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2005.05.31

日中合同の質問紙調査(華東師範大学教育科学学院との共同研究)

 ここ数日,「都市における学校改革とカリキュラム開発」というテーマのプロジェクト研究の一環として実施する,質問紙調査の編集に時間を割いている。このプロジェクト研究は,大阪市立大学・大学院文学研究科のCOE事業の1つとして企画・運営されているものだ。
 この調査は,大きく,1)学校の概要,2)学力観,3)学力向上への取り組み,4)総合的な学習の時間のカリキュラムや指導,5)総合的な学習の時間の典型事例,6)校内研修から成る。ミドルリーダーたる,教務担当者に回答してもらう。
 都市における学校改革とカリキュラム開発の現状と課題を,日中比較,都市と地方の比較などを通じて,明らかにできると思う。特に,学力のとらえ方,学力向上の方策,総合的な学習の枠組み,校内研修のアプローチなどに関する,日中の異同に,私としては注目したい。

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社会科における情報教育の実践事例(坂出附小の教育研究発表会の授業から)

 一昨日の家庭科,そして昨日の体育における情報教育の実践事例に続いて,今日は,社会科の例を紹介したい。これも,香川大学教育学部附属坂出小学校第89回教育研究発表会の2日目の授業だ。
 この授業では,5年生の子どもたちが,「サワラの放流」を題材にして,資源管理型漁業について学習する。本時の目標は,「サワラの放流場所の分布図や年表を調べ,サワラを増やすために誰がどのような取り組みをしてきたのか,前時に立てた予想を確かめ,サワラの資源管理が,県域を越え,漁業者と国や県が協力して取り組んできたことを関係図に表す」ことである。DSC08785DSC08786
 坂出附小の研究テーマは「思考力の育成」であり,そのために教材開発と「反応の組織化」に教師たちは取り組んでいる。それらも確かに見事であったが,私は,この授業の写真のような情報手段を高く評価したい。この授業では,目標にも記されているように,地図や年表が駆使されている。また,思考を「モデル図」にまとめていく。それらのアプローチは,社会科学の基本的な研究方法だ。つまり,この授業も,一般的な情報活用ではなく,社会科学的情報活用をきちんと踏まえている。子どもたちがインターネットを使うわけでも,コンピュータを活用したプレゼンテーションに着手するわけでもないけれど,社会科と情報教育のいい関係が保たれている。
 ただ,坂出附小の社会科はいつも一斉授業スタイルで,資料を検討するタイプである。子どもたちが,フィールドワーク等に取り組み,参与観察やインタビューを繰り広げて地理学・人類学的な研究に挑戦する姿も見てみたい。それもまた,社会科と情報教育の連結点だから。

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2005.05.30

体育科における情報教育の実践事例(坂出附小の教育研究発表会の授業から)

 昨日の家庭科における情報教育の実践事例に続いて,今日は,体育科の例を紹介したい。香川大学教育学部附属坂出小学校第89回教育研究発表会の2日目に観察した授業に,それを確認できた。DSC08796
 この授業では,6年生の子どもたちが,修学旅行の想い出を題材にして,それをダンスによって,表現しようとする。その際,担当教師は,子どもたちに,「時間」「空間」「仲間」という観点を与えて,自らの表現を分析させ,動きを多様化するように求めていた。写真の色画用紙,付箋紙部分がそのための「分析シート」だ。子どもたちは,このシートを用いて,自分たちのダンスの改善ポイントを同定し,また自覚して,より豊かな表現を実現しようとする。体操やシンクロなどの競技者が,コーチとともに,動きを要素に分割したり,それを合成したりして,自らの演技を点検・評価している姿に,それはよく似ていた。
 なお,そのために,子どもたちが自らのダンスの映像記録をコンピュータにキャプチャーして,より緻密な分析にも着手できるように,教師は学習環境を整えていた。それにも感心させられた。
 さらに,各回に「今日の演出家」を設定するとか,単元の終末に「ダンスコンテスト」を準備するといった発想には,いわゆる「真正の学習」への志向性も確認されたが,それも,体育科における情報教育の展開を活性化するものであろう。「体育科らしい」,情報の収集・分析・加工等が喚起されるから。

