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2006.01.31

学力観は確実に変わりつつある

 本日は,某市教育委員会主催の講演会にて,「『確かな学力』向上のための授業づくり」について話題提供をした。学びの基礎力の重要性とそれを育むための家庭等との連携,コミュニケーション能力の構造とそれに応じた指導の工夫,思考力育成方法のリニューアル,小中連携による学力向上のうねりなどについて,モデルを示し,事例を提供した。
 講演の最初に,「あなたが,あるいはあなたの学校が学力向上のために取り組んでいることを重要な順に,3つ書き出してください。」と依頼し,参加者たる教師たちの学力向上への意識等を確かめてみた。
生活習慣等に確立に関するものも多かったが,それと同じくらい,「考える力」や「読解力」,そのための「問題解決的な学習」を掲げる教師たちがいた。「基礎・基本の徹底」と回答した人も,よく聞いてみると,決して知識・理解や単純な技能だけを意味して,そのような表現を用いているわけではなかった。
 学校現場の学力観は確実に変わりつつある。それを実感できた日であった。

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2006.01.30

講義のフィナーレをどうデザインするか(「教職概論」最終回)

 30日,今年度後期に担当していた講義「教職概論」が最終回を迎えた。履修人数が多くて難儀したが,なんとか最終回までたどり着いた。
 ところで,講義のフィナーレは,科目の特性を踏まえて,きちんとデザインしなければならない。「教職概論」のねらいは,教職について複眼的に考えること,自らの教職への志向性を再確認することにあるので,その2つを最終回ではおさえることとなる。
 本日の講義ではまず,講義の枠組みを再確認した後,それをもとに2つの実践を分析した。たとえば,中学校社会科の教師の事例は,様々な手段を用いて(高度情報通信社会と教師の専門性),子どもたちの学力向上を測っている(学力保障と新しい指導法)。それは,フィンランドの教師が目指すものと軌を一にしている(社会・文化と教師)。それらを確認させて,1つの事例に講義の複数回の内容が重なっていることを受講生に同定してもらう。
 次いで,講義内容を参考にしながら,若手,中堅,ベテランの3期に分けて,自らの教職生活のプランを描いてもらい,講義内容をより具体的に自分のものにしてもらった。
 さらにだめ押しに,教師についてのメタファ(教師をなにかにたとえるとすると,何になりますか)を作成させて,自らの教師を見つめる眼差しを集約してもらった。
 講義のデザインには完璧はない。同じ担当科目であっても,また来年度も,そのフィナーレの再デザインに取り組まねばならないだろう。

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2006.01.29

「学校デジタル羅針盤」撮影終了

 29日,渋谷のNHKエデュケーショナルで,NHK学校放送『学校デジタル羅針盤』の第18回(放送日:2/10・2/17)の私の解説部分の撮影が行われた。この回は,私の同番組解説の最後の回となる。番組の放送が今年度で終了するからだ。
 番組放送中の2年間に,20回近くの回に出演した。番組委員も務めているので,番組の企画にもたずさわり,NHKとの多様な交わりの中でも,思い出深いプロジェクトとなった。そもそも番組の原点が,3年前に連続出演した「先生のための教え方大全集」だったし――(偶然にも,今回の制作担当ディレクターは,「大全集」の時と同じく,広木さんだった)。
 メイクさんに続けて「お肌がキレイですね」と言われたことやディレクターの策略(?)で柄にもない恥ずかしいあいさつをしてしまったことなど,色々なエピソードも作ってしまった――。
 いずれにしても,なんとか役割を果たせてほっとしている。番組スタッフの皆さん,お世話になりました。ありがとうございました。

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2006.01.28

日本教育工学会第22回全国大会

 28日,東京・田町のキャンパスイノベーションセンターで,教育工学会の大会企画委員会が催された。今回は,第22回全国大会に向けての1回目の委員会だ。私は,同委員会の副委員長を拝命している(これで3年目――)。
 第22回大会は,関西大学総合情報学部(高槻キャンパス)で催される。3月上旬に発行されるニューズレターにて詳細が明らかにされるが,関係者には,まず程等をお伝えしておこう。
<日本教育工学会第22回全国大会>
 期日:2006年11月3日(金)~5日(日)(3日間)
 会場:関西大学総合情報学部(高槻キャンパス)
 〒569-1095 高槻市霊仙寺町2-1-1

