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2005.11.30

小中連携推進のための人事システム(浜松市立雄踏小中学校の共同研究)

 30日,浜松市立雄踏中学校の理科の授業を見学し,同地域の雄踏小学校と共同で展開している「小中連携による基礎学力定着」の営みの一端にふれた。両校は,学習指導連携部,生徒指導連携部,そして交流連携部に分かれて,つまり,3つの側面から,小中連携を推進している。今日は,学習指導連携部の取り組みの一環として,第2学年の単元「化学変化と分子,原子」のうち,「酸素と鉄の化合」を扱う授業が公開され,それを題材にした協議が催された。
 授業者は,小学校での「化学変化」の学習経験を発展させるべく,変化の要因の分析,それを各生徒が1人で実験をおこなうというスタイルの採用などにより,科学的な思考と観察・実験の技能・表現を育もうとしていた。それは,両校の理科教育に共通する重点項目とのことだった。雄踏小中学校は,何度も合同研修会を重ねて,こうした共通点を同定している。DSC02018
 ところで,授業者は,小中学校の教員免許を有し,かつて雄踏小学校でこのクラスの生徒の一部を指導した経験を持つ。つまり,子どもたちとともに「進学」してきたのだ。だから,例えば指示がていねいであるとか,子どもたちとの距離を短くするといった,小学校教員に必要とされる指導技術に長けている。このクラスの生徒の学習への集中力が高く,活動がきびきびしていたのは,様々な理由があるだろうが,その1つとして,小学校の指導経験に立脚した,授業者のきめ細かな指導が挙げられることは間違いなかろう。ちなみに,雄踏小中学校では,こうしたケースを毎年のように設けているらしい。
 小中連携には,その架け橋となるコーディネータが必要であると私も常々主張してきたが,この地域の「小中連携推進のための人事システム」を眺めて,いっそうそう思った。

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全放連の研究枠組みがよく分かる資料(第56回放送教育研究会全国大会の基調提案から)

 昨日,全放連研究部の田端さんと会い,やっと,先月29日の第56回放送教育研究会全国大会における基調提案のファイルを頂戴できた。pdfファイルにしてアップロードするので,放送教育実践者の方にご覧いただきたいと思う。放送教育研究の歴史,組織,実際,2日間の全国大会の模様等,現在の全放連の研究枠組みがよく分かる
 放送教育指導者養成講座(虎の穴)の卒業生・現役生には不可欠の資料だ。「2005TabataPresentation.pdf」をダウンロード

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2005.11.29

全放連・学力向上プロジェクトの研究授業(11月29日,横浜市立上大岡小学校で)

 29日,全放連・研究部による「放送学習による学力向上プロジェクト」の授業研究が,横浜市立上大岡小学校で催された。「はじめての国語 ことばぁ!」第12回『そうだ!これだ!』を用いて「話す・聞く能力」を育もうとする授業だ。DSC01954
 授業者の金子教諭は,子どもたちに,番組で示唆された活動(鳥の特徴を相手に分かるように伝える)に取り組ませた後,対象をイヌやパンダに変えながら,いっそう相手に分かりやすい表現を考えさせるという展開を考えた。彼らは,金子教諭が用意した活動に浸りながら,コミュニケーション成立の楽しさを味わったし,ものの特徴を表現する際の話型について会得したとも思う。

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2005.11.28

小中高等学校の近似性

 本日,全学を対象とした教職科目「教職概論」の講義で,中高一貫教育を話題にした。その意義や必要性,現状,事例,課題などについて幅広く解説した。
 途中で,学生に聞いてみた。小学校と中学校,中学校と高等学校のどちらのペアが,近似性,類似性が高いですかと。このブログの読者は,どう回答なさるだろうか。
 学生は,教科担任制をとりあげ,中高のペアの近似性が高いと主張する。確かにそれは,正鵠を射てはいるが,私は,学校研究,授業研究への熱意という意味では,むしろ,小中の方が近しい関係にあると思うのだが――。

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2005.11.27

勉強熱心な教師

 昨日,大阪教育大学天王寺キャンパスで第5回スクールリーダー・フォーラムが開催され,私も参加して,基調講演「教員の授業力量形成の現状と将来-『リーダー層教員』たるカリキュラム・コーディネータを中心に-」を担当した。数週間前に講演原稿を仕上げた際に,このブログで,フォーラムの開催を案内した。
 しかし,それ以上は,誰にも直接にはフォーラムの開催について紹介したわけではないのだが,LTプロジェクトのメンバーになっている,ある男性教師が,ブログを読み,自主的にフォーラムに参加していた。現在,研修主任を拝命しているので,その役をうまく果たすために勉強しに来たとのことであった。大半の参加者が管理職や指導主事で,それらの人々がネクタイを締め,スーツを着ている中で,教職10年目のその教師がセーターにスニーカーという格好で参加していたのは,妙に目立ったが――。
 彼は,プライベートでは小さな子どもを2人も抱えている家庭状況にあるので,決して土曜日のフォーラムに参加しやすいわけではあるまい。1週間前に開催された,LTプロジェクトのオフミに参加したばかりであったし。だから,その姿勢に感心させられた。もちろん,このフォーラムへの参加だけが教師にとっての「学び」の舞台ではないが,こうした熱意や意欲は,必ずや彼の成長に資すると思う。また,LTプロジェクトがその契機を彼にもたらしたのであれば,自分としては非常にうれしい。

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2005.11.26

第5回スクールリーダー・フォーラム開催される!