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2005.05.28

家庭科における情報教育の好例(坂出附小の教育研究発表会の授業から)

 26・27日と,香川大学教育学部附属坂出小学校第89回教育研究発表会に参加し,そこで様々な授業を見た。
6年生の家庭科における情報教育の展開が印象に残った。写真にあるように,この授業では,直接店で,カタログ販売で,そしてインターネット販売でという3種類のTシャツ購買方法を子どもたちに比較検討させ,それぞれの長短所を把握させ,そして,自らの消費生活を吟味・構想させようとするものであった。
 子どもたちは,グループに分かれて,各購買方法の特徴や実態を追究する。その活動は,いわゆる情報活用の実践力の育成に資するものである。(授業者の得意技であるが,)集めた情報を,子どもたちは,レーダーチャートに整理して,考察したりもする。DSC08600
 しかしそれに加えて,この授業には,情報社会における消費生活に関する,教育内容がたくみに設定されており,子どもたちはその理解や会得にも着手する。それは,情報社会の進展,その光と影,それらと家庭生活(消費生活)の関係などである。内容が濃く,しかし,それが教師による注入にはなっていない,換言すれば,子どもがそれらについて,自ら思考し,意思決定するように,学習過程が構成されている。
 家庭科における情報教育の展開として,好例である

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2005.05.27

参加型協議会は75点?(坂出附小の教育研究発表会・第2日目にて)

 27日,香川大学教育学部附属坂出小学校第89回教育研究発表会の2日目,6年生の国語科の読解に関わる授業を題材にした,参加型協議会が開催された。「トップダウン型処理のできる教材」を用いて,「要旨」をまとめる力を子どもに獲得させ,応用させようとする授業だった。
 授業後,50名程度の参加者を得て開催された協議会では,私が,司会役を務めた。附属の研究発表会の協議会で研究者が,しかも母体の教育学部の所属ではない人間が司会役を務めるのは,まれなことであろう。
司会スキルを発揮して,私なりに,「それぞれが思考力の育成について考える」協議会になるように努めた。例えば,意見を集約したり,話し合いタイムを設定したり,話し合いタイムのグループの討議の模様を即時中継したりして――。発言者も参加者の7割は少なくともカバーしたであろう。
 しかしそれでもなお,改善の余地がある。自己評価すれば,本日の協議会は,75点くらいであろう。例えば,協議の最後に振り返りタイムを設けたが,指名するよりも,自主的に発言しようとする人を募った方がよかったかもしれない。ふとそう思って「振り返り」を表明する人と募ってみたら,1名が手を挙げてくれたから。
 協議会終了後に,「参加してよかったです,特に司会が――」と歩み寄って言ってくださった方がいたので,やった甲斐はあったとは思った。
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2005.05.26

立体的な授業評価(坂出附小の教育研究発表会・第1日目にて)

 26日,香川大学教育学部附属坂出小学校第89回教育研究発表会に参加した。思考力の育成を図るための授業コーディネートが研究テーマだ。今日は,各教科等で,思考力育成のための教材開発や子どもの反応の組織化の手だてが実践的に提案された。
 さらに,2つの授業の協議会において,いわゆる参加型が導入された(私がお願いした)。香川県では珍しいことのようで,そのスタイルに戸惑ったり,異論を呈したりする人もいた。それでも,他の協議に比べて,参加者の発言回数が多く,緊張感が高かったことは間違いない。参加者それぞれが,思考力の育成を自分のものとして考察する可能性が大きくなったと思う。
 午後のシンポジウムの話題の一つに,この参加型協議が取り上げられた。登壇者の一人として,私は,この様式ならば,授業を「立体的に」評価できると,モデル図を示した。
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2005.05.25

