« August 2005 | Main | October 2005 »

2005.09.29

研究発表会のプログラムデザイン(広島県府中市立上下北小学校の研究発表会)

 29日,広島県府中市立上下北小学校で研究発表会が催された。同校の教師たちは,「コミュニケーション能力を高め,基礎・基本の定着を図る授業づくり」という研修主題の下,その成果と課題を参加者と共に考えるべく,研究会のプログラムを工夫した。
 まず,すべての学年の授業が公開された。1年と4年は国語,2年は算数,そして3,5,6年は英語活動の授業を参加者に見てもらった(6年生は英語劇を披露した)。DSC00418
 続いて,研究主任が同校の研究の枠組みを紹介し,公開された授業の背景知識を手にして,参加者は,国語,算数,英語活動に分かれて,授業検討を繰り広げる。付箋紙に気づきを記し,それを集約しながら,授業や学校研究について議論を繰り広げるが,その司会・進行は,隣の学校の教師たちが担当した。彼らは,1学期以降,上下北小学校の校内研修会に参加しているので,上下北小学校の教師たちと一般の参加者を接続する役割を担える。
 全体会では,分科会別の協議のまとめを,私の司会の下,報告してもらう。その内容について,各分科会参加者に補足してもらいながら,最終的には,3つの分科会の報告をつないで,上下北小学校の学校研究を総合的に評価していく。その過程では,進学する中学校の教師,上下北小学校にかつて勤務していた教師に,コメントを求め,上下北小学校の学校研究をより立体的に批評することも試みる。
 たった半日の研究発表会でも,以上のようなプログラムであれば,主催する学校の教師たちにも,参加した教師たちにも,自らの学校研究を点検・評価するための刺激,情報,題材が豊富に提供されよう。公開される授業と同じくらい,研究発表会のデザインには工夫が求められるし,上下北小学校の本日の研究発表会はそうした点からすると「十分満足できる」レベルに達していたと思う。

| | Comments (1)

2005.09.28

第31回全日本教育工学研究協議会全国大会・長野大会

 枚方市立五常小学校の松浦さんが第31回全日本教育工学研究協議会全国大会・長野大会で「日本とことん見聞録」とその関連Webを活用した実践をレポートする。今日は,その発表論文の内容や表現を点検させてもらった。私も連名発表者になっているからだ(恥ずかしいから嫌だと言ったんだけど)。
 彼の発表タイトルは,「学校放送番組と関連Webによる『個に応じた指導』の実現~小学校5年生社会科の単元『これからの食料生産』を事例として~」だ。昨年の習熟度別指導,その実現に向けた学校放送番組と関連Webの活用を発展させるべく,特に形成的評価の方法を工夫している。協議会に参加される方には,ぜひ松浦さんの発表をお聞きいただき,ご批評いただきたい。

| | Comments (1)

2005.09.27

教科におけるプロジェクト学習(総社市立清音小学校の校内研修会から)

 27日,岡山県総社市立清音小学校の校内研修会に参加した。この学校の学校研究に,平成11年度からずっと,私は参画している。今年度は,国語科を対象として,「伝え合う力」を高める指導と評価の工夫改善に着手している。
 この学校は,平成11年度から,総合的な学習のカリキュラム開発に取り組み始めた。平成13年度には,地域の教材化,地域住民との交流や共同を特色とする,学校としての全体計画を策定している。
 この学校の教師たちが,総合的な学習の時間のカリキュラム開発,授業づくりに励んだことの成果は,今日の教科研究にも着実に生きている。今日の2年生と6年生の国語において「教科におけるプロジェクト学習」が展開されたことは,その証左であろう。例えば6年生であれば,清音地区の公共施設のユニバーサルデザインに関する提案文書を作成し,市役所に届け,その妥当性や実現可能性等について,評価を受ける。締め切りを念頭に置きながら,子どもたちはインターネットや文献,ヒアリングで調査したり,それを集約する提案文書の形式やレトリックを検討したりしていく。DSC00353リアルな状況での真正の活動が教科学習に,ごく自然な形で適用されているのだ。実践研究が継続・発展している学校の授業づくりは,工夫に富んでいて,見ていても学ぶものが多い。

| | Comments (0)

2005.09.26

広島県府中市立上下北小学校の研究発表会(29日)