 26日,大阪教育大学天王寺キャンパスのミレニアムフォーラムを会場にして,第5回スクールリーダー・フォーラムが開催された。これは,大阪府教育委員会と大阪教育大学の合同プロジェクトで,スクールリーダーの能力・資質やその力量形成についてディスカッションする機会だ。
 今回は,「リーダー層教員の力量形成-量的確保と質的向上-」というテーマで催されたが,私は,基調講演「教員の授業力量形成の現状と将来-『リーダー層教員』たるカリキュラム・コーディネータを中心に-」を担当した。教師の授業力量に関する3つのモデル,それを充実させるための「コーディネーションのための知識とスキル」の実体と事例,それらを育成するための研修のデザインとプログラムなどを報告した。
 参加者の顔ぶれは,高校の管理職の方などが多いと聞たい。マネージメントについての話を期待なさった方には,私の授業研究,カリキュラム開発を軸とする学校改革,そのためのコーディネーションを繰り広げるミドルリーダー(カリキュラム・コーディネータ,学校研究推進リーダーなど)の役割や資質の話題は役に立ったのだろうか。
 講演途中で,「英国の初等中等学校の校長は,自ら進んで授業を担当し,子どもとの接点,授業のセンスを維持しています」とコメントした際は,けっこう反応があったし,「研究主任は,同僚の授業の特長を豊かな言葉で,的確にコメントできないといけないですね」と指摘した際には,頷く方も多かったようには思ったのだが――。やはり,教育方法学や教育工学と学校経営学の対象や課題にはズレがあるのだろうか――。

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2005.11.25

読書習慣の形成が成功すると(広島県府中市立南小学校の実践研究)

 25日,広島県府中市立南小学校の教育研究会に参加した。同校は,「確かな学力の育成-コミュニケーション能力の育成を通して-」という研修主題を掲げ,国語部会と算数部会を設けて,実践研究に取り組んでいる。国語科におけるコミュニケーションスキルの育成,1つの写真から多様な物語を構成するといったメディア・リテラシーの取り組み,数学的コミュニケーションを重視する算数の指導など,本日は,全学級で研究主題に基づいた授業が披露された。
 加えて,授業開始前に,「読書タイム」の取り組みが公開されたが,これが,「読書習慣の形成が成功すると子どもはこうなる」ということを見事に物語るものだった。子どもたちは,それぞれ,自分が読む本を図書室から,学級文庫から探し出してきて,熱心にそれに向かう。1冊の本をはさんで,数名の児童が感想を交わす姿も確認された。司書の方との会話も熱を帯びている。しかも,それらが本当に楽しそうなのだ。彼らは,教師たちから強制されるから,本を読んでいるわけではない。あの笑顔は,本が,読書が好きだから彼らがそうしていることを象徴するものだDSC01809DSC01816 教師たちは,「本を大切にする」文化を育むために,「お勧めの本」紹介コーナーを設けたり,ブックトークの機会を用意したりしている。図書室にはブックトークで進められた本や教科書に登場する作品の展示ゾーンが設けられていたし,教室には「貯読書通帳」なるものが掲示され,個々の子どもたちの「本とのつきあい」の歴史が確認できるような仕組みが整えられていた。
 南小学校の取り組みは,「ことばの教育」を標榜する,広島県の教育を代表する実践であろう。

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2005.11.24

研究授業後の協議会を充実させるために

 昨日,新大阪で,『学力向上ハンドブック』(Benesse教育研究開発センターとの共同研究)の編集会議が催され,私も,それに参加した。このハンドブックは,学力調査に基づいて,授業改善のアクションプランを作成し,また実践し,そして評価するというR-PDCAのプロセスを読者に案内するものだ。
 私の執筆担当は,第7章の「学力向上を確かなものとするためのアクションプランの設計と実行」で,3つのトピック(授業改善,校内研修・研究,家庭・地域とのパートナーシップ)を扱う。それぞれのトピックについて,概要説明,ケーススタディと解説,演習,コラム,そして,まとめと自己評価という枠組みで構成している。
 「校内研修・研究」のうち,授業研究会における協議について,①協議会の趣旨の徹底,②協議会のワークショップ的展開,③参加者自身の授業改善を促す作業(活動),④講師(指導主事,大学教授)の有効利用というポイントを示すことにしていた。編集会議のメンバーより,⑤として,協議会における「論点の選定や焦点化」を詳しく解説してほしいとの依頼を受け,次のような文章を追記した。校内研修・研究の授業研究会で司会進行役を果たす方にとって参考になるだろうか。