ミャンマーの方へのレクチャー

 24日,大阪府南河内郡千早赤阪村立の幼稚園・小学校・中学校の合同研修会に参加したが,それに,ミャンマーのカリキュラム開発センターの方も参加した。彼らは,児童中心教育における評価のあり方を追究するプロジェクトを推進するために,来日している(受け入れ窓口は,関西大学の久保田先生。久保田先生にはいつもお世話になっているので,依頼を受け,彼らの学校訪問をアレンジした)。
 千早赤阪村の小中学校の授業・授業研究を見学する前に,私が,「日本の教師教育システム」と題するレクチャーをおこなった。我が国の教師教育の枠組みを行政研修,校内研修,自己研修と定義し,それぞれの特徴や実例を示した。彼らは,私の主張する,校内研修の意義,しかも学校研究としての展開の重要性に賛同してくれた。また,そこにおけるコーディネーションの可能性,そのためのミドルリーダーの役割と育成の大切さにも共感してくれた。
 各種のティームティーチングの実践事例も提供したが,それを組織する教務主任や研究主任,少人数加配などの存在理由にも納得してくれたようだ。ちなみに,ミャンマーの学校にはそうした人材は位置づいていないらしい。
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2005.05.24

村をあげてのカリキュラム開発

 24日,大阪府南河内郡千早赤阪村立の幼稚園・小学校・中学校の合同研修会に参加した。6校園で,今年度より3年間,研究開発学校の指定を受け,英語科や情報科のカリキュラム開発に着手する。村をあげてのカリキュラム開発だ。特に,これまで幼稚園と 赤阪小学校で創造してきたカリキュラムを他の小学校に普及させるとともに,中学校のそれと連結させることが課題だ。
 本日は,中学校1年及び2年の英語科,小学校5年生の情報科の授業が公開され,それについての協議の機会を持った。私も,自分なりにコメントした。
印象に残ったことがたくさんある。まずは,中学校英語科の2つの授業ではコミュニケーション活動が重視されており,それを子どもたちが楽しんでいた。小中学校の英語カリキュラムは十分に接続できると思えた。
 小学校の情報科の授業では,他校の児童に向けて,自らの学校に関する情報をWebページにて発信する活動の中間評価に子どもたちが着手していた。Webページの内容,デザインなどを,かなりていねいに子どもたちが吟味していた(ただし,特定の学校との交流用舞台をWebページに期待するならば,その学校の子どもたちのニーズをその内容やデザインに反映させるべきではないかと,私なりには提案しておいたが)。
 それにしても,赤阪小学校で情報科の授業を公開してくれたのは,前回は英語科のそれを見せてくれた,同じ,若い女性教師。教職6年目の方らしい。研究授業を何度も実施し,実践的提案を繰り広げてくれるチャレンジ精神に敬意を表したいDSC08554

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2005.05.23

誕生日だ――

 5月23日,今日は,私の誕生日だ。○○歳になる(あててみてください)。でも,朝から忙しい。講義も2部2限が21:10まであるし――。あまり,ハッピーな誕生日にはならないみたい――。

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2005.05.21

「丸ごと視聴」が基本(2005年度学校デジタル羅針盤第5回撮影から)

 21日,先週に続き,2005年度『学校デジタル羅針盤』第5回の撮影がNEDでおこなわれた。
 この回で紹介される番組は,3年生理科番組『ふしぎだいすき』だ。この番組は,いわゆるセグメント方式で構成されており,分断視聴のスタイルを採りやすくしてある。しかし,私は,やはり15分丸ごと番組を子どもたちに視聴させる活用方法がベターだと思うし,それを前提として番組も構成してもらいたいと願う。教師たちが15分の番組時間は45分の授業時間に対して長すぎると批判することがある。しかし,そのコメントの妥当性は,何のために番組を利用するのか,番組に何を期待するのかによって,変わってくる。例えば番組が,子どもたちに,次なる思考や活動のモデルを提供したり,内容理解を促進したりするのであれば,15分の時間は決して惜しくない。その後の活動が効率的・効果的になるからだ。
 『羅針盤』で紹介する実践は,なるほど,分断視聴による理科学習の充実が実現していた。私も,それを認めて,解説した。しかし,少なくとも,放送教育の実践家は,丸ごと視聴を基本として,実践を組み立て,展開してもらいたい。丸ごと視聴させる勇気を持ってもらいたい。分断するのは,いつでもできるから

