« June 2005 | Main | August 2005 »

2005.07.31

放送番組を重層的に分析することの重要性(「虎の穴」5期生第2回オフミでの議論から)

 30・31日,渋谷のNHKで,放送教育指導者養成講座(虎の穴)5期生第2回オフミが催された。コーディネータとして,私も参加した。それは,次のような第3課題に対するレポートの発表と相互評価等の機会である。

第3課題
 あなたは,地域の理科教育の実践研究会で,理科教育用の学校放送番組を活用した授業を紹介する機会を得ました。その際に,参会者に配布する資料を作成してみましょう。
 紹介する授業が満たすべき条件は,次のとおりです。
①活用する番組は,NHK学校放送番組小学校4年生理科『ふしぎ大調査』の「事件ファイル7-たからのありかは星にきけ」(7月5日,6日,12日,13日)とする。
②同番組のデジタル教材を活用すること。
③番組とデジタル教材以外のメディアも,1つ以上子どもたちに活用させること。

 上述したレポートの相互評価の過程で,また,2日目に設けられたワークショップに関する講評の中で,私は,番組の特性について,いくつか確認した。特に,1つの番組は20本で構成されているので,指導者は,その配列,20本の流れや位置づけを繊細に吟味しなければならないということを強調した。
 例えば,先の番組ならば,1学期末に放送されるので,夏休みの科学研究に資するような情報やモデルを提供している。各番組の吟味から,複数の番組を括る検討へと,番組の分析は重層的に繰り広げられるのが望ましい。

| | Comments (2)

2005.07.30

「教師の授業力の点検・評価」(IMETSフォーラム2005ワークショップ)

 本日,第32回教育工学研修中央セミナー,すなわちIMETSフォーラム2005で,ワークショップ「教師の授業力の点検・評価」のコーディネータを務めた。
 30名弱の教師たちに,このワークショップでは,学力及び授業力をどうとらえるかをまず確認した。次いで,それを踏まえた評価基準(4段階)を提示して,参加者に,自らの授業力を幅広く,またていねいに点検してもらった。その結果を交流してもらう場面も設けた。さらに,授業力を学校力,連携力へと発展させる考え方を提示し,それらの自己点検にも従事してもらった。コーディネーションは,まあまあの出来だったかな――(参加者のワークショップ評価を聞いてみたいところだ)。DSC09691
 驚いたのは,静岡県浜松市の中学校の先生が,このブログを見て,IMETSに参加していたこと。ご本人からそれをお聞きし,けっこう,このブログも役立っているのかなと思った。

| | Comments (1)

2005.07.28

学校現場との関わり2(「指導の状況に関するアンケート」の実施に際して)

 27日にも,華東師範大学・教育科学学院のメンバーとの共同研究プロジェクトによる「指導の状況に関するアンケート」実施依頼に,ある市の小学校を訪れた。同市の小学校校長会会長に会うために。この市は300近くの小学校があるので,実施してもらえるか否かは,プロジェクトの推進に多大なる影響を及ぼす。
 どきどきしながら校長室のドアをノックしたが,幸い,実施について内諾を得ることができた。この学校長とは,同市教育委員会の事業による仕事を数年間ご一緒した。こちらがお世話になったのだが,「ご恩返しをさせていただきます」とのありがたいお言葉を頂戴した。その事業は必ずしも自分の専門にぴったりというわけではなかったのだが,自分なりに精一杯やってきたつもりだ。それがこんなところで生きてきた。とても嬉しかった。

| | Comments (0)

2005.07.27

放送教育と個に応じた指導の接合点(第29回なにわ放送教育研究会にて)

 26日,NHK大阪で,第29回なにわ放送教育研究会が開催された。今回は,各メンバーが1学期の放送教育実践を簡単にレポートした(1人は1学期に番組活用をしなかったので,2学期の構想を披露した)。
 報告の後の議論では,番組利用と「個に応じた指導」の接合点,その多様性について議論した。また,そうした接合点の開拓のためには,評価基準と判断基準をていねいに設定しないといけないことを共通理解した。
 なにわ放研に参加すると番組利用のアイデアが豊かになる。加えて,「個に応じた指導」や目標に準拠した評価など,現在のホットな教育問題に対するアプローチを会得することもできる。それが,この研究会の独自性であり,強みだ。

| | Comments (0)