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2005.11.23

「成長する学校」

 昨日,志水宏吉著『学力を育てる』(岩波新書)を紹介したが,実は,志水先生とはちょっとした知り合いだ。志水先生の依頼である中学校の実践研究をサポートしたこともあるし,今も,とある委員会に同席させていただいている。
 それゆえ,何度か,学校論とか授業論について意見を交換する機会があったし,その際には,志水先生の「力のある学校」には,賛同する部分が多いと感じた。私が理想とする学校も,確かに,「力のある学校」のように,「教師集団のチームワーク」が機能しているし,「集団づくり」を大切にしている。「総合力が高い」という特徴を有している。
 ただ,私は,「効果」以上に,学校の「成長志向性」を,学校を眺める際の指標としている。「成長する学校」とは,授業やカリキュラムの改造に研究的,挑戦的,そして継続的に取り組む学校である。自らの授業の振り返り(リフレクション)と見直し・改善(アクション)に教師たちが共同的に取り組み,それらをいっそう充実させるために授業や学校を公開し,その工夫改善をアピールし,他者に批評してもらう姿勢を持つ学校である。
 「荒れ」や低学力問題が確認されなくても,こうした創造的活動を教職の楽しさ,豊かさであると考え,それに時間とエネルギーを費やしている学校は数多い。そして,残念ながら,その成果が学力調査結果のような形で顕在化していないけれども,訪問して授業を拝見して,「ああ,いい学校だ」と実感できるケースも少なくない。教育実践のよさが学力調査等の結果に反映されるとは限らない。それは,あまりにも多くの変数に規定されているからである。

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2005.11.22

「力のある学校」(志水宏吉著『学力を育てる』岩波新書)

 大阪大学・大学院人間科学研究科教授の志水宏吉先生が,先日,岩波新書『学力を育てる』を上梓された。ご献本いただき,恐縮すると同時に,さっそく読破した。この本は,学力問題,学力調査,学力向上へのアクション等,学力とその育成に関する基本的な考え方,それらに基づくリサーチ結果などについて,分かりやすく,また体系的に論じた好著だ。
 「プロローグ-私の『学び』との出会い」として,志水先生ご自身のライフストーリーが語られ,学力形成が人々に及ぼす影響が具体的かつ印象的に示されている。これにも,たいへん,感心した。志水先生は,先の秋田・恒吉・佐藤編著『教育研究のメソドロジー』でも似たような手法で研究課題設定や研究方法決定の問題を論じていらっしゃったが,本書では,それがいっそう豊かに示されたと感じた。
 さて,本書の提案の中核は,やはり「効果のある学校」論であろう。志水先生は,それを,日本流に,また現場風にアレンジすることを試み,「力のある学校」=「子どもたちをエンパワーする学校」論へと展開している。そして,そうした学校をつくる過程を,建築メタファを用いて解説している。基礎を構成する「教師集団のチームワーク」,その上に,骨組みたる「集団づくり」を配置しようと。また,建物メタファを用いて,1階を「基礎学力の保障」フロア,2階以上の部分を「総合学習」や「情報教育」といった「応用的学習」フロアであるとも力説している。
 この他のパートも含めて,学ぶところの多い著書だ。

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2005.11.21

学力向上に向けたコンサルテーション窓口の設置

 本日も,A市の学力向上推進委員会に出席した。本年度,第4回目の会議だ。事務局から,次年度の学力調査の実施枠組みや学力向上施策案が示された。
 自分が委員会で発言してきたことのいくつかが,具体的なプランに体現しそうだ。1つは,「学力向上コーディネータ」の設置である。この市の小中学校には,学力向上のためのカリキュラムの開発や教員間の連携の促進,家庭や地域とのパートナーシップの充実のために活躍する人材を学校組織に設けることになりそうだ。ただ,私の理想からすると,少し距離がある。この立場の主たる役割を,事務局側は,この立場の人材の役割を学力調査結果の分析等に限定していたようだが,私は,それを授業改善等のアクションプランにつなげ,さらにその運用においてイニシアチブを発揮するところまで拡張してもらいたい。
 もう1つは,学力向上に向けたコンサルテーション窓口の設置である。教育委員会に,学力向上を目指す学校がアクションプランを策定し,その運用を形成的に評価する際の支援機能,例えば相談窓口を設けるというものだ。
 これらの具体化をどこまで推進できるかを確認するために,当初の予定になかったが,次年度予算案が組まれてから,再度委員会を学力向上推進委員会が開かれることになった。

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2005.11.20

研究授業後の協議会を充実させるポイント(LTプロジェクト第3回オフミから)