 29日,広島県府中市立上下北小学校で研究発表会のが催される。この学校の研究主題は,「コミュニケーション能力を高め,基礎・基本の定着を図る授業づくり」だ。国語,算数,英語活動の3つの教科等の指導法の工夫改善やカリキュラム開発に着手している。
 当日は,すべての学年の授業が公開される。その特徴をいくつか紹介しよう。まず,ティームティーチングが充実している。それも,副担,少人数加配,地域の英語に堪能な方,中学校教諭と学級担任をサポートしたり,リードしたりする教諭や人材のレパートリーが豊かだ。
 次に,目標に準拠した評価の徹底があげられる。評価計画が実にしっかりしているし,評価規準や判断基準を子どもたちに意識させるための仕掛けや仕組みが整っている。またそれを活かして形成的評価を展開し,深化・補充学習を用意している。
 国語科におけるプロジェクト学習の展開,算数科におけるIT活用など,問題解決的な学習とその支援も十分に練られている。
 参加型事後研,それらを集約する全体会なども含めて,実り多い研究発表会になるに違いない。学校研究を充実させたいと願う教師たちにはぜひ参加してもらいたい研究発表会だ。

| | Comments (0)

2005.09.25

日本教育工学会第21回全国大会終わる

 9月23,24,25日に,徳島大学を会場にして,日本教育工学会第21回全国大会が開催された。シンポジウム「学力向上と教育工学」への登壇,課題研究「教師のICT活用指導力の育成-その実際,成果と課題-」のコーディネーション,院生の一般研究発表の指導やサポート,そして大会企画委員会副委員長としてのお務めと,長い3日間だった。大阪-徳島往復の運転もけっこう疲れた――。
 しかし,3日間フル参加して,多くの研究発表を聞き,質問したり,逆に質問に答えたりして,刺激を受けたし,自分の研究の独自性や問題点を省察できた。3人の院生とも,普段はとても確保できないほどの時間を一緒に過ごせて,いろいろ話せた。これも収穫かもしれない。
 今週末から,鹿児島大学で日本教育方法学会が催されるが,これにも参加する。またがんばってこよう。

| | Comments (0)

学校を基盤とする学力向上アプローチ(日本教育工学会第21回全国大会のシンポジウム2を終えて)

 24日,日本教育工学会第21回全国大会の2日目,「学力向上と教育工学」というタイトルのシンポジウムが開催され,私は,「学校を基盤とする学力向上アプローチ」と題する提案をおこなった。
 まず自己の研究の枠組みやスタンスを語った後,学力の総合性・多元性,また学力を育成する主体とその方法論の多様性という自らの報告の前提を述べた。次いで,それを総合学力研究会による学力調査・教育力調査の知見で確認した。そして,最後に,これらの前提と知見を踏まえながら,学力向上へのアプローチは学校を単位として個別的にプランニングせざるを得ないのだから,その意思決定を支援する道具(例えば授業や学校評価基準表など),教師たちの意思決定能力を高めるための研修プログラムや同システムの開発などが,学力向上に対する教育工学研究の貢献であると主張した。
 しかし,ある程度予想されたことではあったが,やはり議論の中心はIT活用や情報教育の取り組みになった。そこで,私は,確かにそれらは学力向上に対する重要な術である,だからこそ,その導入や普及においては各学校における実践の文化や歴史を尊重すべきだと,あらためて主張した。
 フロアの皆さんは,どうお考えになっただろうか――。
 提案で用いた資料は次のとおり。「kihara05.9.24.pdf」をダウンロード

| | Comments (2)

2005.09.23

学力向上をめざした授業実践(日本教育工学会第21回全国大会・シンポジウム1B)

 9月23日,徳島大学を会場とする,日本教育工学会第21回全国大会が始まった。今日は一般研究とシンポジウムが催された。後者のテーマは,「学力向上をめざした授業実践」である。学力向上に資する授業実践を3人の実践者が語り,それを関係する研究者が解説するという,なかなかユニークな形式でシンポジウムは進められた。
 報告された3つの実践は,よく練られたものだ。その設計ポイントは,学力向上を標榜する学校に招聘されて研究授業を見せてもらい,それを批評する際に私が用いる視点と,かなり重複するように感じた。ただ,多くの学校と共同的関係を築いている私の立場からすると,「授業実践」をカリキュラムレベル,学校経営レベルに位置づけてレポートしてもらいたいとも思った。
 明日は,よく似たテーマ「学力向上と教育工学」でシンポジウム2が開催され,私も登壇する。その際に,「学校を基盤とする学力向上アプローチ」を強調したい。

| | Comments (0)

