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2008.06.30

「カリキュラムに関する語りと探究の充実」

 本日,我が研究室で,矢野先生(大阪市立大学)及び森先生(愛知江南短期大学)と,7月5・6日に鳴門教育大学で催される,日本カリキュラム学会第19回大会の発表準備に勤しんだ。ここで,我々は,「カリキュラム・リーダーシップのモデル開発」と題する発表をおこなう。一昨年度から3人で推進している,カリキュラム開発に必要とされるリーダーシップに関する理論的・実践的研究の中間成果をレポートするのだ。カリキュラム・リーダーシップ概念が台頭した背景,それとカリキュラム・マネージメントの違い,国内外の学校におけるカリキュラム・リーダーシップ実践の分析等を通じて,カリキュラム・リーダーシップの本質が教師たちの「カリキュラムに関する語りと探究の充実」にあることをモデルとして示すことになった。詳しくは,当日(5日の13:50~)の発表をお聞きいただきたい。

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2008.06.29

「研究発表会」開催に向けての役割分担

 今年度は,松下教育研究財団の支援を受けて,学校研究の一環たる「研究発表会」について,その企画・運営に関する実践的知見を集積している。ヒアリングをしてみると,私が整理している,研究主任のアクション,例えば研究発表の準備,公開授業の内容等の検討や調整,研究紀要の作成等以外にも,色々な役割が必要になることが示唆された。それは,例えば昼食の手配とか,教育委員会等への挨拶の依頼等であり,あるものは他のミドルリーダーたる教務主任や教頭(副校長)が,またあるものはスクールリーダーたる学校長が果たすべきものである。このプロジェクトのゴールでは,『「研究発表会」開催の手引き』では,それらも「番外編」的に載せることにした。

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2008.06.28

大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻の「パワーアップセミナー」

 私が所属している,大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻には,特別選考によって入学した,若い院生も所属している。彼らは,大阪府教員採用試験に合格した後,採用が2年間延期され,その間に本学で学ぶ大学院生だ(いわゆる教職大学院の枠組みであれば,「スーパー-ルーキー」などと呼ばれることもある)。私が担当する,現職教員向けの授業科目にも,数名出席してくれている。
P1120208 本学で課せられている,彼らの学びの1つに,「パワーアップセミナー」と題するセミナーの企画・運営がある。例えば,今回のテーマは,「学校(教員)の若年化に向けて」である。今日のセミナーでは,これに関するアンケートやインタビュー結果の報告,グループワークの展開などが設定されていた。小さな問題点はいくつもあるが,セミナーの企画・運営を通じて,彼らが学校現場の実態を把握し,現職教員等とコミュニケーションを繰り広げている様子から,このセミナーが彼らの力量形成に資するものであることを実感できた。

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2008.06.27

大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻「授業公開と入学相談会のご案内」(再)

 私が所属している,大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻では,7月7日から12日まで,大学院の講義を公開する。私が前期に担当している科目「教師発達学」も,もちろん,公開されるものの1つだ。8日(火)の19:40~21:10が講義時間帯である。予定では,この日は,1)あるベテラン教師の授業力量形成史をたどり,2)それを参考にして,受講生たる現職教員たちが自らの授業力量形成史を整理・分析し,考察し,相互に批評し合う場面を設ける。このような,実践史の省察は,教員の授業力量の形成の土台になる,重要な作業である。見学者にとっても,きっと自らの授業力量形成のあり方を再考する機会となろう。
 各講義の教室等は,下記の案内を参照されたい。なお,授業公開と並んで,大学院への入学に関する相談会も催される。興味のある方は,これにもぜひ参加されたい。「open_campus_08070712.pdf」をダウンロード

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2008.06.26

日本教育工学会第24回全国大会(10月11日~13日,上越教育大学)

 日本教育工学会では,毎秋,年次大会を開催している。私は,昨年,今年と大会企画委員会の委員長を拝命しているので,ここ数日,大会の企画・運営,例えば課題研究プロポーザルの受付対応,シンポジウム登壇者の招聘手続きの明確化,発表論文原稿の見本の作成やWebページへのアップ,後援名義取得等で忙殺されている。
 これだけ苦労するのだから,大会に多くの方に参加していただきたいし,発表にもトライしていただきたい。詳しくは,この専用ホームページで。

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2008.06.25

思考力を評価するために

 本日,研究室に,高槻市立阿武山小学校の浅香教諭を迎え,二人で,社会科において「思考力」を育むための授業デザイン,そしてそれを評価する方法について議論した。浅香教諭が構想している実践では,子どもに,水産業(とる漁業,育てる漁業)の現状や課題を把握させる。そのために,彼は,NHKの学校放送番組やデジタル教材等を活用するのであるが,難しいのは,それをどのように評価するかということである。もちろん,教科書や前述したようなメディアを活用して子どもたちが考えている過程も評価の対象であるが,それが一般化されたかどうかを確認するために,つまり応用・活用力を問うために,二つの主題図を関連づけていくつかの事象やその背景を説明させる,その根拠になる資料を予想させるといった問題を考えついた。
 このチャレンジの経緯と成果は,10月24・25日の第59回放送教育研究会全国大会の研究交流会・小学校分科会で報告される。

