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2006.06.03

研究授業の企画・運営-その数をどう増やすか-

 30日に訪問した,京都市立仁和小学校では,今年度,研究発表会でのものも含め,15の研究授業が予定されている。要するに,全学級で研究授業が実施されるのだ。全員が参加するもの,学年や部会を単位とするものなど,確認していないが,おそらく,そのスタイルには多様性があろう。いずれにしても,立派な数だ。
 一方で,私が関わっている学校でも,年に1度だけしか実施しないところもあるし,聞くところによると,1年に1度も実施しない学校もあるようだ。
 数が多ければよいというものではないが,やはり,それは,学校の実践研究の成熟度を物語る指標であろう。私が推進している,学校研究推進リーダー養成プロジェクト(LTプロジェクト)では,学校研究推進のためのQ&A集を作成した(近日中に公開の予定)。そして,その項目の1つに,「Q2:なかなか研究授業の実施を引き受ける人がいません。どうすれば,進んで引き受ける人が増えるでしょうか。」を用意してみた。読者ならば,この問いにどのように回答するだろうか。次のような対応がモデルとなるだろう。

 A:まず,なぜ引き受ける人がいないのかを分析してみましょう。研究テーマが難しく,「研究授業を引き受けるにはハードルが高い」と思われているのではないでしょうか。協議会に先立って行われる研究授業には,研究テーマに沿った提案性が必要なことは言うまでもありません。しかし,あまりに要求されるものが高すぎたり,数多くあったりすると,授業者に負担になることもあります。後掲のQ10を参考に,事前に授業者としっかりと打ち合わせをしておくことが大切です。
 また,研究授業の経験が少ない教員ほど「研究授業は,みんなの見本となる,よい授業をしなければならない」と考える傾向にあります。研究授業は「手本」ではなく,参観者が自分の実践を振り返るための「教材」だと捉えればよいのです。そのことを共通理解してもらい,全員が何らかの形で研究授業を実施できるよう,計画的に研究を推進しましょう。
 研究授業を引き受けた教員が「やってよかった」と思えるような協議会になっているかどうかも,研究授業を引き受けてもらえるかどうかに大きな影響を及ぼします。重箱の隅をつつくような質問・意見が延々と続く,授業で提案したことが議論にならないといった状況であれば,研究授業を引き受ける教員がいなくなるのも無理はありません。Q15を参考に,協議会の進行案を吟味し,そこで実りある議論が繰り広げられるように,計画する必要があります。
 研究がスタートしたばかりで,提案性のある授業をやりにくいと感じるという場合には,研究主任自らが研究授業を引き受けるのもよいでしょう。ただし,あまり,よい授業をしようと気合いを入れすぎると,研究授業を引き受ける他の教員たちのプレッシャーを増す原因にもなってしまうので,バランスを考えることも大切です。
 その他にも,経験豊富な校長や教頭に研究授業の実施を依頼するという方法もあります。いずれにしても,研究主任の創意工夫次第で,学校研究の豊かな風土を作っていくことが可能です。

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Comments

本校では年間8回、公開授業を計画しています。15って多いですねぇ(驚)

あれ、、、コメントの表記が英語になっている?

Posted by: ほそみ | 2006.06.03 11:04 PM

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