩みなど,盛りだくさんの内容だ。これを読めば,デジタル教材活用に対する全放連の姿勢や展望がよく理解できるであろう。
この研究プロジェクトは,デジタル教材という新しい潮流に対する,全放連の挑戦であった。当初は,IT環境の整備などがネックになり,思うように実践化が進まなかった。しかし,それが整備されるのと同時に,デジプロのメンバーは,総合的な学習や教科学習において,放送番組のよさを補完したり,強化したりするために,デジタル教材を自らの授業に取り込んでいった。そして,それは,例えば目標に準拠した評価の実現,個に応じた指導の展開など,学力向上を志向した実践と結びつきを強めていった。
さらに,この研究プロジェクトを推進する過程で,メンバーは,研究ネットワーク構築の方法論を会得したように思う。地方の放送教育実践家との共同研究の展開,そのための舞台たるWebページの構築,研究成果公開に役立つリーフレットの作成やワークショップの開催など,全放連の研究はより立体的に企画・運営されるようになった。
デジプロは終わりを迎えるけれども,メンバーがこの5年間に培った知恵やスキルや意志は,これからの全放連の研究に資するに違いない。4年以上も彼らの苦労を見つめてきた私はそれを確信している。
放送番組の活用に取り組む,興味のある方は,3月末に刊行される最終報告書をぜひ入手してもらいたい。連絡先は,ここだ。

| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.14
14日,NHK学校デジタル羅針盤の第16回が放送された。この回は,豊中市立克明小学校の森真理子教諭の「かんじる算数 1,2,3!」の活用を題材として,教師の「自己研修」のあり方を提案することが番組のねらいだった。
森先生の自己研修の課題は,算数の学力向上を実現するための授業改善であり,そのための手法としてNHK学校放送番組の活用を試みたわけである。彼女は,学校デジタル羅針盤のWebページで他の教師の番組活用プランや記録を入手したり,放送教育の研究サークル(我が「なにわ放研」)の仲間からアドバイスをもらったりして,番組の役割,それを適切に位置づけた単元デザインを検討した。その結果生まれた授業の様子は,このblogの12月15日に「教師と放送番組のいい関係(豊中市立克明小学校・森教諭の番組利用)」で紹介したとおりである。
ここで,あの授業に至るエピソードを紹介したい。実は,彼女が自らの授業案をなにわ放研で発表した際,私は,彼女が持参したプランが放送番組を分断利用するスタイルになっていたことについて異論を述べた。授業のねらいが立体に対する関心・意欲を高めることに焦点化されるのであれば,番組のいかなる場面に子どもたちが惹きつけられるかは,視聴させてみないと分からない。だから,丸ごと視聴,子どもたちの反応に応じた柔軟な展開の必要性を訴えた。彼女は,それに「いったん」納得し,指導案を修正した。
ところが,授業実施当日,番組利用のスタイルは,分断利用に戻っていた。「よくよく考えたら,自分のクラスでは,番組を分断して利用して,活動をていねいにした方がいいと思って」とのことだった。私のアドバイスは結局(表面上は)生かされなかった。しかし,それでいいと思う。授業は一期一会の営みであるから,分断の場合と丸ごとの場合を比べることはできない。だから,どちらの方法がよかったのかは,誰にも分からない。大切なことは,授業者が,例えば番組活用といった検討課題について,詰めて考えること,特に研究者が述べる一般論を踏まえつつも,自らの実践史やクラスの独自性を尊重した意思決定を繰り広げることだ。そうした意味で,彼女の今回の授業づくりは,(教師が自らの授業力量の特徴化を図る時期にあたる)10年目の教師にふさわしいチャレンジだったと思う。
授業直後にも12月28日のなにわ放研でも,彼女は,子どもたちの番組視聴の様子を振り返りながら,「やっぱり,丸ごと利用の方がよかったかも――」「でも,○○という点だけは,分断利用の効果があったと思う」と研究授業の自己評価を展開していた。そのようなリフレクションも,彼女のこれからの番組利用,授業づくりに資するはずだ。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.12
本日,本学の大学教育研究センター教授の矢野先生(英国通!)と院生2人で,9月に英国で入手した資料の購読会を開催した。それは,このblogでも紹介した,Excellence and Enjoymentという政府刊行物だ。2003年12月に発表された,まあ英国版遠山アピールといったところだろう。この刊行物は8章から成るが,実に多様な観点から,学力向上と学校改革の理念や具体的方策が語られている。