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2006.01.27

放送番組を活用した「個に応じた指導」(第35回なにわ放送教育研究会)

 26日,NHK大阪で,第35回なにわ放送教育研究会を催した。今回は,研究会メンバーが今年度取り組んできた「放送番組を活用した『個に応じた指導』」について,それらの関連性を図に表すという作業に取り組んだ。
 放送番組を活用した「個に応じた指導」の基本型は,1)番組視聴,2)形成的評価,3)評価結果にもとづく,授業の複線化だ。メンバーの実践は,この基本を遵守している点を共通項としつつ,3)のデザインに,その多様性を確認できる。
 この実践研究は,松下教育研究財団の実践研究助成によって企画・運営されているものであり,本日の研究会の成果も,助成の報告書に掲載される予定である。

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2006.01.26

初任教師もなかなか――

 本日は,某市の教育研究所が主催する教育課題研修講座「確かな学力を育むための指導と評価」に協力した。標題に関する講演の他,事例報告のコーディネーションやコメントも担当した。
 実践事例を報告したのは,教職1年目の教師だ。第4学年の算数の面積に関するものだった。算数的な活動を上手に構成して,子どもたちの興味・関心を高めていた。また,「敷き詰め」教材の種類等を工夫して,子どもたちの数学的な考え方が磨かれるように,本時の展開を練っていた。
 初任教師の授業力が問われることが多いが,例えば「数学的な活動」のように新しいコンセプトに基づく指導は,若い教師の新鮮な感性の方がよく吸収できるのかもしれない。評価計画もしっかりしていたし,初任教師もなかなかやるなと感心させられた。学校研究においても,若い教師に,自分の弱い部分ではなく,よいところを生かす授業を目指してもらうよう,研究主任等がアドバイスしてあげるといいだろう

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2006.01.25

2人で勉強会

 本日夕方,メディア教育開発センターの堀田さんが研究室を訪ねてくれた。大阪市立大学は,都市型大学を標榜しているが,実は新大阪駅等からは遠い(電車や徒歩で1時間程度かかる)。にもかかわらず,ありがたいことに,堀田さんは足を運んでくれた。2人で勉強会を開くためにだ。
 教師の指導力,それに関する授業研究等の知見について,2時間以上休憩無しで意見を交換した。最近こういう時間を確保することが難しくなっているが,やはり,密に議論する機会は貴重だと再認識した。次は,私が,千葉・幕張のメディア教育開発センターを訪問する(実は,行ったことがない――)。

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2006.01.24

次年度「アクションプラン」の作成

 本日は,某県教育委員会の教職員サポート講座の講師として,講演や演習のコーディネーションを担当した。3時間以上も任せられ,疲れた――。内容は,「総合的な学習の時間における授業づくり」である。
 総合的な学習の特徴や実践動向を解説した後,参加者に,所属校等の総合的な学習の単元やカリキュラムの開発に関する点検をしてもらった。例えばポートフォリオ評価とか,IT活用,小中連携などの項目について,私なりに,レベル0からレベル3までルーブリックのようなものを作成し,それを指標として,作業を進めてもらった。これによって,具体的な問題点,特に優先課題を明らかにできたはずだ。さらに,今日の講座は時間が長いので,さらに,その課題を克服するための次年度「アクションプラン」を策定してもらった。「WS06.1.26.pdf」をダウンロード
 参加者には,これがなかなか難しいようだった。参加者は,例えば,ワークシートに「評価規準を作成してもらう。」と記入していくが,これではアクションとしては具体性に欠ける。アクションプランは,「『評価規準作成シート』を作成し,各学年に配布する。」といった「行為」レベルで作成していかないと,それは現実を変えるパワーを持ち得ない。
 カリキュラム開発や教員研修に関するアクションプランの作成は,それを作成する者の具体的知識や技,そのレパートリーが問われるのだ。