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2008.06.24

学校長の学校評価に関するイニシアチブ,リーダーシップ

 本日,大阪市内の小学校に出かけて,学校評価の営みに対するヒアリングを試みた。学校関係者評価委員会の委員の人選に関する考え方,その進捗状況について,学校長にインタビューした。例えば児童が進学する中学校の管理職等に委員就任をお願いしたいが,他の小学校も同じことを願うだろうから,先方の負担が大きくなりすぎるのではないか。「生涯学習ルーム」のスタッフは,社会教育として子どもに接しているが,それゆえに,学校教育の改革に示唆に富んだアイデアを提供してくれるのではないか等々。委員会の委員の選出という問題だけでも,様々な事項を総合的に検討していることが分かった。
 この学校長は,学校評価のスタッフに関する説明や教育委員会との連絡調整も担当している。やはり,学校評価の成否は,学校長のイニシアチブ,リーダーシップに依存する。

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2008.06.23

NHK学校放送番組『見える歴史』の活用(第65回なにわ放送教育研究会)

 本日夜,谷町のNHK大阪で,第65回なにわ放送教育研究会が催され,私も参加した。今日は,今年度にスタートした学校放送番組『見える歴史』の第3回を視聴し,その特徴等について意見を交換した。
 また,この番組を活用した実践を守口市立橋波小学校の松浦教諭が報告してくれた。彼は,(前にもこのブログで紹介したが)番組の継続視聴を活かし,時代をまたいで,政治や文化,くらしの異同を考察させる取り組みに着手している。その可能性と課題について検討した。やはり,実践がチャレンジングなので,参加者から色々な意見が出て,議論が盛り上がった。

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2008.06.22

学力向上に資する「ものづくり」

 先日,ある小学校の第6学年の国語の学習で,学力向上と「ものづくり」について考えた。その授業は,子どもたちが,校外学習で訪れた奈良の街の魅力等をパンフレットにまとめて,5年生に手渡すという題材が設定されていた。まず,パンフレットという「ものづくり」は,まず,子どもたちの学ぶ意欲を高めていた。自分たちの学びの成果が形になるということは,素朴にうれしいものだ。それが下級生の役にたつとなれば,なおいっそうがんばる気持ちも高じよう。
P1030160 また,形になったものは,そのよさや問題点を吟味しやすい。様々な角度から眺めて吟味できるし,友だちのものと並べてみたりすることもできるからだ。つまり,子どもに,思考・判断を促す。さらに,表現も進めやすい。形あるものは,それを相手に具体的に示して,「ここを見てください」「私が工夫したのは,この部分です」と語ることを可能にするからだ。
P1030208 なお,この授業では,「ものづくり」が「ことづくり」と連結していた。後者は,評価規準である。子どもたちは,教師と一緒に,5年生に喜んでもらえる,彼らに役立つパンフレットが満たすべき条件を検討し,写真のように整理していた。

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2008.06.21

学校を基盤とする学力向上アプローチ

 本日,日本教育工学会の企画委員会が企画・運営する,シンポジウムが開催された。私は,午前中の「科研費による研究プロジェクト『学力向上と学校におけるICT活用の効果に関する総合的・実証的研究』の研究成果を中心として」というタイトルのものに登壇した。教員や児童生徒を対象とする,2つの大規模調査の結果を踏まえて,学力向上とICT活用の関係,その問題点を指摘した。
 主張点は,学力向上は,子どもの学力実態や学校が置かれた条件を踏まえて,個別的なアプローチを採用せざるをえない,それにおけるICT活用の位置付けも一般解は存在しないという点である。また,学力向上とICT活用の接点を各学校が開拓すべく,学校のリーダーが手腕を発揮しなければならない,だからその研修の充実こそがICT活用と学力向上の関係を築く際の最重要課題であるという問題である。

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2008.06.20

全国の小中学校の先生方へのお願い(NHK学校放送に関するアンケートへの回答を)

 このブログでも何度か紹介してきたが,私は,現在,「2011年以降の学校放送番組とデジタルコンテンツのあり方に関する調査研究プロジェクト」の企画・運営にたずさわっている。これは,2011年,そしてそれ以降のNHKの教育サービスのあり方について,具体的に提言するための調査研究である。NHKが日本放送教育協会に,その企画・運営を委嘱している。
 このプロジェクトの一環として,「NHK学校放送についてのアンケート」を実施している。その結果は,今後のNHKの学校教育向けサービスのあり方を決定する際の重要な情報となる。このブログの読者たる,全国の小中学校の先生方に,このアンケートへの回答をお願いしたい。詳しくは,下記の依頼文をお読みください。

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日本放送教育協会より
NHK学校放送についてのアンケートのお願い