2005.09.22

学会発表前の最後の練習(日本教育工学会第21回全国大会・一般研究)

 9月23,24,25日に,徳島大学を会場にして,日本教育工学会第21回全国大会が開催される。今日,院生とともに大阪を出発し,夕刻,徳島に到着した(大阪-徳島間の全行程を私が1人で運転!)。徳島ラーメンで腹ごしらえをした後,3人の院生の学会発表の練習会を催した。発表論文分も含めれば,少ない学生でも3回,多い学生はその倍くらい,指導してきた。これが最後の練習だ。全員,少しずつ,発表内容に筋が通ってきている。やはり練習すればするだけ,発表の内容や形式は充実する。
 しかし,完ぺきな発表などは存在しないから,さらに努力を重ねる必要もある。今日は,もう大きな変更点は指摘できないので,より分かりやすく,より主張点がはっきりするよう,自分なりにアドバイスした。
 3人の院生には,いっそう精進してもらいたい。

| | Comments (0)

2005.09.21

放送番組の活用による「考える力の素地(学び方,態度)」の育成(第31回なにわ放送教育研究会にて)

 21日,NHK大阪で,第31回なにわ放送教育研究会を催した。今回は,3つの実践が報告され,それをもとにした議論を繰り広げた。まず,なんと先月に続いて浜松から宮本さんがかけつけてくれ,「わかる算数5年生」の継続視聴の取り組み,放送番組の活用による「考える力の素地(学び方,態度)」の育成に関する実践を報告してくれた。11月11日(土)に長野で催される全国教育工学研究協議会で発表するものを,なにわ放研のメンバーに披露してくれた。
 次に,枚方市立五常小学校の松浦さんが「日本とことん見聞録」とその関連Webを活用した1学期の実践を再々度報告してくれた。これも,上記協議会で発表するものだ。二人の健闘に期待したい。
 最後に,守口市立三郷小学校の浅香さんが,やはり「日本とことん見聞録」とその関連Webを活用した2学期の実践をレポートしてくれた。大阪府の教員採用同期生の松浦さんとの同一番組対決の結果がどうなるのか,(少々興味本位だが)これにも期待が高まる。

| | Comments (0)

2005.09.20

うちの院生等の発表(日本教育方法学会第41回大会・自由研究)

 10月1,2日に,鹿児島大学教育学部を会場にして,日本教育方法学会第41回大会が開催される。この大会では,我が教室,すなわち,大阪市立大学・大学院文学研究科・人間行動学専攻・教育学専修の院生等が3人発表する。今日は,そのうち,2名の大学院生等の発表資料やプレゼンテーションを点検した。
 一人目は,地域コミュニティによるカリキュラム開発に関する比較研究の報告である。本郷プランと今日のいわゆる「地域運営学校」のカリキュラム開発をいくつかの観点から比較検討している。二人目は,異教科ティームティーチングの実践的課題に関する実証的研究だ。2つのケースの異教科ティームティーチングを資料調査や聞き取りによって追跡し,その異同を明らかにしている。
 二人とも初めての学会発表。最後の最後まで一生懸命に準備してもらいたい。その努力は必ずやよい成果をもたらしてくれるから。

| | Comments (0)

2005.09.18

学力の重層性,多面性(日本教育工学会第21回全国大会のシンポジウム2を間近に控えて)

 9月23,24,25日に,徳島大学を会場にして,日本教育工学会第21回全国大会が開催される。私は,2日目のシンポジウム2「学力向上と教育工学」で,「学校を基盤とする学力向上アプローチ」と題する提案をおこなう。
 私の提案は,2つの前提に基づく。1つは,学力の重層性,多面性だ。そして,もう1つは,学力を育成する主体,その方法論の多様性だ。前者は,古くは,廣岡亮三先生(水越先生の先生!)の3層4領域論,最近では,吉崎先生の基礎的学力AB,応用的学力,実践的学力の4分類などがある。私たち総合学力研究会のメンバーは「学びの基礎力」の重要性を提案しているし,私個人としては,「確かな学力」の構造モデルを主張している。
 マスコミの知識・理解偏重,我が教育工学会での議論に時々感じてしまう情報活用能力特別扱いなどに対して,教育実践研究のスタンス,とりわけ教師や学校の成長,カリキュラムの進展を記述したり,処方したり,支援したりする立場から,異論を呈してみたいと思う。

| | Comments (0)