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2005.05.20

教科教育における放送番組,デジタル教材の活用(第27回なにわ放送教育研究会にて)

 13日,NHK大阪で,第27回なにわ放送教育研究会が開催された。今回は,松下教育研究財団の実践研究助成に選ばれた「メディアを用いた『個に応じる指導』の実践研究」の一環として,松浦さんが計画している,5年生社会科『とことん見聞録』「おこめがとどくまで」を活用して,子どもたちの思考・判断力をつける実践のデザインについて議論した。
 松浦さんの構想は,番組内容,すなわち「農家から消費者まで、お米はどのように届けられているのか。スーパー、米店、インターネット販売の3つを紹介。」(番組ホームページより)を踏まえて,米の流通ルートの多様性,その潮流について考察させようとするものだ。私は,そうした流通ルートが,国民の食糧確保,消費者のニーズへの対応などに資するものとなっていることまでも思考・判断させるべきだと主張した。それが,社会科の教科目標の達成に欠かせないからだ。
 教科教育における放送番組,デジタル教材の活用は,教科の本質に迫るものになるべきだが,番組等は必ずしもそれに答えるものとはなっていない。しかし,だから使う意義がないとあきらめたのでは,放送教育実践家としてはなさけない。番組内容に他のメディアからの情報を加えてメディアミックスによる授業づくりを推進し,放送教育と教科教育のいい関係を築いてほしい。

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2005.05.19

放送番組の活用と国語力向上のいい関係(守口市立八雲小学校の研究授業から)

 19日,守口市立八雲小学校の校内研究会に参加した。同校は文部科学省から「教育課程の実施状況に関する自己点検・評価」についての研究を委嘱されている。今年は,教師たちが,国語力向上プロジェクト,個に応じた指導プロジェクト,調査分析プロジェクトに分かれて,実践研究を企画・運営する。また,それと並行して,各教師が個人課題を設定して,それも追究する。
 今日は,5年生担任の原さん(教職2年目)が「わかる国語 読み書きのツボ」を活用した授業を公開してくれた。「1つひとつの漢字の意味から,熟語の意味を考えることができる」という目標を主柱とするものであった。そのモデルの提供役を番組に期待するという,利用方法はヒットし,子どもたちは45分間,楽しく,また熱中して,熟語に親しんでいた。目標に応じたワークシート様式の工夫,個人差への対応などの問題もあったが,全体として,放送番組の活用と国語力向上のいい関係を示すことのできた,提案性のある研究授業であった。
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2005.05.18

放送教育のデジタル化――その第2段階(教育方法学Ⅱ第6回に向けて)

 18日,翌日の教育方法学Ⅱ第6回の講義の準備に時間を費やした。「放送教育のデジタル化」の2回目で,放送教育のデジタル化の第2段階に関するものだ。
1990年代末,放送教育において,学校放送番組視聴後の発展学習の1形態として,「交流学習」が台頭した。同じ番組を視聴した子どもたちが,そこから生まれた課題を追究し,その成果をWeb上で交流し,共有するというものだ。異なる学校の子ども観を連結する話題,結合子として番組が機能するという,放送教育の交流学習モデルは,交流の必然性,継続性に対する疑問に答えるものであり,インターネットの教育利用一般にとっても,インパクトのあるものだった。
 明日の講義では,仙台市の南小泉小学校(当時?)の菅原教諭の営みを事例として,紹介する。この実践は,学校間交流学習が子どもたちの保護者や地域住民とのコミュニケーションをも豊かにしている,体験による学びを活性化している,(交流学習は相手校の教師との共同的授業づくりなので)教師たちにとっていっそう設計・評価しづらい状況が生まれるといった,放送教育のデジタル化の第2段階の特徴をよく示している,典型事例だ。