読み書き,計算の重要性を再確認しつつも,例えば教授組織の工夫を他の教科にも適用していくべきであること,クロスカリキュラアプローチを再評価していくことなどが推奨されている。そして最も強調されていたのが,「リーダーシップの重要性」である。校長のリーダーシップ,校長とミドル・リーダーとの連携などが機能しないと「何も改革できない」と記されていた。
2月初旬に,再度購読会を開催する予定。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.11
このblogでも時々紹介していると思うが,私は,静岡大学の堀田さんとともに,放送教育指導者養成講座(通称:虎の穴)のコーディネータを務めている。この講座は,放送教育実践のリーダーを養成するためのe-Learningプログラムだ。毎年,全国の中堅教師9名程度が,これに参加する。指導者たる資質を念頭に置き,6つの課題が用意されている。参加した教師たちは,個人であるいはグループで,課題解決のための情報収集作業,分析・考察,レポート作成などに勤しむ。そして,それらを,この講座の卒業生6名がメンターとしてサポートする。
参加者数,メンターなどからすると,一般的なe-Learningのイメージとはほど遠いだろう。ある研究者にこの営みを紹介したら,「手をかけすぎている」と批判されたことがあった。しかし,かけた時間や経費,エネルギーにみあうだけの成長を参加者に感じる。ミドルリーダー,しかも放送教育のように学校や地域をまたいだ人脈が必要とされる領域のリーダーは,きめ細かなe-Learningプログラムでしか育たないと私も堀田さんも考えていたし,この講座を続けていて,ますます,その意を強くしている。
現在,第4課題の解説文推敲,第6課題の問題文作成が佳境を迎えている。いよいよ4期生の研修もラストスパートを迎える。メンターとともに,私や堀田さんもがんばらねばならない。参加した教師たちの熱心さに応えるために。彼らの成長が嬉しいから。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.10
静岡大学・情報学部の堀田先生が主催で,毎年1月初旬,「自分の教育実践を研究にする方法を学ぶ会」が開催されている。私も,東京大学の山内先生,奈良教育大学の小柳先生とともに,このセミナーに参加している。今年は,事例検討会,ワークショップなどにより,学校現場の教師の手による実践研究のコンセプト,枠組み,成果公開のあり方等について,より密度の濃い議論が展開できた。
ところで,この会はリピーターが多いが,群を抜いているのが,富山の情報教育実践グループの面々だ。今年は,全参加者53名中の11名を占めたと聞く。交通の便からすると,富山から浜松に来るのは,そう簡単なことではない。それにも関わらず,毎回参加している人もいる。今年は,事例検討会の発表者が富山の小学校の教師だったので,事前に2度,グループ内で発表内容・構成の検討もしたようだ。富山の情報教育実践グループの底力を見せつけられたような気がした。その努力が実る時が必ずやってくると思うし,我が「なにわ放研」も,彼らの実践研究への熱意とノウハウに大いに学びたいと思う。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.07
先日も紹介したが,1月22日(土)午後,(第三の故郷?第一は広島,第二には大阪だとして)岡山で,「社会・生活・総合学習研究会」岡山セミナーが開催される。テーマは,「社会科・生活科と総合的な学習を往復する学びと評価」だ。50名以上の方が,既に参加申込をしてくださった。岡山セミナーの案内ページをご覧いただき,興味のある方はぜひオンライン登録にて参加申込をしていただきたい。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.06
6日,まだ冬季休業中だが,大学院生と相談して,演習を2コマ分実施した。本年度後期の大学院演習では,Andrew Pollard et al.(eds.) (2002) Reflective Teaching. Continuum, Londonをテキストとして用い,受講生に,反省的教授(Reflective Teaching)の概念や研究の展開に関する理解を深めてもらうことを目指している。
本日は,同書の8.7, Lucy O’Hara and Mark O’Haraによる The role of the subject coordinatorなどをレポートしてもらい,その内容を議論した。英国の教科コーディネータ(subject coordinatorやcurriculum coordinatorなどと呼ばれる)が果たす役割は,大別して,指導計画の作成,リソースの管理,そして同僚に対する研修にまとめられることを確認した。そして,それが,教育改革の動き(例えば読み書き計算重視の教育政策)に翻弄されていること,コーディネーションスキルを彼らが獲得する場面が養成・現職教育に見あたらないことなどについて,議論した。