2005.09.17

全放連・研究部の「学力向上プロジェクト」-全国大会における研究報告-

 17日夜,全放連・研究部の「放送学習による学力向上プロジェクト」のミーティングに出席した。このプロジェクトは今年度スタートしたものだが,10月28・29日に催される,放送教育研究会全国大会で,その中間成果を報告する。1つは,6月の授業研究の成果を29日午前中の実践交流会「基礎・基本」セッション(司会は私,木原)において,川崎市立稲田小学校の佐藤拓教諭がプレゼンテーションする。またもう1つは,各メンバーが放送番組を活用して試みた学力向上への取り組み,そのエッセンスを「リーフレット」にまとめ,参加者に配布する。DSC00251
 本日は,両者について,その内容や形式を議論した。放送教育は学力向上に資する。このプロジェクトは既に両者のいい関係を実践的に明らかにしている。ぜひ,全国大会に参加して,それをお聞きいただきたい。

| | Comments (2)

2005.09.16

学校研究のテーマ――その要件

 原稿執筆で参照しなければならなかったので,久しぶりに,水越敏行著『授業改造と学校研究の方法』(明治図書,1985年)を読んだ。これは,水越先生が雑誌「悠」(ぎょうせい)の連載に加筆して,他社から単行本として出版なさったものだ。私が大阪大学人間科学部教育技術学講座の1学部生としてお手伝いをした,学校研究の診断・評価についても,最終章に叙述されている。
 今,私も,似たような内容の「悠」の連載原稿を単行本にまとめつつある(ただし,同じ「ぎょうせい」からではあるが)。この本に学びながら――。
 さて,この著書の中で,学校研究のテーマの要件について,水越先生は,次のように整理なさっている。
A 時代の教育視聴を反映し,三年から五年先の先導的志向性をもつもの。
B 理念的なもの,生涯教育の目標になるようなものは避ける。いいかえると,教科や学年のちがいを越えて,共通に取り組めて,しかも象徴的なキーワードをもつもの。
C 先行研究がされているもの,具体的な解決の手がかりが考えられるもの。
D その学校の伝統,スクールカラー,児童生徒の実態,地域の特性を反映したもの。(p.13)
 「なるほど」と思う。4つの要件をすべて満たしているテーマには,そう簡単には出会えない。しかし,それがある学校の研究は確かに充実している。
 読者の学校の研究テーマはどうだろうか――。

| | Comments (0)

2005.09.15

うちの院生の発表(日本教育工学会第21回全国大会・一般研究)

 9月23,24,25日に,徳島大学を会場にして,日本教育工学会第21回全国大会が開催される。一般研究は約380件が予定されている。シンポジウム,課題研究をあわせると,430件ほどになる。
 この大会で我が教室,すなわち,大阪市立大学・大学院文学研究科・人間行動学専攻・教育学専修の院生が3人発表する。一人目は,大会初日の最初の一般研究セッションで,「児童の自己評価能力を育成する指導方策のモデル化」というタイトルの発表だ。これは,1年間,ある小学校教師の自己評価能力育成の実践を追跡した研究の報告だ。1年間に及ぶ長期追跡結果がアピールポイントだろう。二人目は,1日目の15:40からの教師教育(2)のセッションで,「日本の学校における初任教師の実践イメージの変容」と題する報告をおこなう。これは,諸外国の実践イメージ研究の知見との異同を語るのが強み。三人目は,大会最終日の10:00からの教育メディア(4)のセッションで,「『小学校英語活動』におけるWeb教材の活用可能性と課題」についてプレゼンテーションする。これは,私も連名発表となっている。小学校英語活動向けに開発されたWeb教材を比較検討し,知見の妥当性をユーザーたる実践者の目を通して確認するという,多面的アプローチを特長としている。
 今日は,発表の練習日だった。全員,「おおむね満足できる」基準に到達せず,後日,補充をすることとなった。

| | Comments (0)