 20日,新大阪の貸会議室で,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)の第3回オフミが開催された。
 今回,参加者は,まず,プロジェクトのここまでの活動の自己点検・評価を実施した。課題について,テレビ会議や掲示板での意見交換等について,さらにプロジェクトで得た知識等を活かした所属校におけるアクションについて,半年間を振り返り,中間的な成果と課題を再確認した。
 その後,第3課題「研究授業とその協議のデザイン」=協議会の進行案について,まずグループ別に発表会を催し,次いでグループ代表が全体に向けて提案し,それらの妥当性について意見交換を繰り広げた。DSC01756さらに,第3課題を題材にして,年度末に作成するQ&A集の項目づくりにトライした。そして最後に,本日のオフミで得たもの,プロジェクトへの今後の取り組み方について,各人に思いや考えを表明してもらった。私も,「研究授業後の協議会を充実させるポイント」を次のように整理して示した。
<協議会を充実させるポイント-研究推進部は何に留意すべきか->・授業研究会の実施時期やその成熟度に留意する
・協議会の進め方の見通しをたくみに示す(手引き等)
・授業の見方を案内する(フリーも含めて)
・(事前に)意見をたくさん出してもらうための工夫(付箋紙やワークシートの準
備,まとめ方の予想と柔軟な対応等)
・次第に論点を絞り込む,それをビジュアルに表現し,共有化しやすくする
・自分の授業についての改善を個々に考える場面や道具を提供する
・講師の有効活用を図る(複数回の登場,個別の役割等)
 4時間のオフミであったが,かなり充実したオフミになった。参加者の皆さん,お疲れ様でした。

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2005.11.19

「学校力」を高める研究主任(ぎょうせい『悠』2005年12月号の特集)

 『』2005年12月号(ぎょうせい)が届いた。この号は,「『学校力』を高める研究主任」という特集が組まれている。研究主任に求められる能力・資質が,研究者へのインタビュー等によって,また,すぐれた学校研究を展開する学校の研究主任の寄稿によって,議論されている。私が関わりを持っている,広島県府中市立上下北小学校の取り組みも紹介されている。
 研究主任に期待される能力・資質,それに基づくアクションを体系的に整理した文章がなかったのは残念だが,学校研究を推進するための研究主任の役割やその意義についてイメージを鮮明にすることはできる,よい特集だ。
 学校研究のいっそうの発展を目指すミドルリーダーたちに,一読をお勧めしたい。

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2005.11.18

授業研究の方法論(18年度の「教育学研究法Ⅱ」)

 先日,早くも次年度のシラバスを提出した(年々提出締め切りが早くなる)。次年度は,我が教育学コースのカリキュラムが刷新される。その一環として,湯浅先生(ご専門はと区別支援教育や教授学等)と私で「教育学研究法Ⅱ」をいう科目を担当する。これは,授業研究の方法論に関する科目だ。市内及び府内の学校現場をフィールドとして,授業研究に関わる問題設定,それを追究するための方法論,データの分析・考察方法を,実習を通じて受講生に会得してもらうものだ。
 シラバスは次のとおり。

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2005.11.17

セグメント方式の番組の料理法(第33回なにわ放送教育研究会にて)

 17日,NHK大阪で,第33回なにわ放送教育研究会を催した。今回は,堺市立城山台小学校の嶺村教諭による『ふしぎだいすき』第12回「きらり!もっと光を」を活用した実践が報告された。
 この番組は,いわゆる「セグメント方式」で構成されている。番組は,いくつかの異なるトピックを扱っているが,必ずしもそれらはひとつのストーリーを構成しているわけではない。
 嶺村教諭は,それを踏まえて,単元の6時間の中で,番組を,5回に分けて子どもたちに視聴させる。それはそれで,番組の性格をよく踏まえた利用法なのだが,なにわ放研のメンバーからは,「やっぱり導入時に全視聴させたら」,「いや単元の最後の振り返り場面で全視聴だろう」,「5つのセグメントを2と3に分けて利用したら」等,多様な利用方針が登場してきた。セグメント番組だから,セグメントごとに利用するのが当たり前というわけではない。多様性が放送教育実践の特長であるが,それはセグメント方式の番組にもあてはまるのだ。

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2005.11.16

総合的な学習における本格的な活動(京都市左京区の修学院小学校の公開授業から)

 16日,京都市立左京区の修学院小学校の研究発表会に参加した。京都市教育委員会の指定を受けて,地域教材の活用,豊かな体験,教育メディアの有効利用を主柱とする生活科・総合的な学習のカリキュラム開発等に,教師たちが取り組んでいる。人権教育や基礎・基本の徹底などの取り組みにも熱心だ。
 本日は,1年生,3年生,5年生,そして育成学級の授業が公開された。それぞれ,研究の柱を踏まえた授業がデザインされ,示された。特に紹介したいのは,5年生の活動。73時間扱いの「海をこえてふれあおう」というテーマの単元が構成され,本日は,「世界の国々のついて同じ点や違う点を見つけよう」という追究の成果を他者に伝達するための準備,練習段階の授業が展開された。ただし,その伝達は,「修学院『みんぱく』を開こう」というコンセプトに基づくものである。だから,子どもたちは,コンピュータによるプレゼンの他に,劇や実物の展示などで追究成果を分かりやすく,そして楽しく表現しようとする。写真のように,展示のレイアウトにもこだわる。実際に自分たちが訪問した,国立民族学博物館をモデルにして。DSC01707
 このような本格的な活動は,総合的な学習の醍醐味だ。子どもたちは,より迫力のある,より魅力的な「みんぱく」を創ろうとして,工夫を重ねる。それが,ごく自然に,ねらいたる「世界に国々の異同」に対する知識やセンスを磨いていく。