2つの小学校の合同研修会(学力調査の実施・分析・活用を視点とする学校間コラボレーション)

 26日,府内のある地域で催された,2つの小学校の合同研修会に参加した。2校は同じ市に属するが,別の中学校区に位置する。研究テーマも違う。では,どうして合同研修会なのか。
 実は,両校とも,昨年度,総合学力研究会(事務局:ベネッセ教育研究開発センター)が開発した総合学力調査及び総合教育力調査を実施している。だから,研究テーマを異にしていても,調査を踏まえて学校の取り組みを診断したり,授業改善やカリキュラム開発を進展させたりすることを大切にしているという点では共通点を有しているのが,本日の合同研修会開催の理由であった。
 私なりに両校の調査結果を分析し,その読み解き方を解説した。同時に,両校の取り組みの異同,特に,共通に抱えている実践課題(保護者・地域住民とのパートナーシップ,IT活用,目標に準拠した評価の展開)について,他校の実践例を参照しながら,それにチャレンジするポイントを指摘した。
 企画・運営に改善の余地があるとはいえ,学力調査の実施・分析・活用を視点とする学校間コラボレーションの可能性を感じられた研修会だった。

| | Comments (0)

2005.07.25

学力向上のために,今,学校,教師は何に最も力を注ぐべきか

 17年度前期,学部の講義のひとつで,「教育学演習IV」を担当した。今年は,『学ぶ意欲とスキルを育てる』(市川伸一著,小学館)と『親と教師で考えるこれからの学校2 少人数指導習熟度別指導』(加藤幸次著,ヴィヴル)をテキストに指定し,学力とその向上について,受講生に多面的に考えてもらった。
 講義最終回の本日,彼らに,再々度「学力向上のために,「今,学校,教師は何に最も力を注ぐべきか」と問いかけた(同じ問いを講義の初回,中間の第7回にもたずねている)。受講生の多くは,最も大切である学力要素を「学ぶ意欲」と定めたが,それを充実させる術として,多様なものに言及した。ある学生は,「子ども理解に基づく,個別的なコミュニケーション」が鍵を握るという。ある学生は,「教職の再帰性を念頭に置けば,教師たちの研修こそ充実させねばならない」とまとめる。また別の学生は,「学習スキルがないと意欲はいつか停滞するので,そのガイダンスが大事だ」と説く。
 私自身も,いつも主張するように,あらゆる取り組みが大切であることを前提に,受講生が述べたように,学校が置かれた条件を鑑み,学力向上へのアプローチに優先順位をつければよいのだと考える。また,次第にそのレパートリーを増やしていけばよいのだと思う。

| | Comments (0)

放送教育に関する講義のテスト

 平成17年度前期,学部の講義のひとつで「教育方法学II」を担当していた。放送教育の体系,とりわけ,NHK学校放送番組の特徴とそれを活かした授業実践の発展について講義した。番組をたくさん紹介したし,実践事例も受講生に提供してきた。
 先日,その成果を問うテストを実施した。講義内容に呼応させ,まず番組を視聴させ,それを分析し,そして授業プラン(その考え方だけになるが)を策定するという問題を用意した。具体的には次のとおりである。
放送教育指導者養成講座(虎の穴)OBなら軽く解答できるのだろうが,大学生はそうもいかない。これまでのレジュメや資料を活用しながら,問題と格闘していた。

Continue reading "放送教育に関する講義のテスト"

| | Comments (1)

2005.07.23

『学力向上ハンドブック』の演習課題(Benesse教育研究開発センターとの共同研究)