2005.09.14

研究推進委員会の職務内容(羽豆成二編著『小学校 校内研究・研修の進め方』から)

 羽豆成二編著『小学校 校内研究・研修の進め方』(文教書院,1993年)を読んだ。この本は,校内研究・研修の意義,推進手続き,事例等が記された良書だ。特に,研究集録の構成や研究発表会のプログラムについても,その原理やパターンまで言及されていた。自分が『教師が磨き合う学校研究』において提案しようとしている内容の一部が既に報告されていて少々悔しかったし,同時に,この書が世に出てから10年以上も経っているのだから,これを乗り越える内容を提案しないといけないと意を新たにした。
 この書の中に「研究推進委員会の職務内容」という項目があった(pp.54-55)。それによれば,委員会の仕事は,次のような範囲に及ぶ。
・年度の研究・研修に対する基本方針の提示
・地域や児童の実態や現状の把握と分析
・社会の要請や動向の把握
・研究主題設定に関する原案作成
・研究推進のための研究会・研修会のもち方(全体会,分科会,教科部会など)の原案作成
・年間研究計画・月別研究計画の原案作成
・分科会などの各部会との連絡調整
・授業研究会,講演会などの原案作成
・講師,助言者などの研究・研修に関する指導者のリストアップと招聘
・研究・研修に関する情報や資料の収集と提供
・研究紀要や年報などの作成
・年間の研究・研修の計画の評価と今後の課題のまとめ
 かなりの重責を研究推進委員会が担っていることが分かる。今日,これに,小中連携の実践的リーダーシップ,保護者等への説明責任用の基礎資料の作成,学校ホームページにおける研究成果等の発信,学力調査や授業評価実施のイニシアチブなどが含まれることになろう。

| | Comments (1)

2005.09.13

1年生でも集中して学習(広島県府中市立上下南小学校の授業から)

 13日,広島県府中市立上下南小学校の校内研修に参加した。1年生の国語と3年生の音楽の授業を見て,後の協議会で,その特長と課題をコメントした。
 2学期に始まって間もないこの時期,しかも給食前の4時間目の研究授業だったが,1年生の児童が「おおきなかぶ」の音読の工夫をしっかり考え,そしてそれを実行しようとがんばっていた。1年生が,これだけ集中して学習に取り組めているのは,すごいことである。もちろん,それは,指導者の働きかけがあってのことだ。全校朝会での音読発表という文脈づくり(プロジェクト的学習),それを常に意識させる掲示の工夫,音読に関する評価規準や判断基準の明示,ティームティーチングによるきめ細かな指導など,1年生の児童の学習意欲を高め,それを維持させるための手だてが二重,三重にうたれていた。DSC00192
 11月2日の同校の研究発表会では,1年生の子どもたちは,さらに成長した姿を見せてくれるに違いない。

| | Comments (0)

2005.09.11

研究主任の能力・資質(黒上晴夫「校内研究・研修の組織・運営」から)

 尊敬する先輩,黒上晴夫先生(関西大学総合情報学部教授)は,「校内研究・研修の組織・運営」(水越・永岡編『学校の教育研究』,ぎょうせい,1995年)の中で,学校における研究のリーダーシップ,特に研究主任の能力・資質について,次の3つの要件を示している。
 ①教科等における授業研究を積んできていること
 ②教育課程や教育方法に関する理論書を読んでいること
 ③権威主義でなく人望が厚いこと
 ①は同僚に対して実践的なアドバイスをする際に必要になるだろうし,②は様々な教師の取り組みを俯瞰する図式を提案するために欠かせない。そして,③は学校研究という組織的活動を企画・運営するための前提条件であろう。
 この③に関わる問題として,私は,「同僚に対して個別的な配慮ができること」を重視している。同僚間の経験やこだわり等の違いを踏まえて,個別的にアドバイスやエールを送ることができる,彼らが取り組む実践の多様性を認めた上で,その共通項を導出したり,その関連性を指摘したりできる。そういう研究主任が在籍する学校の実践研究には,新奇性や独自性,継続性や発展性を確認できる。
 読者の学校にはそういう方がいるだろうか。また,読者自身がそうありたいと努めているだろうか。

| | Comments (1)