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2005.05.17

広島県府中市立上下北小学校の新しい挑戦

 17日,広島県府中市立上下北小学校を訪問し,同校の校内授業研究に参加した。今年度,この学校は,コミュニケーション能力の育成を標榜して,国語,算数,英語活動の3つの教科等の指導法の工夫改善やカリキュラム開発に着手している。
 今日は,3年生と5年生の英語活動の授業を見学し,放課後,それらを題材とする参加型協議を展開した。5年生では,ラップの曲にあわせて,子どもたちが30の英語表現(SureとかYes and Noなど)を口ずさむという,ユニークな教材が導入されていた。しかも,それを,学級担任,障害児担当,地域の英語に堪能な方,そして中学校の英語教諭のティームティーチングで,きめ細かく指導していた。
 同校はすでに,低学年30時間程度,中学年50時間程度,そして高学年は70時間程度の厚みのある英語活動カリキュラムを作り上げている。しかし,それに満足せず,教材開発や指導組織の新しい工夫を試みている。同校の先生方の新しい挑戦に敬意を表したいと思うし,こういう学校は,教師も子どもも必ず成長する。実際,ここ1,2年の間に同校に赴任してきた教師たちも,最初は戸惑っていた英語活動の指導を,楽しめるようになっている。研究授業を見ながら,自分たちも英語で歌い,踊るほどに。
 同校の研究発表会が9月29日に催される。多くの先生に同校の新しい挑戦を目にしてもらいたいと思う。DSC08405

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2005.05.16

教師は「学習スキル」を指導していないか?

 16日,担当している講義,教育学演習Ⅳで,学力向上に関する文献を購読した。今日は,学力向上のためには「学習スキル」を子どもに指導する必要性,そのための機会の拡充(例えば,学習法に関する特別セミナーなど)に関するものであった。
 ここ数年,学力向上を志向した学校に行く回数が増えているから,「学習スキル」の重要性には賛同できる。ただ,本日学生と購読した文献には,教師たちはそれに気づいていない,あるいは気づいていてもそれを展開する時間的余裕がないなどのくだりがあったが,それには異論を呈したいと思う。例えばノートの取り方,テストの復習の仕方,プリント類の綴り方,問題解決的な学習の手引きなど,今日,小中学校の教師たちは,児童・生徒に向けて,「学習スキル」の重要性を説き,その方法論を示し,そのツールやシステムを提供している。実際,私たちがベネッセ教育研究開発センターと共同で実施した,教師たちへのアンケート調査でも8割前後の教師たちが「学習スキル」の育成に向けた手だてをこうじていると回答している。学生たちに自らの経験をひもといてもらっても,「学習スキル」にあたるものを教師から指導してもらったという振り返りが少なくなかった。
 教育書の解説と教育現場の実態との間に生じる,ちょっとしたズレを今日も感じた。

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2005.05.15

『学力向上ハンドブック』の開発(Benesse教育研究開発センターとの共同研究)

 15日,新大阪のアクロスビルで,Benesse教育研究開発センターとの共同研究の打合会を催した。今年度のテーマは,ずばり,『学力向上ハンドブック』の開発である。ここ数年の学力調査,教育力調査の開発の集大成とも言える。プロジェクトリーダーの大阪教育大学・田中先生が在外研究でご不在(9月末まで)のため,残ったものががんばらないといけない。
 『学力向上ハンドブック』という名前の図書やWebページは決して少なくない。それらに比べて,私たちのグループが開発するものには,これまでの総合学力調査や総合教育力調査の実施経験やそれによる知見を踏まえて,1)学力が多様な要素と複雑な構造を有していることを前提としている,2)その育成主体は教師,学校,保護者に及ぶ,3)学力向上は長期的・中期的ビジョン等による学校改革プロセスである,4)学力向上のための指導方策のそれぞれを4段階からなる指標で評価できるといった特徴がある。年度末には刊行の運びとなる予定。

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2005.05.13

なにわ放研が松下教育研究財団の実践研究助成を

 13日,東京・芝パークホテルで,松下教育研究財団の助成金贈呈式が催された。研究賞,実践研究助成,研究開発助成と3つの助成金制度があるが,そのうちの実践研究助成の対象に,「なにわ放送教育研究会」の取り組みが選ばれた。研究課題は,「メディアを用いた『個に応じる指導』の実践研究」だ。研究代表者を務める松浦さん(枚方市立五常小学校)が緊張の面持ちで式に出席していた。
 助成を受けた責任は重い。なにわ放研のメンバーには,実践を計画的に展開し,その記録をていねいに集めてもらいたい。いい成果をあげ,財団の期待に応えてもらいたい。