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2005.11.15

社会科のデジタル副読本-その進化-(たつの市立神岡小学校・伊藤教諭による,3年生の授業)

 15日,たつの市立神岡小学校・伊藤教諭による,3年生の社会科の授業を見学した。この授業は,彼の地の地場産業たる素麺産業を題材とするものだ。「揖保の糸」という有名な素麺を作り始めたのが,学校のある神岡町らしい。ところが,現在は,むしろ周辺地域の方がこの産業にたずさわる方が多いという問題を子どもたちに提示し,それを入り口にして,この産業の実態等を探求させ,成果を「そうめん大事典」に収斂させるという単元計画を授業者の伊藤先生は作成した。本時は,単元の導入場面であった。DSC01639
 写真のように,グラフや地図等をコンピュータとプロジェクターを活用して,学習問題を効果的に提示していた。子どもたちは,神岡町が揖龍地区の素麺産業の発祥地なのに,なぜ現在は他地域の方が盛んなのか」と強い疑問を抱いていた。彼らの興味・関心を高める,いい教材だ。そして,それを授業者がすぐれた指導技術で,教材の豊かさを十二分に引き出していた。
 ところで,このコンテンツは,この後,この地域の社会科教育研究会が開発してきた,地域教材資料集たる「デジタル副読本」に収められることになると言う。デジタル副読本は,毎年,進化している。社会科のように,多様な情報,新鮮な情報が必要とされる教科のコンテンツは,こうでなくてはならないと再認識した。

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2005.11.14

「学校運営能力の向上研修」(『学力を育てる“教師力”の向上』教育開発研究所)

 少し前に,『学力を育てる“教師力”の向上』(工藤文三編,教育開発研究所)が自宅に届いた。この本の「総合的な学習のカリキュラム開発能力をどう高めるか」という章の執筆を担当したからだ。カリキュラム・コーディネーションのための知識とスキル,それらを育むためのe-Learning研修について紹介した。
 ところで,この本の中に,ミドル・リーダーの力量形成について示唆に富んだ文章があった。水本徳明氏による「学校運営能力の向上研修」だ。ここでは,管理職やミドル・リーダーが学校運営に従事する際に必要とされる力量が,次のように整理されていた。
 「学校運営能力にはテクニカル・スキルのほかにヒューマン・スキルとコンセプチュアル・スキルがある。コンセプチュアル・スキルとは,教育,組織,経営についての深い理解に支えられて,学校経営の環境をトータルに捉え,教育目標を設定し,その達成を志向する力量である。ヒューマン・スキルとは,他者理解と自己理解の力量に支えられて,動機づけや集団力学などの知識を活用して学校の中に協働関係を構築していく力量である。そして,テクニカル・スキルとは,教育に関する指導技術とともに人的・物的な事項に関する管理技術を含むものである。」(pp.164-165)
 私がeCCプロジェクトLTプロジェクトにおいて,中堅教師に培いたいと願っている,コーディネーションのための知識とスキルも,大きくはこれらに整理されよう。ただし,別々なものと言うよりも,それらが重なった,複合的な知識とスキルであるとは思うが。

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2005.11.13

公開研究会のプログラム(『学力向上ハンドブック』の演習問題から)

 先日も記事に著したように,現在,ベネッセ教育研究開発センターとの共同研究で,『学力向上ハンドブック』を作成している。本日,このハンドブックの「指導力向上のための研修・研究」に収める,演習問題を作成した。
 そのうちの1つが,公開研究会のプログラムに関する事例検討だ。11月2日に催された,広島県府中市立上下南小学校の公開研究会のプログラムを事例として取り上げ,その特長等を考察してもらうものだ。問題と解答例を示そう。

 次の日程表は,「コミュニケーション能力,考える力の育成」を標榜する,ある小学校の平成17年度の公開研究会のプログラムです。次の問いを考えてみてください。
12:30-12:45:受付
12:45-13:05:学校長による「お話朝会」
13:05-13:30:各教師が授業の見所などをアピール,研究主任による研究発表
13:40-14:25:全クラスでの公開授業
14:35-14:55:児童発表(和太鼓等演奏)
14:55-15:10:開会行事
15:10-16:50:分科会及び全体会
16:50-17:00:閉会行事
 ①なぜ,「お話朝会」を公開するのでしょうか。
 ②なぜ,各教師が,自分が公開する授業を事前にアピールするのでしょうか。
 ③どのような分科会が構成され,それは全体会にどう接続されるでしょうか。

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2005.11.12

全放連・学力向上プロジェクトの研究授業(11月29日,横浜で)

 12日,全放連・研究部の「放送学習による学力向上プロジェクト」のミーティングに出席した。今回は,11月29日に,横浜市立上大岡小学校で催される研究授業の指導案を検討した。「はじめてのこくご ことばぁ!」第12回『そうだ!これだ!』を用いるものだ。授業者は,子どもたちに,番組で示唆される活動に従事させて,またそれを発展させて,「言葉のおもしろさや不思議さを知り,言葉遊びを楽しむ」「知らせたいことを選び,事柄の順序を考えながら,聞き手に分かるように話す(それを聞き取ることができる)」といった能力・資質を育もうとしている。
 また,番組の継続視聴によって,子どもたちの言葉への興味,他者とのコミュニケーションを心地よいと思う心情,ゆったりとしたコミュニケーション,磨かれた言葉によるコミュニケーションを豊かに経験させたいとも,授業者は願っている。
 当日私も参加して,全放連の研究プロジェクトの成果を見守りたいと思う。