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2006.01.23

日本の教師の特長は何か

 本日も,教職科目「教職概論」の講義を担当した。本日のタイトルは,「諸外国の教師−社会・文化と教師−」だ。受講生に,諸外国の教師,授業,学校の印象をたずねた後,かつて訪問したタイとフィンランドの学校の様子を視聴してもらった。前者は,大人数の子どもを相手に格闘する姿を,後者は,「考える力」の育成に力を注ぐ姿を見てもらった。
 どんな国の教師にも共通する要素もあるが,社会や文化が異なれば,教師に期待される力量に違いが生ずる部分もある。我が国の教師の特長は何だろうか。私は,授業研究やカリキュラム開発に同僚と協力して勤しむという「研鑽の風土」であると思う。

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2006.01.22

遠隔大学院における修士論文の作成(熊本の前田先生の挑戦)

 私が尊敬する教師の1人に,熊本の前田康裕先生がいる。数年前,総合的な学習のカリキュラム・コーディネータとして活躍していらっしゃった前田先生に,その方策に関するインタビューをお願いして以来のご縁だ。前田先生の教師としての力量形成史も聞き取りをさせてもらったが,そこに確認された,いくつかの厳しい葛藤とそれを克服するための術は実に示唆に富んでいる。
 その前田先生は,ここ2年,岐阜大学の遠隔大学院に在籍しておられたが,先頃,修士論文の執筆を終えられたそうだ。タイトルは,「「デジタルコンテンツを活用した効果的な授業設計に関する基礎的研究〜学習者の学習活動と教師の授業設計方略の分析〜」。
 夜間の,しかも遠隔の大学院で実践的な研究を展開するのは,さぞや大変なことだったろう。しかし,前田先生の力量形成史からすると,この挑戦も,その充実に資する,新しい葛藤なのだろう。それを克服して,いっそう前田先生の実践は飛躍するに違いない。前田先生の教師としてのライフストーリーを詳細に聞き取った私は,それを確信している。

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2006.01.21

放送教育指導者養成講座(通称「虎の穴」)の総打ち上げ

 3月4・5日に,東京,渋谷のNHKで,放送教育指導者養成講座(通称:「虎の穴」)の第5期生最終オフミが催される。
 そして,最終オフミ終了後,虎の穴5年間の卒業生有志による「総打ち上げ」が企画されている。関係者でこれまでのエピソードを話したり,苦労をねぎらったりする機会を1期生等が設けてくれた。うれしいことだ。
 5年前に始まった,このプロジェクト,放送教育分野のミドルリーダー養成プロジェクトも,数十名の卒業生を輩出し,当初の目的を達成して,とりあえずの終焉を迎える。しかし,その精神は,これからも卒業生の実践や普及活動によって継承されていくだろう。実際,もう3年も連続して夏にOB会が開かれている。次のOB会は,7月29・30日だと聞いた。私もぜひ参加したいと思う。

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2006.01.20

卒論審査始まる!

 現在の4年生が作成した卒論の審査が始まった。今年は,11編読んで,審査しなければならない(うち4編は,自分が指導した学生が執筆したもの)。けっこう数も多いし,なにより,必ずしも教育方法学や教育工学,カリキュラム論などに関するものとは限らない。これから1ヶ月弱,読解と審査のために時間が割かれる。大学教員である以上は仕方がないが,自分の原稿執筆時間を確保しがたくなるので,辛い――。

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2006.01.19

次年度4年生の卒論指導がスタート

 現在の3年生を対象とする,卒論指導がスタートした。現在我が教育学教室には,ゼミという概念が存在していないので,4年生の卒論作成プロセスを3年生は知らない。だから,今日は,どのようなタイムスケジュールで卒論を作成していくのか,教室をあげての合同指導(4月,7月,10月)に向けてどのような準備を進めていくのかなどについて教示した。
 今日初めて問題意識を聞かせてもらったが,私が担当する学生の研究的関心は,「幼稚園と小学校の連携」,「国語科の指導における『こころの教育』の展開」などにある。彼女たちは,文献研究だけではなく,学校現場に出かけることを望んでいるから,また,いくつかの学校園や教師に訪問等を要請することになろう。