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2005.05.12

放送教育のデジタル化――その第1歩(教育方法学Ⅱ第5回にて)

 12日,教育方法学Ⅱ第5回にて,「放送教育のデジタル化」について,講義した。3回シリーズの第1パートで,放送教育のデジタル化の第1歩について,言及した。
 1990年代前半,放送教育において,学校放送番組の視聴後の発展学習に,マルチメディア型パソコンが用いられるようになった。子どもたちは,番組を視聴して抱いた疑問や問いを,自らの体験で,様々なメディアで追究する。そして,その成果をマルチメディア型パソコンに入力し,加工し,他者に対してプレゼンテーションする。そうしたスタイルが開拓された。私も多少関わった『人と森林』がその出発点だが,本日の講義では,放送教育全国大会仙台大会で報告され,記念番組の題材ともなった,『福室環境学会』の実践を受講生に紹介した。
 この実践は,『いのち輝け地球』「川は生きている」の視聴後に,福室小学校の子どもたちが,地元の川を舞台にして,様々な活動を繰り広げ,その過程で得た情報を,環境問題に関するデータベースに仕上げていくものだ。番組とマルチメディアと体験の役割分担,三者の関連づけ,それらによる放送学習の個別化と共通化など,10年以上経った今でも,そのコンセプトは,輝きをいささかも失っていない。

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2005.05.11

今年度も小中連携がブーム,でも――

 本日,研究室に,3本の講師依頼電話がかかってきた。そのうち,2本が小中連携の実践研究に関する支援を要請するものであった。その他に,メールでは,ある地域の小中連携研究の訪問日を決定したり,小中の教師が合同でおこなう英語活動の授業内容に関する連絡を受けたりした。『小中連携デー』だった。
 ここ1,2年,こうした依頼が確かに増えている。文部科学省の方針もあって,小中連携は制度,カリキュラム,教育方法にわたって,試行が重ねられている。ただ,いくつかの地域の実践を眺めて思うのは,「葛藤」を経ない連携は充実しにくいということだ。教育観や実践史,置かれた条件や制約など,同じ地域に位置する小学校と中学校であっても,その間には,簡単には越えられない溝があるのが普通だ。それは,教師たちに,ある種の衝突をもたらす。しかし,だからこそ,その溝が埋まった後は,対等互恵の関係が生まれる。互いの悩みや苦しみに共感できるからだ。同僚性が生まれるからだ。
 小中連携がカリキュラムや指導法を刷新する可能性を秘めているがゆえに,これが,たんなるブーム,形式主義に終わらないでもらいたいと切望している。読者の学校が取り組む連携はどうだろうか?

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2005.05.10

卒論指導の糧

 昨日,「公文式学習の意義と問題点」をテーマとする学生を相手に,卒論指導をした。その前の指導の際に,『授業の設計入門』(沼野一男著)や水道方式に関する書物を手渡して,それらを比較することを指示しておいた。今回の指導では,それに,完全習得学習に関するものを加えた。
 卒論指導の際に,学校現場とのつきあい方については,自らの経験でアドバイスができる。文献の購読については,「財産」がものを言う。つまり,文献(論文や著書)をすぐに手渡すことができるか,それをどう解読するかを適切に指示できるかが問われる
 今回の指導は,そういった意味では,合格点だ。それにしても,本棚から取り出して学生に手渡したのは,なんと自分が学部3年生の時代に,当時教育心理学研究室の助教授でいらっしゃった梶田叡一先生から頂戴した本だった。
 大阪大学から岡山大学,そして大阪市立大学へ,また,市大内でも1度,研究室の引っ越しを経験した。その度に,いくつかの図書を廃棄せざるを得なかったが,教育方法学,とりわけ学習指導法に関するものは,すぐに使いはしないと分かっていても,保持してきた。それが功を奏した。卒論指導の糧となった。

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2005.05.09

研究計画の重要性(卒論指導にて)