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2005.11.11

小中一貫教育の成果,その証(周参見町立周参見小中学校の公開研究会から)

 11日,和歌山県西牟婁郡の周参見町立周参見小・中学校の公開研究会が催された。両校は,小中一貫教育に関するカリキュラム開発で,文部科学省の研究開発学校の指定を受け,3年間,その具体化に努めた。
 そのレパートリーは,秀逸だ。新教科ソーシャルスキル等の9年間カリキュラム,小学校6年生と中学校1年生の合同学習,教員の授業交換,それらの布石ともなる合同研修,中学校の行事等を知らせる掲示板の設置(小学校内)など,小中の連携や一貫教育を推進するためのアイデアの数々が本日の研究報告で語られ,研究紀要で文章化された。これらに取り組む地域の学校現場の先生方には,ぜひ入手して購読なされることをお勧めする。DSC01510
 そして,それらは机上の空論ではない。ちゃんと子どもたちの成長に結実している。写真をご覧いただきたい。本日の研究会のアトラクションは,小学校高学年の児童のマーチングバンドによる演奏等であった。昼休憩の時間帯なのに,中学生がそれを暖かく見守っている。やがて中学校に進学してくる後輩の活躍を真剣に見つめている。体育館の2階にまで上がって,小学生が演ずるアトラクションに中学生がどのような眼差しを向けているかを注視する人(私)がいるなんて,彼ら自身も,中学校の指導者も予想していなかったであろう。いや,たとえ予想できたにしても,子どもたちの交流が希薄であったら,あんなに真剣な眼差しを向け続けることは不可能だ。子どもたちが交流が,そしてそれを育んだ教師たちの連携が本物であったことの証であろう。

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2005.11.10

戦後教育実践からのメッセージ(『時代を拓いた教師たち』日本標準)

 先日『時代を拓いた教師たち』(田中耕治編,日本標準)を購入し,読んだ。この本は,戦後教育実践の代表的なものをセレクトし,それを研究者が解説しているものだ。古くは,無着成恭の「山びこ学校」,大村はまの「単元学習」,斎藤喜博の「介入授業」,遠山啓の「水道方式」などから,新しいところでは,向山洋一の「教育技術の法則化運動」など15の実践が取り上げられている。
 各実践は紙幅が限られている中で的確に当該実践の特徴がまとめられているし,それぞれの実践をさらに詳しく検討するためのブックガイドも示唆に富んでいる。
 我々も大学院時代, Japanese Models of Teachingという勉強会を運営し,我が国の指導法の比較検討作業を進めていたが,このような形できちんとまとめることができなかった。それだけに,こうした著書が刊行されたことをうれしく思うとともに,これを乗り越える企画を打ち出したいという気持ちを抱いた。

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2005.11.09

いよいよ周参見町立周参見小中学校の公開研究会

 11日,和歌山県西牟婁郡の周参見町立周参見小・中学校の公開研究会が催される。両校は,小中一貫教育に関するカリキュラム開発で,文部科学省の研究開発学校の指定を受けている。
 授業時数の確保が厳しく問われる中でも,2コマの授業公開が実施される。新教科たるソーシャル・スキル科,小中合同の選択教科の学習(ここでは「Will」と名づけられている),そして小学校英語活動たるコミュニケーション・スキル科の授業も公開される。算数・数学の基礎学力定着のための取り組み(ベーシック・スキル)も示される。
 小中のカリキュラムの接続,両校の教師たちの協力体制など小中一貫教育の多様な要素をこの研究会で参加者は手にできるはずだ
 ちなみに,私は,最後のパートで,『小中一貫教育の現状と課題』と題する講演を担当する。現在,いくつかの地域で繰り広げられている小中連携,小中一貫教育の動向を整理し,そこに周参見の営みを位置づけるつもりだ。

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2005.11.08

幼少連携の成果,すぐれたAET(千早赤阪村立の幼稚園・小学校・中学校の合同研修会)

 8日,大阪府南河内郡千早赤阪村立の幼稚園・小学校・中学校の合同研修会に参加した。村内6校園で,今年度より3年間,研究開発学校の指定を受け,英語科や情報科のカリキュラム開発に着手している。今日は,千早小学校の英語科(1,6年),赤阪小学校の情報科(1年)の授業が公開され,それをもとにした協議会が開催された。
 1年生の英語の授業を見学して,驚いた。動物園に遠足に出かけ,そこで見た動物についてコミュニケーションを図っていく活動(20分)が繰り広げられるのだが,1年生の児童の発音がキレイだ。そもそも,英語でコミュニケーションをとろうとする意欲が高い。指導者の質問に対して,みんな「I know!」と元気よく手を挙げる。村内の幼稚園で英語活動の経験を重ねているからだ。幼少連携の成果であるDSC01359
 もう1つ,すごいなと思ったことがある。それは,AETとして,村内の園や学校の英語活動に参画する,ノアさんの活躍だ。彼は,学級担任と連携しながら,授業にアドリブの活動を導入したり,子どもたちにきめ細かく接したりできる。教師らしい,子どもとの関わりにも長けている。こういうタイプのAETはそうめったにお目にかかれるものではない。このサポーターも,この村の英語活動のカリキュラムの開発と発展を支えるファクターだ。