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2006.01.18

「もし○○だったら――」と授業や学校や教師に関する常識や現状を疑ってみたら――

 昨日も言及したが,現在,大学院の「学校教育学研究演習2」で,David J. Flinders & Stephen J. Thornton (Eds) (2004) The Curriculum Studies Reader(2nd), Routledge Falmer, New York and Londonをテキストに取り上げている。明日,Elliot W. Eisner の What Does It Mean to Say a School is Doing Well? の叙述について議論する。昨日に続いて,この論文の内容の示唆に富んだ部分について言及しよう。
 それは,著者たるEisnerの「もし学力テストが存在しなかったら――」という,シミュレーションだ。学力テストが学校教育にひずみをもたらしていると考える著者は,それの仮定の下,例えば生徒が取り組む問題や活動,彼らの自己決定,個性の伸長,教師の専門性などについて検討している。
 学力テストの功罪は別にして,「もし○○だったら――」と授業や学校や教師に関する常識や現状を疑って,その構造や枠組みを再確認し,それらのより望ましい姿を「具体的に」構想するという論法は魅力的だった。明日,院生たちと我が国の教育を題材にして,それを試みてみよう。

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2006.01.17

我が国のこれからの教科の編成(平成17年度後期の大学院演習「学校教育学研究演習2」)

 何度か紹介したが,17年度後期,大学院文学研究科・人間行動学専攻・教育学専修の学校教育学研究演習2で,David J. Flinders & Stephen J. Thornton (Eds) (2004) The Curriculum Studies Reader(2nd), Routledge Falmer, New York and Londonをテキストに取り上げている。この本は,カリキュラム研究の名著,主要論文のコレクションだ。
 演習最後の論文として,Elliot W. Eisner の What Does It Mean to Say a School is Doing Well? を読む。この論文は,教育改革によって教科編成にひずみが生じることなどを主張している。たしかに,今日の教育改革の動きの中で,各学校は,説明責任を果たすために,国語や数学,理科などの測定しやすく,結果が示しやすい教科の充実を図る傾向にある。その結果,芸術などの教科が軽んじられつつある。我が国の学校も学力向上ブームに巻き込まれているが,これからの教科の編成がどうなるかを注視しないといけないだろう。

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2006.01.16

初任教師が抱える課題のシミュレーション等

 17年度後期の担当科目の1つに,教職科目「教職概論」がある。今日は,その第11回目だった。本日のタイトルは,「教師の職業発達と初任者の抱える課題」であった。あいかわらずの大人数講義であるが,今回は,私の「問い」がまずまず練られていたので,けっこう学生さんも集中して聞いてくれ,考えてくれた。
 例えば,初任者が抱える,最重要課題に「学級経営」がある。その難しさを受講生に考えてもらうために,「学級開きの際に,あなたが子どもたちにする『あいさつ』のシナリオを作成しましょう」というシミュレーション,初任教師が子どもたちの席替えに失敗する姿をビデオで見せた後に「あなたがこの教師なら,事態をどのように収拾しますか」と考えさせるケースメソッドを展開した。これが功を奏したようだ。
 もちろん,毎回ワークシートを作成して似たような問題に個人で,グループで取り組んでもらうのだが,今回の問題は,おそらく,受講生にとって身近な話題で,しかも多様な選択肢があるから考えやすかったのだろうか――。

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2006.01.15

PISA型「読解力」の特色(「基本調査2006」の企画・運営にて)

 今日の午後もまた,新大阪で,ベネッセ教育研究開発センターを事務局とする共同研究,「基本調査2006」の企画・運営に関するミーティングが開かれ,参加した。
 「基本調査2006」の目玉の1つは,「読解力」に焦点を当てた調査だ。今回も,教科に依存しないPISA型の「読解力」の測定問題の開発,そして「読解力」向上に向けた指導に関する質問項目の作成(教師対象)にかなりの時間を費やした。
 そもそもPISA型読解力の特色が何なのかという根本的な問題について,けっこう真剣に議論した。それは,少なくとも,1)国語だけでなくあらゆる教科等に関係がある能力・資質であること,2)認識力・思考力・表出力を含むこと,3)読解の対象が学際性や社会性を帯びていることを含むという前提を確認して,上記作業に取り組んだ。