| Permalink
|
| TrackBack (1)
2005.01.04
3日早くも,新大阪で,先月23日も紹介した「学力向上のための基本調査2004」の最終報告書の執筆内容検討会が開催された。
私の担当する章は2つあるが,そのうちの1つは,「総合教育力向上に向けた取り組みのステップ」というタイトル(仮)で,学力向上に向けた総合教育力=教師たちの指導,学校経営,そして家庭教育の充実に関するプロセスモデルの提案だ。そして,その前提として,
そのモデルを作成する前提として,今回,私は,調査結果に現れてきた子どもの学力(教科学力,学びの基礎力,生きる力)実態から,学校を7タイプに整理することを提案し,了承してもらった。それは,理想型,平均(特色無し)型,全般的問題型,教科学力充実型,教科学力弱点型,学びの基礎力未確立型,生きる力脆弱型である(ネーミングについては,今後変更はあるだろうが)。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.02
今日も卒論チェック。思った以上に時間がかかる。現在,二人分――。
昨日は今年の研究課題について叙述したが,今日は,それと関連する,平成17年の論文・著書等の研究アウトプットについて,ちょっとした宣言(?)をしてみたい。
ひとつは,メディア・リテラシー教育に取り組む二人の教師を対象として実施したライフストーリー研究の論文化である。二人の教師に多大なる迷惑をかけただけに,なんとしても論文にして公にしたい。論文としては,もうひとつ。eCCプロジェクトについての速報だ。ミドルリーダーを対象とする教員向けe-Learning,しかもカリキュラム・コーディネーションに関する力量形成を志向したものは皆無であるから,その存在を早く明らかにしたい。
そして,著書としては,現在,ぎょうせい「悠」に連載中の「教師が磨き合う学校研究」の単行本化だ。出版不況の折,これが実現するかどうかは,はっきり言って,分からない。しかし,前向きに準備をしていこうと今は考えている。オリジナリティはあると思う。学校を単位とする実践研究を,組織や経営論ではなく,授業研究の見地から,またカリキュラム開発を視座として,論じた著書はそう多くないからだ。水越敏行先生の『授業改造と学校研究の方法』(明治図書,1985年)くらいだろうか。あの内容に,教師の共同的成長,成長する学校という視点を加えて,新たな「学校研究」論を展開し,世に問うてみたい。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
2005.01.01
元旦の午後から,先にも言及した卒論チェックを続けている。まだ一人分しか――。
ところで,年頭にあたって,今年の研究テーマについて,考えてみた。単なる覚え書きにすぎないが,まとめてみよう。どうやら,大別して,二つの課題があるようだ。
一つは,カリキュラム・コーディネーションの記述とそれを踏まえた現職教育プログラムの開発である。二校の「総合専科」教師の同僚への働きかけの記述とモデル化,eCCプロジェクトと続いてきた,このテーマには,科研の終了とともに,とりあえず決着をつけたい。
ただし,例えば英国の中等学校で出会った「学力テスト実施・公開担当主任」が果たしている役割なども視野に入れて,学校評価とミドルリーダーの果たす役割を関連づける可能性を志向すべきかもしれない。ベネッセ教育総研の総合学力・教育力調査プロジェクトも,その枠組みにならば位置づけられるかも――。
もう一つは,教師のライフストーリーの記述である。ここ3年ほど,メディア・リテラシー教育に取り組む二人の教師を対象とする,ライフストーリーの記述・モデル化,あるカリキュラム・コーディネータの方策と彼のライフストーリーとの連関のモデル化などに挑戦してきた。今,自分で一番おもしろいと感じる研究課題だ。もちろん,これをいっそう充実させるためには,ライフストーリーやライフヒストリーの方法論にもっと長けなければいけないし,それを教育工学研究に適応させる術を会得しなければならない。
なお,もしかしたら,教師ではなく,学校を単位とする「スクールストーリー」研究へとこれを発展させるのが,学校との共同的な関係を築く機会が多い,現在の自らの研究活動スタイルにマッチしているのかもしれない。そうすれば,それは,第一の研究テーマともさらに強く結びつく。
| Permalink
|
| TrackBack (0)
Recent Comments