 23日,新大阪のアクロスビルで,Benesse教育研究開発センターとの共同研究プロジェクトの会合に参加した。前にもこのブログで紹介した,『学力向上ハンドブック』の開発に関するものである。『学力向上ハンドブック』は学力調査の結果を学力向上アクションに結実させるための支援ツールだ。
 そのために,このハンドブックには,よく練られた「演習」問題を準備する。私の担当は,授業改善,校内研修の活性化,そして家庭・地域とのパートナーシップの確立のために,自校で今何をすべきかを利用者が同定できる演習課題の作成だ。
 例えば,自校の授業力の点検については,次の課題を用意してみた。
 「学力レーダーチャートの結果をみながら,貴校の学力向上の取り組みについて,次の点から,点検してみましょう。」
 ①指導の土台づくり,学習指導の方法,学習の動機付けのバランス
 ②学習の土台づくりと指導の土台づくりのバランス
 ③プロジェクト的指導とプログラム的指導のバランス
 ④学習ガイダンスと形成的評価・指導のバランス
 できあがる『学力向上ハンドブック』には,こうした具体的で,しかも学力向上のツボを踏まえた演習群が用意される。けっこう苦労して作成しているので,乞うご期待だ。

| | Comments (0)

2005.07.22

ある高校の進学相談会に参加して

 21日,大阪市浪速区のある高等学校で催された進学相談会に参加した。某新聞社主催で,当日は,大阪教育大学,大阪府立大学も招かれていた(若手教員を先方が希望していると聞いたが,両大学はいずれも年配の方がご担当だった???)。
 相談会では,私は,大阪市立大学及び文学部の概要説明,そして文学部入試の現状等について説明した。学会や学校現場での講演等には慣れているが,高校生に対して話をする機会はほとんど経験がない。どうなるか心配で,説明資料は大学パンフレット等あったのだが,あらかじめレジュメを作成して相談会に備えた。
 反応が心配だったが,高校生たちは,私の話をきちんと聞いてくれたし,質問も投げかけてくれた。安堵した。彼らが我が大阪市立大学を受験し,合格して入学してくれたらいいなと思った。小中学生とは学校現場で接することも多いが,高等学校を対象とする件研究はしていないので,普段,高校生に接することは皆無である。現代の高校生のイメージが希薄だったが,素直な彼らに出会えて,気持ちよく帰宅することができた。36度を越える気温で最寄り駅から当該高等学校まで歩いてくたくたになったが――。

| | Comments (0)

2005.07.20

学校現場との関わり(「指導の状況に関するアンケート」の実施に際して)

 15日もレポートしたように,現在,華東師範大学・教育科学学院のメンバーとの共同研究プロジェクト推進のため,「指導の状況に関するアンケート」を開発中だ。同時に,日本国内で調査に協力していただく学校や教育委員会への依頼を始めた。
 先日,調査実施のお願い,段取りの確認のため,○市教育委員会を訪ねた。かつて自分が勤務した大学のある,地方中核市の教育委員会だ(そう書くと,どこの委員会なのか,分かる人には分かるが――)。かなりのボリュームの調査であるし,各学校への依頼など,かなり面倒なことを委員会の方にお願いすることになる。難色を示されて当然だと覚悟していたが,「木原先生のお願いですから」と,調査への協力を快諾していただいた。ありがたいことだ。心から感謝している。
 そして,こうした言葉を頂戴して,あの頃多少なりとも学校現場に貢献できていたのかなと,自分自身の活動を振り返ることができた。自分の学校現場との交わりは間違っていなかったのだ,あの頃のスタンスを忘れることなく,これからも,学校と教師たちとよき関係を築き,それを守っていこうとあらためて決意した。また,この調査も,それぞれの学校や地域の取り組みの自己点検・評価にも資するよう,分析や報告に努めようと思う。

| | Comments (1)

2005.07.19

教師による研究論文(野田敏孝『初めての教育論文』北大路書房から)

 先日,野田敏孝著『初めての教育論文-現場教師が研究論文を書くための65のポイント-』(北大路書房,2005年)を購入した。この本は,福岡県の小学校教諭である野田氏が自他の教育論文を参照しながら,教育論文を執筆するためのコツをまとめたものだ。
 65のポイントの最初の項目は「よい教育論文に必要なものは?」である。読者は,この問いにどのように回答するであろうか。著者の野田氏は,よい教育論文を「主張したいことが明確で,筋道立てて述べられている論文」と定義し,その必要条件は「よい実践,向上的変容の見える実践=実践を通して変容した,具体的な子どもの姿」が記述されていることであると説く。
 教育実践研究に「仮説」は私は不要であると思っているので,この点については著者の主張とズレるところもあるが,私が普段交流している先生方にもぜひ読んでもらいたい本だ。研究推進役を果たしている□□県○○市の△△先生,購入して勉強してみませんか。

| | Comments (3)