2005.09.10

広島県府中市立上下南小学校の学校研究の伝統

 先日紹介した広島県府中市立上下北小学校の姉妹校(ライバル校でもある?)に,上下南小学校がある。この学校も,子どもたちのコミュニケーション能力の育成を学校研究のテーマに掲げているが,なんとその対象教科等は,各学年の教師が自らの学級の実態等を考慮して,決める(各学年1クラス)。11月2日(水)に,授業公開を伴う教育研究会が催されるが,1年は国語,2年は算数,3年は音楽,4年は社会,5年は理科,そして6年は総合的な学習の時間の授業が公開される。例えば音楽の授業におけるコミュニケーション能力の育成,そのための学習過程や学習環境の工夫を見せてくれる学校がよそにあるだろうか。すべての教師が異なる教科等を対象として,コミュニケーション能力を育成に努めている学校が他にあるだろうか。
 上下南小学校の研究のように,違った教科を対象としながら,それでいてちゃんと各人の実践が接続され,学校研究としての体系を保てている学校はそう多くはないであろう。なぜ,そんなことが可能なのか。それは,この学校の実践研究の伝統による。この学校の教師たちは,毎秋,自主的に授業公開を伴う教育研究会を開催し,自らの教育実践を世に問い,そこで得られた批評やアドバイスを授業改善の糧としている。それがある種の学校文化として機能している。
 筆者が最初に同校を訪問した際に在籍した教師はもはや同校には1人もいない。それから7年。学校長も3人目を数えたけれども,学校研究は連綿と続いている。その秘訣をぜひ他校の先生方にも吸収してもらいたい。11月2日の同校研究会へのご参加を強くお勧めしたい。

| | Comments (0)

2005.09.09

29日に広島県府中市立上下北小学校の教育研究会が催される!

 今月29日(木),広島県府中市立上下北小学校で教育研究発表会が催される。同校の学校研究の枠組みや手続きは,私の理想型に近い。だから,ぜひ多くの先生方に参加してもらいたい。
詳しい日程は次のとおり。
12:30-13:00 受付
13:00-13:30 児童発表(6年生英語劇:千と千尋の神隠し)
13:40-13:55 開会行事
14:05-14:50 公開授業(1年国語,2年算数,3年英語活動,4年国語,5年英語活動)
14:50-15:00 休憩・移動
15:00-16:50 分科会・研究発表・シンポジウム
16:50-17:00 閉会行事
 6年生の英語劇は,見るものを圧倒するに違いないし,算数や国語の少人数指導,ティームティーチング,その指導法の工夫は秀逸だ。特に評価規準や学習過程を子どもたちに見通しとしてきちんと示している点は,他校の取り組みにはない充実ぶりだ。授業後の協議会も参加型で催されるし,それらと全体会の接続にも工夫が凝らされている。
 参加したら,必ずや得るものがある。参加しなかったら,きっと後悔するに違いないと思う。

| | Comments (0)

2005.09.08

学校研究=学校の共同研究の目的(安彦忠彦「学校の教育研究」から)

 なんのために,教師たちは,学校研究=学校における共同研究に取り組むのか。カリキュラム研究の第1人者たる,安彦忠彦先生は,「学校の教育研究」(水越・永岡編『学校の教育研究』,ぎょうせい,1995年)の中で,次のように,この問いに答えている。
 「学校の共同研究」の目的は,「教師間の意見交換による相互向上と,他の教師への研究成果の分かち合いの努力と経験」にある。(p.11) 学校における教育研究が,「教師の力量形成」や「同僚性の拡充」にあることを簡潔明瞭に示している。ただし,この著書が刊行されてから10年。学校における共同研究の目的にも,新たな色が加わるべきかもしれないとも思う。例えば,説明責任,あるいは,少人数指導や合科的指導等の共同的授業づくりの浸透など,現在,教師たちは,「共同研究」を企画・運営せざるを得ない状況に追いやられている。また,その可能性や意義,過程を,保護者や児童・生徒自身に了解してもらう必要にも迫られている。
いずれにしても,学校研究のテーマやスタイルには,普遍的な要素と時代性を帯びる要素があることは間違いないだろう。

| | Comments (0)

2005.09.07

放送教育全国大会の会場校の実践研究(東京都練馬区立八坂中学校)