 今日は,2部生2名の卒論指導日だった。彼女らは,公文式学習の意義と問題点,教師のバーンアウトを防ぐ同僚のサポートについて,研究する。4月の指導では,取り上げる概念の定義,問題設定の根拠の重要性を説いた。
 本日は,研究計画の重要性,必要性について指摘した。私が担当するような学生は,実践的な研究を展開するわけだから,(ある意味で,)研究のオリジナリティを出しやすい。しかし,それを成立させるためには,「アクションを起こさないといけない」。そして,そのために,データを収集・分析するフレームワークやスケジュールを明らかにしなければならない。実践研究は,教師や児童・生徒などとラポールを築かなければ実施できないし,相手の都合も考慮しなければならないからだ。マイペースで作成できる卒論とは,事情が異なる。
 私が卒論指導を担当する学生は,実に真剣に,卒論でテーマとする問題について「考えている」。今日も,前回の指示に従って,読んだ本の内容を見事にまとめてきた。その姿勢には,感心する。その真面目さを,今度はフィールドワークの企画・運営にて発揮してもらいたい。

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2005.05.07

若い教師たちの学校研究への旺盛な意欲(LTプロジェクト第1回オフミにて)

 7日,大阪市立大学・文化交流センターにて,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)の第1回オフミが開催された。
 参加者は,自らの学校研究経験史を語り,それを比較検討する中で,学校研究の意義・可能性,そして難しさを共通理解していった。私も,「社会の要請」「教育改革の動向」など,学校研究の必然性について解説した。
 次いで,ある小学校の学校研究について,年間の活動計画を策定するという作業を進めた。同校の学校研究史や置かれた条件をかんがみながら,「全員での活動」「研究推進チームでの活動」「学年団での活動」「その他(専門部会など)での活動」を4月から3月まで,シミュレートするという課題に参加者は取り組んだ。策定した活動計画を相互評価しながら,参加者は,アウトプット志向,研究推進チームとその他の組織のコミュニケーションの重要性などを確認した。私は,自校の研究の独自性を同定するための「出稽古」の必要性,学力調査などのデータ収集・分析の可能性などについて補足した。
 いずれも難しい課題や作業ではあるが,参加者の若い教師たちは,学校研究への旺盛な意欲を示して,真摯な姿勢でそれらに挑戦してくれた。

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2005.05.06

「カリキュラム研究会」第3回

 6日,大阪市立大学・文化交流センター談話室で,「カリキュラム研究会」を開催した。2月,3月に続いて,第3回目となる。本学の大学教育研究センター教授の矢野先生(英国通!)と愛知江南短期大学の森さん,そして,本学・文学研究科大学院生の池上さんの4人でやっている,小さな,小さな研究会だ。
今 日のメニューは,池上さんの修士論文の一部,「異教科ティーム・ティーチングの意義と課題点」と,森さんの「デューイ・スクール(Dewey School)における『歴史(History)』のカリキュラム開発に関する実証的研究」(『カリキュラム研究』,第13号)の報告,それらを題材にしたカリキュラム研究の方法論についてだった。
 こぢんまりした研究会だが,異なる専門性を統合する,よき舞台だ。「継続は命なり」で,がんばろう。それにしても,もう少し参加者が増えてもよいかも――。カリキュラム研究に関心のある研究者や学生がこの研究会に参加してくれるとよいのだが――。

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2005.05.05

自らが所属した学校の実践研究をどこまで整理できるか(LTプロジェクトの課題から)

 先日も紹介したが,本年度から2年間,松下教育研究財団より助成を受けて,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)を実施する。7日の第1回オフミ用に,参加メンバーに向けて,「これまでの学校研究参画経験を整理」してくるという課題を提示している。学校ごと,研究テーマ別に,「研究の特徴,成果と課題」「代表的な授業の概要」「研究推進上,自らが果たした役割」「研究主任,研究部長などのリーダーシップについての感想」を記すというものだ。
 取り組みの様子が,Web上で,MLにて,報告されている。また,いくつかのレポートが既にアップロードされている。それを眺めてみると,参加者によって,記述の厚みが違う。また,各人の中でも,印象の濃淡があるようだ。なぜ,覚えていないのか。記憶に残る学校研究の特徴は何か。そうしたことを,まずメンバーには考えてもらいたい。
 読者は,自らが所属した学校の実践研究をどこまで整理できるであろうか。