2005.07.18

「確かな学力」の自校課題化とそれを促すモデル・ツール・システム・プログラム等(学力向上と教育工学の第2の接点)

 日本教育工学会・第21回全国大会のシンポジウム2「学力向上と教育工学」に登壇することは一昨日も述べたとおりである。その準備として,今日は,学力向上に関する文献をもう一度調べてみた。
 例えば,高階玲治編著『自ら学ぶ「確かな学力形成」力』(ぎょうせい)には,「中教審答申による『確かな学力』の自校課題化」という節が設けられていた。そこでは,「読み・書き・計算」を重視するタイプ,学力保障と成長保障を同時に図る「指導と評価の一体化」タイプ,「教科の構造や内容の系統性」を見直して学習の充実を図るタイプ,「社会を生き抜く力」を重視するタイプなどの学力の捉え方が紹介され,同時に,「学校として適切な教育課程を編成し,『確かな学力』の形成を図ることは,使命であり最重要の目的であるが,その達成のためには,自校が,いかなる『学力観』に立ってきたか,『中教審答申』のいう『確かな学力』」観からみて,その妥当性はどうか,などを再考することは不可欠である。」(p.21)という主張が繰り広げられていた。
 こうした提言に接して,学力の多様性・多元性,それを向上するためのアプローチは学校を基盤とするものであることは,そろそろ共通理解できる段階になったと思う。そうすると次は,そのプロセスの概念や手続きのモデル化,そのプロセスを成立させるツールやシステムの開発,そのプロセスを運用するための組織開発及び能力開発(研修プログラムの開発)などのデザインや企画・運営等が期待される。ここに,学力向上と教育工学の第2の接点がある。

| | Comments (0)

2005.07.17

まもなく「虎の穴」OB会

 8月6,7日,浜松で,放送教育指導者養成講座(虎の穴)のOB会が催される。私も少し遅れるが参加する(東京から浜松入りし,東京へ帰る)。
 OB会も今年で,4回目を迎える。第1回目,2回目は東京で実施されたが,昨年は初めて地方で開催された。大阪が会場となった。その時に,平成17年度はぜひ浜松で開催しようと約束し,それを浜松のOBグループ(藤原さん,宮本夫妻,そして市川さん)が実現してくれた。とても感謝している。
 このOB会は,とても楽しい。全国の虎の穴卒業生が集い,旧交を温められるからである。またそれ以上に,内容が充実している。虎の穴で獲得した放送教育実践のノウハウ,その普及戦略を地元でどのように発揮したのかが報告され,放送教育実践の最前線を確認できるからである。虎の穴時代が懐かしくなるような,番組活用ワークショップも用意されるのも緊張感があっていい。
 1期生から4期生までの卒業生と会える2日間は,私にとって貴重な時間だ。今年は何人と会えるだろうか――。

| | Comments (2)

2005.07.16

学力向上への教育工学的アプローチ

 本日,日本教育工学会の理事会が催され,出席した。この学会で,私は,大会企画委員会の副委員長をおおせつかっている。同委員会の委員長は,鈴木克明先生(岩手県立大学)だ。
 今年度の第21回全国大会は, 9月23日(金)~25日(日)に徳島大学工学部(常三島キャンパス)を会場にして開催される。シンポジウム,課題研究,一般研究などが繰り広げられるが,私は,2日目の14:30~17:00のシンポジウム2「学力向上と教育工学」に登壇することになった。
 コーディネータは,鈴木克明先生(岩手県立大学)と園屋高志先生(鹿児島大学)私以外の登壇者:清水康敬先生(メディア教育開発センター),渡辺良先生(国立教育政策研究所),そして,永野和男先生(聖心女子大学)だ。私だけが若輩で,少々戸惑っているが,自分なりに,学校現場への関わり,ベネッセと共同で推進した学力調査の分析経験などを踏まえて,学力向上についての教育工学的な提言を目指したい。それは, ICTを活用すればよい,反復・繰り返しが大事だといった画一的なものにはならないと思う。学校単位で教師たちが共同的意思決定を繰り広げ,授業やカリキュラムの開発と改善を継続していくという「成長する学校」のモデルを素描することになるだろう。

| | Comments (0)