 7日,東京都練馬区立八坂中学校を訪問した。ここは,10月28日に催される,放送教育研究会全国大会の会場校だ。大会当日,この中学校は全クラスの授業が公開される。また,授業別研究交流会,つまりいわゆる事後研もきちんと企画・運営される。大したものだ。先生方の挑戦心には敬意を表したい。それぞれの教科等で放送番組や視聴覚メディアの活用アイデアを考案し,授業化していることにも感心した。DSC00007
 本日の研修会では,私は,同校の研究をいっそう充実させるための方向性として,研究テーマたる「表現力」とそれを育成する方法論の多様性,評価規準や学習過程等の見通しを子どもに提供することの重要性などを,同校へのアドバイスやエールとして,語っておいた。

| | Comments (0)

2005.09.06

小中連携教育の具体的なアクション(大阪教育大学附属平野小中学校)

 6日,台風が近づく中,大阪教育大学附属平野小学校で,同中学校の有志と続けている,S&C勉強会が開催され,私も参加した。
 本日は,小学校側から,「平野の知恵袋」のシステム化や理科の小中連携教育に関する構想等がレポートされた。後者について,様々な意見や悩みが呈された。「連携のポイントが見いだせない。」「ポリシーが異なる。」「教科によってやり方が違ってもよいのか。」等々。
 「子ども観・授業観を一致させることが大事だ」という主張も出てきた。私は,それを認めつつ,「それを合い言葉にして1年。しかし,全国各地で小中連携教育が開発され提案されているので,今は,具体的なアクションを起こすことが大切なのではないか。」と述べた。また,「そのアクションは,多様なものがあっていい。各教科等で考えられるアイデアを実践的に提案し,それを研究部等が整理すればよいのだから。」と研究の方法論も語ってみた。
 実力のある平野学校園の先生方のことだ,研究発表会(中学校は10月29日,小学校は来年2月17日)では,公開授業において,また研究紀要の中で,小中連携の具体的なアクションを示してくれるに違いない。

| | Comments (0)

2005.09.05

『教育実習の手引き』の内容

 本日,本学で教育実習に行く学生に手渡している『教育実習の手引き』の改訂のため,自分が担当する「教科指導」の章の内容を検討し,旧版に加除訂正した。見出しは旧版と同じく,次のようなものである。
 1.教材研究のしかた
 2.学習指導案の書き方
 3.実習授業の前に
 4.授業形態
 5.実習授業の自己評価チェックリスト
 6.研究授業
 しかし,2.学習指導案の書き方や6.研究授業の内容はけっこう書き換えた。例えば前者であれば,評価規準や評価計画の項目を加えた。また,6,研究授業においては,その事後検討会が参加型,ワークショップ型で展開されるケースが増えてきたことを示唆した。
 時代が変われば,授業に,教育実習生に求められる,期待されるものが変わる。そのことを再認識した。

| | Comments (0)

2005.09.04

『学力向上ハンドブック』に載せる実践事例(Benesse教育研究開発センターとの共同研究)

 3日,新大阪のアクロスビルで,Benesse教育研究開発センターとの共同研究プロジェクトの会合に参加した。以前にもこのブログで紹介した,『学力向上ハンドブック』の開発に関するものである。
 『学力向上ハンドブック』は学力調査の結果を学力向上アクションに結実させるための支援ツールだ。そのために,このハンドブックには,よく練られた「演習」課題を準備する。私の担当は,授業改善,校内研修の活性化,そして家庭・地域とのパートナーシップの確立のために,自校で今何をすべきかを利用者が同定できる演習課題の作成だ。
 加えて,このハンドブックには,学力向上実践のモデル事例を掲載し,利用者の実践イメージをより確かなものにする。どのような実践事例を載せるかについて,けっこう時間をかけて議論した。読者は,「学力向上実践のモデル事例」と聞いて,どのような授業を想像するだろうか。
 我々のプロジェクトチームは,まず学力を,学びの基礎力,教科学力(確かな学力),生きる力の3層構造でとらえているので,当然,事例はそれに呼応させる。例えば,学習・生活習慣を確立するための宿題の出し方,保護者へのアピール方法などについてのモデルケースを事例群に含める。教科学力についても,算数や国語だけに限定しないし,育成のための手だてもできる限り多様なものを例示する。IT活用,異教科ティームティーチング,教科におけるプロジェクト学習なども事例として登場させる。
 学力向上を標榜する学校のミドルリーダーには,学力向上を目指す,多様な実践事例を思い浮かべ,それらを整理できるかどうかを自問自答してみてほしい。

| | Comments (0)