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2005.11.07

『使える金融英語100のフレーズ』(東洋経済新報社刊)

 今日は,「授業研究と教師の成長」とは少々異なる話題を(ちょっとだけ関係はあるが――)。
 先日ロンドンの小学校を訪問した際にお会いした,柴田ますみさん(当該校でアシスタントをお務めであった)のご家族,柴田真一さんが『使える金融英語100のフレーズ』という本を東洋経済新報社から刊行なさった。この本では,「実際のビジネス現場で使われる実用性の高いセンテンス」が紹介されている。驚いたことに,私にも献本してくださった(大変恐縮しております――)。
 著者紹介によれば,柴田さんたちは,もう14年も海外で暮らしておられるようだ。すごいことだと思う。私は,外国出張等の経験はもう25回を越えたが,一番長いケースでも10泊11日(一番短いのは,このブログでも紹介した,1泊2日,しかも滞在20時間の上海出張)。海外滞在日数は合計でも4ヶ月程度だろう。在外経験の厚みがもたらす「生きた英語」に学び,次回の訪英等に役立てさせてもらうつもりだ。

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2005.11.06

第5回スクールリーダー・フォーラム

 11月26日(土),大阪教育大学天王寺キャンパスのミレニアムフォーラムを会場にして,第5回スクールリーダー・フォーラムが開催される。これは,大阪府教育委員会と大阪教育大学の合同プロジェクトで,スクールリーダーの能力・資質やその力量形成についてディスカッションする機会だ。
 今回は,「リーダー層教員の力量形成-量的確保と質的向上-」というテーマで催される。これまでのフォーラムでは管理職に関する議論が多かったようだが,今回は,教務主任などの組織的リーダー,研究主任などの教育的リーダーなど,いわゆるミドル・リーダーに焦点があてられる。
 私は,このフォーラムの基調講演を担当する。ここ数年重ねてきた,カリキュラム・コーディネータの役割,期待される力量とその形成などについて,モデルを示し,事例を紹介する。
 基調講演後には,「リーダー層教員の人材不足と育成体制」というタイトルのシンポジウムが催されるが,これには,山崎博敏先生(広島大学),服部憲児先生(大阪教育大学),それから現職教員や教育行政職員が登壇される。
 予想以上に,参加希望者が多くなっている(参加申込の出足が速い)ようだ――。参加希望は,ここのメールアドレスをご利用ください。

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2005.11.05

教員向けe-Learningについての研究会(in宮崎)

 5日,宮崎まで行って,教員向けe-Learningについての研究会に参加した。研究会と言っても,中川さん(金沢大学),藤村さん(鳴門教育大学)と私の3人だけのミニ勉強会だ。昨年度,堀田さん(NIME),山内さん(東大),小柳さん(奈良教育大学)と取り組んだ,eCCプロジェクト(Webを基盤とするカリキュラム・コーディネータ養成プログラムの開発研究)について,そのコンセプト,プログラムデザイン,評価結果などをレポートした。目標をコーディネータに必要とされる知識の育成に焦点を絞って展開した教員研修プログラムであったが,その意義と特色,限界等について議論してもらった。
 実は,松下視聴覚教育研究財団の研究会が西米良村で開催されて以来,9年ぶりの宮崎訪問であった。その時はシーガイアもなかったし,特に知り合いもいなかった。今回,虎の穴の卒業生(渡邉先生)や現役生(水野先生)に送迎等でいろいろお世話になった。宮崎を身近に感じた1日であった。
 ところで,今日乗った飛行機のキャビンアテンダントさんは,名古屋-那覇の往復,宮崎→名古屋,大阪→宮崎の4フライトをこなすらしい。とんでもない飛行距離だ。それでも笑みを絶やさない職業意識に敬意を表したいと思う。

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2005.11.04

「読書」と「キャリア教育」と(学校デジタル羅針盤での解説)

 3日,渋谷のNHKエデュケーショナルで,NHK学校放送『学校デジタル羅針盤』の第13,14回の解説映像が撮影された。この回は久しぶりに,私が担当した。
 第13回(11/11・18放送)のテーマは,「読書意欲を高める」である。「わかる国語 大好きな20冊」を複数回活用して,読書の楽しみを6年生の子どもたちに実感させたのは,東京都杉並区立浜田山小学校の小林先生だ。用いた回によって,指導の展開を変えているところに注目してもらいたい。
 第14回(11/25・12/2放送)のテーマは,「働くことの意味を考える」である。いわゆるキャリア教育を推進している,東京都練馬区立八坂中学校の第1学年担当の先生方の授業づくりが紹介されている。教師たちが,様々な仕事,そこに潜む可能性や葛藤を立体的に描いた番組を授業に導入して,子どもたちのキャリア観を広げたり,深めたりしている様子をご覧いただきたい。
 ところで,ある回のシャツは私服,もう1つの回のものは,スタッフが用意してくれた衣装だ。どちらが私服かを,番組を試聴して見抜けるかな(つまり,私の好みはどっちでしょう)?