2005.07.15

「指導の状況に関するアンケート」の実施に向けて

 先月,今月と,華東師範大学・教育科学学院のメンバーとの共同研究プロジェクトについて,本学の添田先生や兵庫教育大学の佐藤真先生,そして大学院生等と質問紙調査の内容・形式について,何度も会議を重ねた。それは,学校の教務担当者を対象とする,「指導の状況に関するアンケート」だ。
 その目的は,「大阪市立大学・大学院文学研究科の「都市文化創造のための人文科学的研究」(文部科学省の21世紀COEプログラムによる研究)の一環として,日中両国の都市における学校改革とカリキュラム開発が,実態としてどのような広がりをもっているのか,そしてその課題は何かを,アンケート調査を中核とする実証的研究によって,明らかにする」ことにある。
 また,調査は,(1)学校の概要,(2)学力観,(3)教科学習の工夫改善(少人数指導,習熟度別指導,補充学習,発展的な学習,宿題等の課外指導),(4)総合的な学習の概要(実施時間数,カリキュラム開発の体制,目標と内容,指導体制,実践上の課題),(5)小学校5年(中学校2年)の総合的な学習の代表的実践(領域,目標,指導の工夫と成果,評価),(6)教員研修(教科指導に関わる力量形成,総合的な学習のカリキュラム開発に関わる力量形成,その他)から成る。
 ほぼ質問紙の内容が固まり,現在,中国側とのすり合わせも最終段階を迎えた。同時に,日本国内で調査に協力していただく学校や教育委員会への依頼を始めた。地方都市,大阪と東京で実施の予定である。それぞれの学校や地域の取り組みの自己点検・評価にも資する調査なので,多くの学校・地域で実施していただけることを願っている。

| | Comments (1)

2005.07.14

学力向上推進委員会(A市教育委員会から依頼されて)

 本年度,関西のA市教育委員会から依頼されて,同市の学力向上推進委員会に参画することになった。14日,その第1回目の会議が催され,出席した。
 同市では,平成16年5月に,小学校5年,中学校1・3年のすべての児童・生徒に,学力調査と生活実態調査を実施している(17年5月にも実施)。その結果を踏まえて,学力向上と学校活性化推進プランを策定し,徐々に実行している。学力向上推進委員会は,それらについて協議したり,提言したりする役割を担う。学識経験者,連合PTA,校長会長,小中学校教務主任,そして教育委員会というメンバーで構成されている。
 委員会での学力調査結果報告等を聞いて,私は,「児童・生徒を対象とする学力調査は,学校カリキュラムや教師の授業,家庭における保護者の働きかけの実態を把握し,それらとすり合わせしないといけない」,「全市的な学力向上施策以上に,各学校が策定し,実行する学力向上プランが重要だ」といったコメントを投げかけた。
 自分は,もと市民だし,この市の小中学校の授業研究にはかなり通った。だから,自分にできる範囲内にはなるが,委員会の提言等に少しでも貢献したいと思う。

| | Comments (0)

2005.07.13

授業研究のスタイル

 12日,富山のある小学校の授業を見学し,またそれに関する授業研究会に参加した。少し驚いたことがあった。それは,授業を見学している教師たちの「記録」の熱心さであった。私が参加する授業研究会では通常,記録者を決めて,その人が教師や子どもの発言,板書,子どもの様子などを記録する。ところが,この学校では,ほとんどの先生が記録に従事する。その熱意はものすごい。みんな一言一句もらさぬ決意でペンを走らせている。後で協議を繰り広げる際に活用するのだと言う。DSC09580
 ただ,私は,授業研究においては,「記録」よりも「考察」を重視すべきではないかと考えている。なぜなら,授業研究は,当該の授業に関する吟味から,参加者それぞれの授業に関する内省,それらを連結させた学校カリキュラム(小中連携なども含む)の検討へと,議論の対象を広げてほしいからだ。教室における現象の正確な記述を求めるあまり,それに対する多角的,多面的な「考察」が少なくなるのは残念だ。この学校の教師たちも,もちろんそれを分かっているから,記録用紙の備考欄に「考察」を記していたが,あまりにもそのスペースが小さく,(記録の正確さを通級するゆえに相対的に)考察を繰り広げる時間が足らないように思った。
 読者の学校では,授業研究における「記録」と「考察」をどのように進めているであろうか。

| | Comments (2)