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2005.05.03

『学校評価』(金子郁容編著,ちくま新書)を読んで

 現在,学力向上に関するベネッセとの共同研究プロジェクト推進のため,「ぎょうせい」より刊行予定の単著『教師が磨き合う学校研究』の原稿執筆のため,授業改善とそれを通じた学校改革について資料を収集している。
その一環で,『学校評価』(金子郁容編著,ちくま新書)を読んだ。編者は,教育研究ではなく,ネットワーク社会に関する,著名な研究者だ。しかし,最近では,コミュニティスクール論を展開し,そのアイデアは施策にも反映されている。
 専門性によるのだろうが,学校評価に関する語りも独特だ。例えば,次のように。
 「地域に開かれた学校を運営してゆくには,効果的・効率的に情報を収集し,編集し,共有し,分析し,決定するための,それなりの情報共有と情報編集の『ツール(=手段,手法)』が必要である。」(p.12)
 私たちが学力調査の意義について常々説いてきたことと同様の主張もあった。心強く思った。
 「学校評価の結果は単に『いい』『悪い』を決めるものではなく,それを基にして,校長・教員・児童・生徒・保護者・その他の地域の人など異なった立場のさまざまな人の間で,より豊かなコミュニケーションをするための基本的な材料になっているということだ。」(p.50)

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2005.05.02

ポスト・デジプロのスタート!

 2日,渋谷のNHKで全放連の研究プロジェクトメンバーと会合をもった。昨年度までの教育放送デジタル化対応ミレニアムプロジェクトの継続・発展に向けたリスタートである。横浜,川崎,東京,そして埼玉からメンバーが集まって,「今年度,放送教育実践で取り組みたいと考えていること」を交流した。メンバーの放送教育実践への思いを総括すべく,私なりに,意見を総括した。それを踏まえて,「放送学習による学力向上プロジェクト」(仮称)を立ち上げることとなった。
 この場合の「学力」は広義である。決して,知識・理解に限定されるものではない。確かな学力,生きる力,そして学びの基礎力までも含む,「総合学力」を意味する。「放送学習」も幅広くとらえることとする。伝統的な放送番組利用から,デジタル教材,さらには地上デジタル放送の活用まで,学力向上に資するものならば,すべて含むことにする。ただし,「評価」をていねいに計画・実施することを共通項とする。つまり,「放送教育実践に取り組めば,子どもたちの学力はこのように向上します」と積極的にアピールできる証拠,確かな実践記録を残そうということになった。
 各人の実践と全員参加での研究授業の二本立て,首都圏メンバーと地方メンバーのオンラインコミュニケーションなどの研究方法論は前年度までのものを踏襲ないしは発展させる。また,リーフレットや報告書,ホームページにおける研究知見の公開,全国大会や教え方教室などでの報告なども,これまでの営みを継承し,発展させる。
ポスト・デジプロの取り組みに,ぜひ注目していただきたい。

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2005.05.01

LTプロジェクト,順調なスタート!

 昨日も紹介したが,本年度から2年間,松下教育研究財団より助成を受けて,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)を実施する。この中堅教員向けe-LearningプロジェクトのWebが開設されてから,3日が過ぎた。
 掲示板への投稿が増えたし,返信もけっこう届けられている。まずまず順調なスタートと言えよう。7日のオフミ用に,参加メンバーに向けて,ユニークな課題を提示している。それは,自らのこれまでの学校研究参画経験を整理してくるというものだ。「初任校の資料がない!」とか,「研究授業はやったけど,研究の中身までは――」といった振り返りが既に出てきている。オフミでは,それぞれの経験をさらに分析してもらい,学校研究の意義や可能性を会得してもらいたいと思う。また,その基本手続きを考察してもらいたいと思う。
 心配なのは,投稿のないメンバーの存在。がんばってもらいたい――○○さん。

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