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2006.01.14

全放連・学力向上プロジェクトの研究報告書の完成に向けて

 14日,NHKで,「放送学習による学力向上プロジェクト」のミーティングが催され,私も参加した。今回は,1年間の実践の総括である。メンバーがそれぞれ,自分の実践を題材として学力向上に資する放送番組活用,その考え方や成果と課題を報告した。
 本日は,メンバーが,このプロジェクトの実践報告では,学級の学力実態とそれを踏まえた番組活用の必然性のアピール,番組活用を通じた学力向上のデータの提示が大切であることを共通理解した。

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2006.01.13

授業研究・学校改革に熱心な地域

 今日の夕刻,大阪府箕面市の教育フォーラムに出席して,「今求められる授業改革とは」というタイトルの講演を担当した。これは,同市の教育研究会等が主催する教員研修会だ。会場は,メイプルホールというかわいい名前の施設だった。
 授業改革の前提たる,学力の多元性・総合性と学校・教師の多様性をまず確認し,それから,現在の学力向上の実践動向(学びの基礎力,コミュニケーション能力,思考・判断力の育成,その方法論のレパートリー)を整理した。そして最後に,授業改革が,小中連携などにより,カリキュラムの再構築,学校改革に進展していることを指摘した後,「それぞれの学校の特色ある授業改革」への期待を結語とした。
 それにしても,参加が強制された研究会ではないのに,まずよく先生方が集まる。それに,私の話に熱心に耳を傾けていらっしゃる。私も,何校かを訪れたことがあるが,大阪の中でも,ここ箕面は,「授業研究・学校改革に熱心な地域」の代表であると思う。

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2006.01.12

結果の整理,考察とその表現の「妙」(学会誌への投稿に向けて)

 今日は,2人の大学院博士課程の学生の相談にのった。それは,彼らが準備している,学会誌への投稿論文の執筆に関するものだ。そのうちの1人は,ある学校に継続的に赴き,そこでたくさんのデータを収集して,教師の営みをていねいに記述しようとしている。いわゆる「分厚い」記述になっている。投稿論文の草稿を読ませてもらったが,目のつけどころもいいと思う。
 ただ,たくさんのデータがあるゆえだろうか,あまりにも分析が複雑で,読者が論理の展開についていけない。論文の構成をもっとシンプルにしなければなるまい。しかし,あまりにシンプルにしすぎると,分かり切った結論,ありきたりの提案に終わってしまう。このあたりのセンス,つまり,結果の整理,考察の方針やその表現の「妙」は,伝授するのか難しい。口では説明しきれない。自分でもがいて会得してもらうしかない。 しかし,他者からの批評を素直に受け止めて何度も書き直しをすれば,うちの院生ならば必ず自分のものにしてくれると,信じている。がんばってもらいたい。

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2006.01.11

広島県竹原市のキャリア教育の実践報告会(2月25日)

 今,キャリア教育の取り組みが全国各地で繰り広げられている。私も,広島県竹原市の4中学校が合同で取り組んでいる,キャリア教育実践プロジェクト「キャリア・スタート・ウィーク」に多少の関わりを持っている。
 その実践報告会が,2月25日(土)に,竹原市民館のホールで催される。研究報告,生徒による意見交流会,講評,アトラクション,シンポジウム等の多彩なプログラムが準備されている。この日は,例えば日本教育新聞社のセミナーなども開催されるようだが(私にも登壇依頼があったが,上記シンポジウムのコーディネータを引き受けていたので,セミナーの登壇はお断りした),盛会になることを祈念している。お近くの方は,ぜひご参加を。ちなみに,シンポジウムの登壇者は,広島県教育委員会スタッフ,竹原市内の小中高等学校の教師,保護者代表,事業者代表と多岐にわたっているので,小学校等の教師にも得るものがあるに違いない。