2005.07.11

eCCプロジェクトの縦断的評価

 明日12日,富山に向かう。昨年度取り組んだ,eCCプロジェクトのメンバーの学校を訪問するためだ。このプロジェクトは,松下教育研究財団の平成16年度研究開発助成による,カリキュラム・コーディネータ養成のためのe-Learningプログラムだったが,そのフォローアップのためだ。縦断的なプログラム評価といってもいい。
 昨年度末,参加メンバーは,所属校において平成17年度の総合的な学習のカリキュラム開発を進展させるためのアクションプランを策定した。それをどこまで実行できているか,できていない場合はなぜかといったことをヒアリングする予定だ。もちろん,授業観察等も試みる。
 eCCプロジェクトをいくつかの研究会で報告してきたが,いつも,「研修プログラムへの参加経験を参加者がどのように実践に結実させているのか」といった質問を受けてきた。昨年度はプログラム実施中なので,それには答えられるはずがなく,もどかしい思いをしてきた。明日(それ以降も続けるが),それに答えるための手がかりが得られるはずだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.10

日本教育メディア学会平成17年度第1回研究会を終えて

 7月9日(土)に大阪市立大学・文化交流センターで,日本教育メディア学会平成17年度第1回研究会を開催した。テーマは,「放送教育の伝統と刷新」だ。5件の発表とそれを踏まえた総合討論でプログラムは構成された。同学会研究委員長の小笠原喜康先生(日本大学)には,わざわざ大阪までお運びいただき,たいへん感謝している。その他にも,福島,長崎,静岡,和歌山などから,この研究会に参加してもらった。ありがたいことだ。
 なにわ放研からは,枚方市立五常小学校の松浦智史教諭には,昨年度の実践をベースに,「学校放送番組と関連Webを活用した小学校社会科の習熟度別学習-社会的な思考・判断の充実に資する深化・補充学習の展開-」を報告してもらった。彼の報告内容について,参加者が,また総合討論司会の私が,いろいろ突っ込みを入れた。時々詰まりながらも,必死に質問や意見に答えてくれた松浦さんにも厚く御礼申し上げる。DSC09555

 NHKによる放送教育企画検討会議(ブロック会議)と日程が重なるというハンデもあったが,20名ほどの参加者を得て,またそれらの人々の積極的な姿勢で,放送教育やそれに関連する分野について,貴重な意見交換の機会となったように思う。ホスト役を果たせて,安堵している。
 そうそう。私をサポートしてくれた,院生の深見君,北川さんも本当にありがとう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.09

「教師の授業力の点検・評価」(IMETSフォーラム2005ワークショップ)

 第32回教育工学研修中央セミナー,すなわちIMETSフォーラム2005が,7月29,30日に,品川の「きゅりあん」で開催される。私は,もう10年くらい連続して,このセミナーに参加している。今年は,2日目,30日午前中(9:20~11:20)のワークショップ「教師の授業力の点検・評価」においてコーディネータを務める。
 フォーラムの研修主題は,「豊かな学びをはぐくむ授業力の向上」だから,それにぴったりのワークショップテーマだ。このワークショップでは,授業力をどうとらえるかをまず確認し,それを踏まえた評価基準(3段階)を提示して,参加者に,自らの授業力を幅広く,またていねいに評価してもらう。また,それを相互に交流してもらう。そして,最後に,自らの授業力の向上へのアクションプランを策定してもらう。学力向上,そのための教師の能力・資質の向上が声高に叫ばれているが,それに資するワークショップになるので,多くの方に参加してもらいたい。
 事務局に聞いたが,定員までにあと少しだけ余裕があるようだ。東京近郊の○○先生,大阪府の××さん,広島県の△△先生,どうです?参加しませんか?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.08