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2005.11.03

IT活用の自然体(広島県府中市立上下南小学校の公開授業から)

 昨日の記事でも紹介したように,2日,広島県府中市立上下南小学校の教育研究会が催され,6つの授業が公開された。そのうち,2年算数,3年音楽,4年社会において,コンピュータやプロジェクターなどのIT活用が試みられた。
 この学校は,コミュニケーション能力の育成,それを通じた思考・判断の充実を研究主題に掲げており,IT活用を特に意識しているわけではない。それでも,不思議に,授業の構想を練り,研究授業を重ねていくと,写真のような学習場面を設けるようになる。DSC01260 これは,4年生社会科において,教師が,交通安全対策をこうじなければならない場所をスライドショーで提示したり,交通事故が起こった場所を地図で確認したりしている様子だ。
 どの教師も,指導案に,コンピュータとも,IT活用とも記していない(黒板を使うなんてわざわざ書かないのと同じ理屈だ)。彼らの関心事が,IT活用ではなく,それらによって促される,「子どもたちの豊かな意見交換の成立」や「確かな思考・判断の獲得」にあるから,そうなるのだろう。この学校では,そうした角度からの授業改善を重ねてきて,ここ1,2年の間に,IT活用が静かに,しかし確実に普及してきた(ちなみに,この3学級の教師たちの教職経験年数は平均して25年を越える――)。
 先の訪英では,イギリスの学校における,IT活用の日常化を目の当たりにしたが,この学校の教師たちも,それに匹敵する実践を展開している。いや,ICTマネージャーがいない,教室にマグネットスクリーンがない状態で,IT活用の自然体が成立しているのだから,授業改善とIT活用のいい関係を教師たちが,彼の地の教師たち以上に会得しているのではないか。

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2005.11.02

コミュニケーション能力を育成する実践-その多様性-(広島県府中市立上下南小学校の学校研究)

 本日は,広島県府中市立上下南小学校の教育研究会の開催日だった。
 最初に「お話朝礼」で(学校長自らが)子どもたちのコミュニケーションスキルの活用習慣を増している様子が公開された。次いで,1年は国語,2年は算数で,コミュニケーションスキルの向上や洗練をていねいに指導している様子が示された。そして,3年音楽,4年社会,5年理科で,教科固有の技能・表現としてのコミュニケーション,それを通じた思考・判断の充実の模様が明らかにされた。さらに,6年では,総合的な学習の時間において,外国人に対して英語を用いて我が国の伝統文化等を紹介するという,実践的コミュニケーション場面が展開された。それらを整理すると図のような枠組みになろう。写真は,音楽で子どもたちが「歌い方」の工夫を表現し,相互にコメントを繰り広げている様子だ。KotobanoKyoikuDSC01249 上下南小学校の研究のように,各教師が異なる教科を対象として実践を推進しているにもかかわらず,それらが接続され,学校研究としての体系を保てている学校はそう多くはないであろう。今日の教育研究会の参加者は,「コミュニケーション能力を育成する実践-その多様性-」を実感し,その構造を納得できたに違いない。
 そうした意味では,「ことばの教育」を標榜している広島県教育委員会等からの研究会参加が皆無だったのはなぜだろうか。上下南小学校が宣伝下手なのかもしれないが――。

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2005.11.01

査読を受ける論文を作成する際に

 本日,大学院生が学会に投稿する論文について,私なりにアドバイスをする時間を持った。その院生が1年間かけて,ある教師を追跡した結果をていねいにまとめたものだ。ネタはいいと思う。
 問題はそのまとめ方だ。1年間の記述は膨大だ。そのすべてを論文に盛り込むことはできない。研究目的に照らしてデータを十分に整理する必要があるが,それをやりきれていないため,読者が読みづらい,納得しづらい叙述が少なくなかったように思う。
 私自身も博士論文作成の際に,同じような指摘を受けた。その研究を知らない人が読んでも,研究の価値が分かるように,シンプルにまとめなさいと。凝った表現や構成は別の機会(例えば著書)にしなさいと。「こう書きたいのに――」とも思ったが,読者(この場合は審査委員)の前で自分が論文の価値や研究の意義を説明できるわけではないので,アドバイスに従って,できるだけ分かりやすい表現で,シンプルな構成で,論文を仕上げた。それでよかったと思う。
 研究に思い入れがあるほど,できるだけたくさんの内容を論文に盛り込みたくなる。凝った表現や構成を用いたくなる。しかし,その思いをおさえ,内容や表現等をできるだけ単純化することが,査読を受ける論文を作成するコツなのだ。大学院生にも,よいネタを生かすべく,シャープな表現・構成を心がけてもらいたい。苦しいだろうが,きっといい論文になると思うから。

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