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2006.01.10

学校研究の歳時記

 一昨日も昨日も,学校の実践研究についての文章を綴った。昨日は,「学校研究の歳時記」についてまとめた。学校の実践研究の最小単位は,1年だ。4月に始まり,3月に終わる。
 学校研究の1年間には,いくつかの節目があろう。例えば,年度始め,つまり4月は,学校研究の枠組みを定める,極めて重要な時期である。また8月は,夏期休業中であるから,授業研究は実施できないけれども,逆に,研究活動に時間をたっぷりかけられる。学校研究の1年間には,その時期に応じた活動を適切に展開しなければならない。
 「校内研修」などに言及した書物は多いが,それは,理念が説かれるか,事例が紹介される場合が多かったように思う。例えば,学校研究の1年の活動を整理した著書は数少ない。私は,理念や理論,事例を綴りつつも,両者をつなぐ,枠組みやモデルを提案したいと思っている。あともう少しで,この学校研究に関する一連の原稿執筆も終わる。刊行目指して,がんばろう。

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2006.01.09

アクセスが10万件を超えた--

 このブログを始めて,2年弱。昨晩で,アクセスが10万件を超えた。ブログ開始当初からすると,意外なことに,アクセス数も相当増ている。私としては,このブログを読んだ(面識のない)先生から実践研究への協力依頼があったり,私と共同で授業づくりに励む学校の公開研究会への参加者が増えたりして,「授業研究と教師の成長に関する研究ポートフォリオ」として機能し始めていることが喜ばしい。
 一昨年の1月に,「ブログをやってみたら」と私に勧めてくれたのは,メディア教育開発センターの堀田先生。おかげさまで,今のところ,なんとか続いています。あらためて,お礼申し上げます。

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2006.01.08

「指導の状況に関するアンケート」の回答結果の分析

 この1年,華東師範大学・教育科学学院のメンバーとの共同研究プロジェクトについて,本学の添田先生や兵庫教育大学の佐藤真先生,そして大学院生等と質問紙調査の内容・形式について,何度もミーティングを重ねてきた。それは,大都市等の学校の教務担当者を対象とする,「指導の状況に関するアンケート」だ。
 調査は,(1)学校の概要,(2)学力観,(3)教科学習の工夫改善(少人数指導,習熟度別指導,補充学習,発展的な学習,宿題等の課外指導),(4)総合的な学習の概要(実施時間数,カリキュラム開発の体制,目標と内容,指導体制,実践上の課題),(5)小学校5年(中学校2年)の総合的な学習の代表的実践(領域,目標,指導の工夫と成果,評価),(6)教員研修(教科指導に関わる力量形成,総合的な学習のカリキュラム開発に関わる力量形成,その他)から成る。
 いくつかの地域の先生方にご協力いただいた調査結果の分析を現在進めている。今日も,それに取り組んだ。私の担当は,(1)(2)(6)だ。大都市とその他の地域の学校で回答傾向に違いがあるのか,これからまとめにかかる。結果が明らかになり次第,このブログでも報告するつもりである。

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2006.01.07

学校と家庭・地域とのパートナーシップの充実(Benesse教育研究開発センターとの共同研究「学力向上ハンドブック」の制作から)

 本日,懸案だった『学力向上ハンドブック』の担当部分の執筆を仕上げた。私は,このハンドブックのうち,学力調査の結果を踏まえた「授業改善」,「校内研修・研究」,そして「家庭・地域とのパートナーシップの充実」という3つのパートの執筆を担当するが,3番目の提出をなかなか終えられなかった。
 「家庭・地域とのパートナーシップの充実」も,残る2つのものと同様,概要,ケーススタディと解説,演習,コラム,そしてまとめと自己評価という枠組みで構成される。目玉商品は,やはり「ケーススタディと解説」,そして「演習」だろう。「ケーススタディと解説」には,1)ある小学校のパートナーシップの総点検,2)ある中学校のパートナーシップの年間プランの評価,3)ある小学校の「学力向上通信」の批評という3課題を用意した。これらの点検や評価等で得た知識とスキルを,所属校のものに適用するのが「演習」だ。
 ハンドブック完成の折には,学力向上に興味を持っている,学校現場の先生には,ぜひ,これをご活用いただきたい。

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2006.01.06

国語教科書の分析(『国語教科書の思想』ちくま新書)

