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2005.11.13

公開研究会のプログラム(『学力向上ハンドブック』の演習問題から)

 先日も記事に著したように,現在,ベネッセ教育研究開発センターとの共同研究で,『学力向上ハンドブック』を作成している。本日,このハンドブックの「指導力向上のための研修・研究」に収める,演習問題を作成した。
 そのうちの1つが,公開研究会のプログラムに関する事例検討だ。11月2日に催された,広島県府中市立上下南小学校の公開研究会のプログラムを事例として取り上げ,その特長等を考察してもらうものだ。問題と解答例を示そう。

 次の日程表は,「コミュニケーション能力,考える力の育成」を標榜する,ある小学校の平成17年度の公開研究会のプログラムです。次の問いを考えてみてください。
12:30-12:45:受付
12:45-13:05:学校長による「お話朝会」
13:05-13:30:各教師が授業の見所などをアピール,研究主任による研究発表
13:40-14:25:全クラスでの公開授業
14:35-14:55:児童発表(和太鼓等演奏)
14:55-15:10:開会行事
15:10-16:50:分科会及び全体会
16:50-17:00:閉会行事
 ①なぜ,「お話朝会」を公開するのでしょうか。
 ②なぜ,各教師が,自分が公開する授業を事前にアピールするのでしょうか。
 ③どのような分科会が構成され,それは全体会にどう接続されるでしょうか。

①なぜ,「お話朝会」を公開するのでしょうか。
 「お話朝会」が,2つの意味で,この学校における,学力向上への取り組みを象徴しているからです。この学校では,ことばの力=コミュニケーション能力を発揮して各教科等の思考力を育成することを研究テーマに掲げています。この「お話朝会」は,コミュニケーション能力の基礎を養うための日常的,継続的な取り組みの1つです。この朝会では,子どもたちは,教職員が語るエピソードを簡潔明瞭にノートに記す活動に従事します。それを保護者や他校の教職員,教育行政関係者に見学してもらい,評価してもらおうと考えたために,授業でなくても,それに関連する活動として公開に踏み切ったのです。
 もう1つは,学校長による指導場面を公開することで,研究テーマに学校をあげて取り組んでいる姿勢を強調できるからです。「お話朝会」は,学校長以下全教職員がローテーションで「語り役」を担当しています。そうした営みの公開は,全クラスにおける授業公開と並んで,この学校の研修・研究の組織性,その充実ぶりを物語るものとなりましょう。

②なぜ,各教師が,自分が公開する授業を事前にアピールするのでしょうか。
 研究主任等が代表して学校の取り組みをプレゼンテーションするというのが,多くの学校の公開研究会に採用される方法です。この学校のものにも,そのようなパートはあります。しかし,この学校では,それに加えて,授業を公開する教師全員が1分間程度,自らの授業のコンセプト等を語る場面をあらかじめ設けることにしました。
 というのも,この学校では,コミュニケーション能力や思考力の育成を,学級担任がそれぞれ,対象となる教科を定めて,取り組んでいるからです。結果として,1年生は国語,2年生は算数,3年生は音楽,4年生は社会,5年生は理科,そして6年生は総合的な学習の時間という幅が生まれました。当然,公開授業も,全クラスが異なる教科等に取り組むことになります。その必然性は,当人しか語り尽くせないことは容易に想像できます。授業を公開する教師たちにとっても,見る側にそれを分かってもらいたいという気持ちが強いことも言うまでもありません。

③どのような分科会が構成され,それは全体会にどう接続されるでしょうか。
 この日の研究会では,分科会は,「1.伝え合う基礎力をどう育てるか――お話朝会・国語科(1年)・算数科(2年)の授業を通して――」,「2.教科の特性を生かして考えを伝え合う力をどう育てるか――社会科(4年)・理科(5年)の授業を通して――」,「3.生きる力としてのコミュニケーション能力をどう育てるか――音楽科(3年)・総合的な学習の時間(6年)の授業を通して――」という3部会で構成されました。それぞれの分科会では,複数の授業等の異同を明らかにしながら,学校の研修・研究の成果と課題を明らかにすることになります。
 そして,全体会では,分科会の模様をそれぞれ報告しながら,研究者のコーディネーションの下,分科会をまたいで,「コミュニケーション能力」や「思考の伝え合い」の充実,さらなる課題について検討します。ある分科会の報告について,別の分科会の参加者が質問したり,複数の部会で話題になったトピック,例えば評価規準の運用などについて公開研究会参加者全員で意見を交換したりします。それにより,授業と研究テーマを往復しながら,議論を進めることが可能になるのです。

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