2005.09.03

教育実践研究の方法論(梶田叡一『教師・学校・実践研究』金子書房から)

 先日,兵庫教育大学学長の梶田叡一先生に,最近のご著書『教師・学校・実践研究』(金子書房)を謹呈していただいた。これはきっと,こうしたテーマをもっとしっかり勉強しなさいというお達しだと考え,電車の中や出張先のホテルで読んだ。
 著者で繰り広げられる教師論,学校論は大変示唆に富んでいるが,やはり私にとっては,教育実践研究の方法論に関する叙述に感じるものが多かった。日頃,自分が学校現場と関わる中で注意,意識していることを整理して語ってくださっているからだ。例えば,次のような点である。
 ・一般に人間研究においては,自分自身を対象に人間理解を深めていこうとする第一人称的アプローチ,誰か親しい相手についての研究から人間理解を深めていこうとする第二人称的アプローチ,「一般に人は……」ということで相互主観的で公共的な視点を重視した研究によって人間理解を深めていこうとする第三人称的アプローチの三種を区別することができる。(p.147)
 ・第二人称の教育研究とは,親しい教師なり学習者なりに密着し,その人についての資料を集めて吟味・検討し,「この人の場合……」という形で,その人にとっての教育体験を明確にし,意味づけ,またそれを土台にその人の具体的な活動に役立つ何かを開発・創出していく,というものになるであろう。(pp.153-154)
 自分もいつか,教育実践研究の方法論に関する著書を上梓し,それを世に問いたいと思う。いつになるか,そんなことができるのか,自信はないが――。

| | Comments (0)

2005.09.02

教育学部の学生さん(和歌山大学教育学部での集中講義にて)

 何度もレポートしてきたように,今週4日間,和歌山大学教育学部教育実践学教室の専門科目「授業研究論特講」の集中講義を担当してきた。考えてみれば,平成12年8月に,岡山大学教育学部で「カリキュラム論」の集中講義を担当して以来,教育学部の学生と接する機会がなかった。
 だから,教員志望の強い学生さんの言動が新鮮だった。進路をたずねると,なんのためらいもなく「小学校教員です」と答える初任教師の苦闘を示す映像を視聴させると,自らの姿をそこにダブらせ,真剣な眼差しを向け,共感しているDSC00008
 大阪市立大学にも,教育について真剣に考える学生はたくさんいる。しかし,授業記録の教師の姿をここまで同一視するのは,やはり教員志望が強い学生が数多い,教育学部ならではの傾向であろう。こういうのもいいなと思った。

| | Comments (0)

2005.09.01

「授業研究論特講」(和歌山大学教育学部での集中講義)最終日

 本日は,和歌山大学教育学部教育実践教室の専門科目「授業研究論特講」の集中講義の最終日だった。今日は,中堅・ベテラン教師の成長,そのライフストーリー,わが国の教師教育,特に校内研修の意義と課題について解説したり,ビデオにより実践事例を提供したりした。
 受講生は皆,教員を目指しているので,実践的課題についての興味・関心は強く,講義内容を自分のものにしようとする意欲に満ちている。
 講義の最後に,ある実践の映像記録を受講生に見てもらい,それに対する次のような問いに回答してもらった。我ながら,「授業研究論特講」の内容を踏まえた,よく練られた(知識ではなく思考力を問う問題であるという意味で)問題だと思う。

視聴した授業実践記録に関する次の問いに解答しなさい。
1.この実践の単元目標を推測し,2つ記述しなさい(10点×2)。
2.この実践を「総合的な学習の時間」として発展させるとしたら,どのような方向性があるでしょうか。その方針を策定しなさい(10点)。
3.「メディアミックス」を視点として,この実践と講義で紹介した大阪府守口市の小学校6年生社会科歴史学習の実践の異同を指摘しなさい(10点×2点)。
4.この実践を計画・実施・評価した教師たちは,次にどのような実践にチャレンジするでしょうか。教師の力量形成のプロセス,ライフストーリーなどを視点として,それを予想しなさい(10点)。

 集中講義にお誘いいただいた野中先生,いろいろとお世話になりました。ありがとうございました。

| | Comments (1)

« August 2005 | Main | October 2005 »