 4,5日の通勤中に,『国語教科書の思想』(石原千秋著,ちくま新書)を読んだ。この本は,M社の小中学校用国語教科書の教材文や単元の特徴を,言説分析,構造分析によって,明らかにした本だ。著者の主張の中核は,かなりのシェアを占める,この教科書の教材からすると,「現在の日本の国語教育は道徳教育でしかない」というものだ。
 著者の教科書分析の視点はユニークであるし,また,その結果の叙述にも説得されるところが少なくない。だから,おもしろくて一気に読んだ。
 ただ,授業研究を専門とする研究者の立場からすると,「教材の構造と授業の構造はイコールではない」とも言いたい。教材文のメタ・メッセージに迫るような国語の授業はありうるし,私自身もそれを何度も目にしてきた。授業研究に熱心な教師たちは,たとえ教材の道徳性が偏っていても,子どもたちの本音を引き出し,彼らの批評活動を国語の授業において重視している。教室のダイナミズムは,時として(しばしば),教科書の世界を,大人の思惑を越えるから。

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2006.01.05

卒論・修論の提出締め切り近づく

 昨日,本日と卒論・修論の指導を担当している学生に会い,その内容や構成について最終的な指示を与えた。この日のために,元旦から,都合400ページの原稿を読み,その内容や表現を点検し,修正点を朱書きした。おかげで肩や背中が痛くなった。
 修論の提出締め切りは10日,卒論の提出締め切りは16日だ。それぞれ内容は固まっているから,あとは推敲を重ね,分かりやすく,説得力のある文章に仕上げてもらいたい。気持ちよく,卒業式・終了式を迎えられるように――。

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2006.01.04

「教育の方法及び技術」等のレポート

 先月末に,このブログでも紹介したように,宝塚造形芸術大学で,「教育の方法及び技術」等の集中講義を担当した。最終日にテストを実施したが,未受験者から,代替レポートの申し出があった。仕方がないので,そのテーマ等を考えた。次のとおりである。
 1.テーマ 取得を希望している免許教科における「IT利用」と生徒の「情報活用能力の育成」について,その具体的な場面,実現に向けての課題等をまとめなさい。
 2.評価の観点と規準
 (1)完成:下記形式を遵守している(10点)
 (2)正確さ:記述に誤りがない(10点)
 (3)実際性:IT利用や情報活用能力の育成について,「具体的に」叙述している(10点)
 (4)内容の充実(30点)
 ①IT利用:2005年度以降の教室環境に即している。
 ②情報活用能力の育成:我が国の情報教育の枠組みを踏まえている。
 ③実現に向けての課題:IT活用や情報教育のサポート体制,その重層性に言及している。
 3.形式
 (1)ワープロもしくはコンピュータでレポートを作成し,A4サイズの用紙にプリントアウトする。上下左右のマージンは25ミリ程度,本文の文字サイズは10.5程度,同フォントは明朝体。
 (2)レポートには,表紙をつける。表紙には,レポートタイトル(「教育の方法及び技術」「視聴覚教育法」レポート),学科及び学年,学籍番号,名前,提出年月日,300字程度の要約を載せる。
 (3)本文は,用紙を1ページ(横書き)40字×30行に設定して,4ページ(合計91行以上120行以内)。表紙も含めると5ページのレポートとして完成させる。
 自分としては,まずまず練られたテーマ,明確な評価規準だと思うのだが――(また東京大学のY先生から,『懲りすぎ』とご叱責を受けそうだが――)。ちなみに,これらの規準はすべて該当者には伝えてある。果たして,こちらが求める内容に仕上がってくるか――。

