国語科の目標や評価規準・判断基準(ある学校の研究授業から)
21日に,府内のある小学校で実施された,第3学年の国語の研究授業を見学した。題材は,「おにたのぼうし」であった。子どもたちは,「おにた」の気持ちを汲んで,表現豊かに音読していた。また,一生懸命,文章の読み取りに挑戦していた。それらは,このクラスの子どもたちの国語の力の高まりを示すものであった。
ところで,授業者が設定した目標は,「手をだらんと下げてふるふるっと,悲しそうに見ぶるいした,おにたの驚きや悲しみに,共感する。<書く><話す・聞く>」というものであった。なぜ,「書く」「話す・聞く」なのであろうか。授業者にたずねてみると,その理由は,子どもたちがおにたの心情を想像して,それを「ワークシートに書く」からであり,またクラスで「発表し,交流する」からのようであった。けれども,それら「書く」あるいは「発表する」という活動は,本時では,過程や手段に過ぎない。 さらに,評価規準や判断基準についても,B基準が「おにたの驚き,悲しむ様子を見て思ったことを書くことができる」,A基準が「おにたの驚き,悲しむ様子を見て思ったことを書き,発表することができる」と準備されていた。これも,問題だ。「読む力」の規準・基準でないばかりか,A基準とB基準で,観点が違ってしまっているからだ。
授業者の考えをよく聞いてみると,どうやら,本時は,「根拠をもって読む」ことが目指されていたし,その妥当性や重層性が判断の基準に据えられていたようだった。だから,指導案の記述が混乱しているだけだったのだが――。ただ,他でも,似たようなケースに遭遇することがある。どうも,国語科の目標や評価の観点(規準や基準)については,学校現場に誤解が少なくないように思う。
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Comments
来年度,国語の研究に取り組もうとしているので,参考になりました。
県外出張の件はボツになりましたが…内容には大変興味があるので,学校名を教えていただけますか。
Posted by: nabe | 2006.02.24 03:04 AM