コミュニケーション能力の定義やモデル

 8日,我が教育学コースの合同卒論指導会が催された。私が指導を担当している学生の中に,小学校におけるコミュニケーション能力の育成について研究しているものがいる。彼女なりに,これを次のように定義して,それを育成する方法論について問題の所在を述べ,また,先日も紹介した広島県府中市立上下南小学校のカリキュラムの分析結果を報告した。
 「人間同士が面と向かって、相手や場面や伝える内容などに応じたわかりやすい手段を用いて、情報や意見や感情を相互にやりとりするうちに、お互いの間に関係性を構築する力」
 合同指導会では,実践の分析に着手する前に,コミュニケーション能力の構成要素やモデルを用意すべきだという指摘を受けた。私自身は,図のような3次元モデルを提唱しているが,学生には,これを踏まえて,独自のモデルを構築してもらいたいと思う。communication
 読者の皆さんは,コミュニケーション能力の育成について,どのような定義,構成要素,モデルをお考えだろうか。もし参考になる文献や実践があれば,ぜひご紹介いただきたい。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2005.07.07

ワークショップ型研修とリーダーシップ(『ワークショップ型研修のすすめ』から)

 先日,『ワークショップ型研修のすすめ』(村川雅弘編,ぎょうせい)が刊行された。早速,ネットで購入し,読破した。我が尊敬すべき先輩,村川先生(鳴門教育大学)の最近の学校現場での取り組みをまとめられた良書だ。ワークショップ型の教員研修の原理,モデル,ツール,そして事例がよく整理されている。私自身も,授業研究会等を「参加型」で展開することが多くなっているので,それらを評価する際に,本書の知見を利用させてもらおうと思う。
 ただ,私にとっては不思議なことなのだが,「ワークショップ型」研修を企画・運営するリーダーについての言及が極めて少ないように感じた。どんなに道具を整えても,研修における活動が盛んになるか否か,それによって参加者が得るものが大きくなるか否かは,それを企画・運営する立場の人間の力量に依存していると,私は経験的に考える。だから,このブログでも,「司会スキル」を提案してきた。また,研修主任等の力量形成を志向したe-Learningプロジェクト(昨日紹介したLTプロジェクト)を推進している。
 ワークショップ型研修とリーダーシップ,とりわけ,研究主任などのミドルリーダーのイニシアチブについて,これからしっかり検討し,積極的に提案したいと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2005.07.06

研究主任による研究テーマや研究の枠組みの提案(LTプロジェクト第2課題から)

 先日,今年度と次年度の2年間に及ぶ教師教育e-Learningプロジェクト,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)において,参加者に第2課題を提示した。それは,ある学校における実践研究の進捗状況を条件文として与え,「当該校の研究主任が平成17年4月に同僚に示すべき,学校研究の枠組みに関する『提案文書』を作成しなさい。」というものだ。提案文書は,学校研究のテーマ(対象とする教科・領域,育てたい能力・資質などを含むこと),その設定理由,研究構想図とその解説から成る。
 我ながら,なかなかよい課題を用意できたのではないかと思っている。研究テーマや研究の枠組みの提案は,学校研究推進上,極めて重要なステップだからだ。プロジェクトに参加している8名の教師たちには,この課題に取り組む中で,研究主任に必要とされる「考え方」を会得してもらいたい。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2005.07.05

理科におけるコミュニケーションのあり方(広島県府中市立上下南小学校の授業から)

 5日,広島県府中市立上下南小学校を訪問し,同校の校内授業研究に参加した。近年,広島県は,「ことばの教育」の推進に力を注いでいる。それを踏まえて,この学校も,国語科を中心に,子どもたちのコミュニケーション能力の育成を学校研究のテーマに掲げてきた。
 今年度,同校の教師たちは,これまでの学校研究の財産を生かしながら,各教科等における「伝え合う力」の活用に,実践研究を発展させようとしている。今日は,総合(6年),理科(5年)において,子どもたちの交流活動や発表場面が導入された。
 後者の理科では,子どもたちは,ヒトやメダカの誕生について調べたり考えたりしたことを,分かりやすく伝えようと努力していた。理科固有の論理,すなわち(自然)科学的な根拠に基づいた発表内容の構成,事実と考察との区別,発表内容を強調するための図表等の活用に彼らは腐心していた。DSC09495