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2006.01.03

記憶に残る「研究発表会」

 今日も,原稿の執筆を続けた。やはり風邪なのか,それとも執筆のためのキータッチが原因なのか,肩や背中がひどく痛い。あまりの痛さに耐えかねて,とうとうクイックマッサージを受けに出かけた。
 ところで,今日は,「他校の研究発表会に学ぶ」という文章を綴った。教師たちは,所属校の学校研究を推進するために,どのような学校のいかなる研究発表会に参加すべきだろうか。これを論じていて,ふと,自分の記憶に残る「研究発表会」はどれだろうかと,自問自答してみた。
 学校の研究発表会への初参加は,今から22年前の神戸大学教育学部附属明石中学校のものだ。当時学部3年生だった。後でレポートを命じられたから,よく覚えている。大学院博士課程時代に足繁く通った愛媛大学教育学部附属中学校にご恩返しすべく,同校の研究発表会で講演を務めさせていただいたのも,会場となった同校の講堂が格調高い(テレビドラマや映画用に撮影されることも多い)こともあって,印象深い。あれは,平成11年6月のことだったろうか――。
 研究発表会のデザインが練られている,その完成度が高いという点では,やはり,平成14年秋の岡山市立平福小学校の自主的な研究発表会だろう。私自身もそのデザインに参画した。
 当時の平福小学校の学校研究テーマは,総合的な学習のカリキュラム開発に関するものだった。しかしながら,総合と教科との関連づけを提案するために,あえて教科の授業も公開してもらった。分科会も,評価,教科との関連,情報教育と重要なトピックを立てて,編成した。公開授業と分科会を接続するために参加者に授業評価シートを手渡し,それに基づく議論を分科会では繰り広げてもらった。
 全体会では,研究主任の提案だけでなく,分科会の報告もそこに加えて,分科会と全体会を連結する工夫も採用した。また,最後のパネルディスカッションは,私が司会を担当して,水越先生(関西大学),堀田先生(当時静岡大学)から多様なコメントを引き出し,総合的な学習のカリキュラム開発について,複眼的に検討した。また,時には平福小学校の教師たちやフロアにも意見を(アドリブで)求めたりして,研究者のコメントと実践を連接させる場面を設けてみた。参加者から,「(全体会は)授業みたいでしたね」と批評してもらったことをよく覚えている。

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2006.01.02

年始恒例の卒論・修論添削作業

 今日は,原稿執筆も一時中断だ。というのも,4日,5日には卒論・修論を作成する学生に会い,その内容や構成について最終的な指示を与える。そのため,彼らに年内に提出してもらった草稿を読み,それを添削しないといけない。大阪大学の助手になって以来続けている,この時期の恒例行事だ。
 しかしまあ,これには時間がかかる。私が担当する学生は,基本的には実証研究を展開している。収集したデータに基づいて論じるはずなのだが,データの整理から考察に至るプロセスに飛躍が入りがちだ。行間を読んで,こちらで論理のギャップを埋めてやらねばならない。また,いたずらに文章を綴るので,不要な表現が多くかえって分かりにくい叙述になっているものを,趣旨が明快になるようにカットしてやらないといけない。手間がかかる。DSC02236
 自分だって昔は分かりづらい文章を書いていたのだから,仕方がない。これも輪廻だ。学生もみんな必死なのだし――。そうはいっても添削に疲れたので,ベランダに出て,空を見上げた。写真のような夕日を見て,自分を鼓舞した。

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2006.01.01

原稿執筆で2006年が始まった――

 元旦の今日も,原稿の執筆を続けた。原稿執筆で2006年が始まった――。
 原稿執筆の遅れを取り戻すべくがんばったのだが,今朝からまた喉がざらざらする。ひどくならないといいのだが――。
 今日は,学校の実践研究を進めるために役立つ,読書に関する文章を綴った。さて,読者ならば,どんな書物をイメージされるだろうか。
 まず,学校研究の骨格を成す,学力論については,このブログでも紹介した,志水宏吉著『学力を育てる』(岩波新書)をリストアップした。また,学校研究の方法論がまとめられているので,そのリーダーにはぜひ目にしてもらいたい図書として,伊藤功一著『校内研修』(国土社)佐藤学監修・大瀬敏昭他著『学校を創る 茅ヶ崎市浜之郷小学校の誕生と実践』(小学館)を紹介した。両者はいずれも,学校を単位とする授業研究,それを通じた教師の成長,その多様性等について論じたものだ。さらに,田中耕治編『時代を拓いた教師たち』(日本標準)を教職の営みを複眼的にとらえることができる書籍だとして,案内した。
 他にもよい本はたくさんあるが,これらは,学校研究の企画・運営という見地から,それを代表する好著であると思う。

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