 ただ,授業者は,それらに加えて,性教育や生命教育にも関わる内容,例えば生命誕生の尊さなども扱いたかったようだ。だから,子どもたちは,前記の発表だけでなく,例えば,赤ちゃん誕生時の家族の喜びを劇化して示したりもした。授業後の協議では,この点を切り口にして,理科におけるコミュニケーションのあり方について,ずいぶんと議論した。理科のねらいや内容を深めるのならば,つまり,ある種の発展的な学習においては,生命誕生に関する科学的な説明だけでなく,それを自分の誕生や成長と重ねて報告すること,だからより多様な方法が導入されることもありうるという共通理解に至った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.04

教育課程の編成から経営へ(高階玲治編著『信頼に応える「教育課程経営」力』,ぎょうせいを読んで)

 「ぎょうせい」より刊行予定の単著『教師が磨き合う学校研究』の原稿執筆のため,学校研究推進に関する著書を読んでいる。
 その一環で,高階玲治編著『信頼に応える「教育課程経営」力』を読んだ。教育課程,カリキュラムが静的なものではなく,常に評価・改善を図る動的なものであるという意味で,編者は,教育課程は編成するだけではなく,「計画段階で意図した教育実現が達成したかどうかについて,指導後の点検・評価,改善を行う」ものであると説く。共感できる。
 加えて,私は,教育課程の経営は,それが学校を基盤として展開され,同時に,その際にはなんらかの意味でオリジナリティがあるものが目指されるべきだと思う。そして,その営みならば,教育課程の経営よりも,「カリキュラム開発」と呼ぶにふさわしいのではないか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.03

7月9日(土)に大阪で日本教育メディア学会の研究会を(第3報)

7月9日(土)に開催される日本教育メディア学会平成17年度第1回研究会「放送教育の伝統と刷新」のプログラムを紹介しよう。参加希望者は木原@大阪市立大学までご連絡を。

13:00-13:15
開会の辞:小笠原喜康(日本大学) 諸連絡:木原俊行(大阪市立大学)

第1部 座長:黒上晴夫(関西大学)
13:15-13:45 発表1
放送番組への多知能説アプローチ
澤田敬人(静岡県立大学)
13:45-14:15 発表2
放送とインターネットの学習利用をどのように役割分担させるか
大作 勝(長崎大学)
14:15-14:45 発表3
教養教育としての映像教育に関する実践的研究
岡部昌樹(金沢星稜大学)
14:45-15:00 休憩

第2部 座長:未定
15:00-15:30 発表4
保育におけるはじめての放送教育への取り組み手法とその実践例
堀田 博史(園田学園女子大学)
15:30-16:00 発表5
学校放送番組と関連Webを活用した小学校社会科の習熟度別学習
-社会的な思考・判断の充実に資する深化・補充学習の展開-
松浦智史(大阪府枚方市立五常小学校)

16:00-16:40
総括討論 進行:木原俊行(大阪市立大学)

16:40-16:50
閉会の辞:小笠原喜康(日本大学) 諸連絡:木原俊行(大阪市立大学)

なお,会場等も再々掲しておこう。
日時:7月9日(土)13:00~17:00ごろ
場所:大阪市立大学・文化交流センター
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600
大阪駅前第2ビル6階
JR大阪駅,地下鉄梅田駅から徒歩5,6分(交通至便!)
http://www.ado.osaka-cu.ac.jp/BUNKO/index.html

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.07.02

「研究を続ける」-その難しさと必然性

 1日夜,我が専修で博士の学位を取得し,今年度からある大学に勤務し始めたMさんと会った。本学の大学教育研究センターに所属しておられる矢野先生も一緒だ。
 3人で,「研究を続ける」ことの難しさについて,話をした。大学教官(教員)になると,当然,様々な仕事をこなさなければならない。授業,学生指導,委員会活動,入試業務,大学改革のプロジェクトなど,大学院生の時に比べて,研究に費やせる時間は減る。研究とその他の仕事の時間費が,0.5:9.5になる場合さえある。
 しかし,その0.5が大事であると3人ともが思っていた。時間的には少しでもこつこつと研究を進めること,その成果を少なくとも1年に1度は発表すること,そして文章にすること。それらができるならば,いつかまた,研究により多くの時間を注げる状況になった時,いい研究ができる。研究を続ける――,それは当たり前のようで実に難しい。しかし,研究者たるためには,そうでなければならないのである

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2005 | Main | August 2005 »