このたび日本放送教育協会では、今後のNHK学校放送の在り方を考えるため、下記のようなメンバーによる調査研究プロジェクトを発足させました。そして,その一環として,平成19年度に小中学校で授業を行った先生を対象に,アンケートを実施いたします。
※平成20年度に授業を担当されている場合でも,平成19年度に内地留学や研修などで授業を担当されなかった場合には,回答をご遠慮いただいております。

以下のURLからアンケートにアクセスして、平成20年6月30日(日)までに,質問にご回答ください。
http://www.nhkk.or.jp/nhk2011/

お忙しいところ恐縮ですが,ご協力をいただけますよう、お願いいたします。

<日本放送教育協会NHK委託プロジェクト>メンバー
熊本大学教授 鈴木 克明
大阪教育大学教授 木原 俊行
メディア教育開発センター准教授 堀田 龍也
東京大学准教授 山内 祐平
早稲田大学准教授 森田 裕介
椙山女学園大学准教授 亀井 美穂子

なお,アンケートに対するご質問等は、日本放送教育協会までご連絡ください。
(財)日本放送教育協会
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町41-1 第一共同ビル
TEL(03)5457-8800 FAX(03)5457-8801
e-mail info@nhkk.or.jp
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2008.06.19

研究所等からのお客さんが続いて

 本日,午後から,研究室に,2件連続でお客様を迎えた。研究所の研究員や雑誌編集者の方だ。キャリア教育やカリキュラム開発,授業研究と教師の力量形成等について質問され,それに私なりに答えた。そういえば今週は,教育委員会や教育センター等のスタッフにも研究室を訪れてもらった。リクエストに応えるためには,面会の時間だけでなく,その準備にもけっこう時間を要する。先方の意向にそったアドバイスを送るために,送られてきた資料に目を通し,こちらから提供できる情報等をそろえる必要があるからだ。けっこう大変である。
 それでもなお,こちらも新しい情報を入手できることもあるし,意見交換の中で自らの考え方を再認識することもできるから,研究者にとって貴重な機会になるとは思う。もちろん,先方のリクエストの明快さ(ていねいさ),それと自分の専門との距離にもよるのだが--。

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2008.06.18

図工と英語活動のミックス

P1030109 P1030137 岸和田市立常盤小学校で,宮田教諭の授業を見学した。彼とは,長いつきあいだが,授業を見せてもらうのは,初めてである。発想豊かな,彼らしい授業であった。図工と英語活動をミックスするものだ。本時では,子どもたちが,ペットボトルに様々な絵の具を溶いた水を注いで混色を楽しみ,またペットボトルを並べて作品化し,そしてそれらを鑑賞するという活動に従事する。その導入部分で,色に対する関心を英語活動で高めるというわけだ。また,そもそも,宮田教諭は,こうした授業の出発点にも,図工と英語活動の接点を見いだしている。それは,子どもたちに,自分の似顔絵を描かせてみると,多くの子どもが似たような色づかいとタッチしか用いないという点であった。彼は,それに関する指摘は,英語活動で目指す「人種や文化の多様性」に迫る,よい機会であると考えたのであった。
 本時の展開における指導技術に若干の問題があったとも思ったが,こういうアイデア,しかも学級の実態に即したチャレンジは,多くの教師たちにも試みてもらいたい姿勢である。

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2008.06.17

中堅教師が目指す「授業力量の個性化」

 本日は,大学院で担当している講義「教師発達学」で,中堅教師の「授業力量の個性化」について講じた。中堅教師の授業づくりは,例えば柔軟な授業展開等に加えて,実践研究(アクションリサーチ)を通じた,個性的な授業づくりを図るという特徴がある。
 自己の授業づくりの課題が学校の研究テーマとマッチしない場合でも,逆に,そのギャップを克服しようとするエネルギーが新しいアイデアを生み出したという事例を紹介した。中堅教師の「授業力量の個性化」と学校における実践研究の接点の複雑さ,豊かさを物語るものだ。受講生の何人かが,「そうだ,そうだ」「なるほど」と,それにうなづいてくれていた。

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2008.06.16

研究授業を学年団で実施して,パートナーをたたえられるならば

P1030071 先日,兵庫県佐用町立三日月小学校で生活科の授業を見学した。この学校は,本年11月11日に,社会科の授業づくりに関する研究発表会を催すが,低学年も生活科の授業を公開する。本日は,第2学年の2クラスの教師た「この町だいすき」という単元の終末に位置づく授業を実施してくれた。写真のように,体育館内に校区を再現し,1年生を招待して,商店や公共施設,駅等を様子や機能を伝えるという,プロジェクト型の学習活動が用意された。
 授業後の協議会で,2名の教師たちが自評を求められて,次のように言った。初任者たる若い教諭Mは「授業の流れを同学年のG先生が作ってくださって,ありがたかったです--」と,相担のG教諭に対して,感謝の意を表した。またそのG教諭は,ベテラン教師だが,「体育館の準備をM先生が一生懸命やってくれて,助かった」と,これまたパートナーの労をねぎらっていた。学年団で研究授業を実施して,こういうコメントが出てくるようだと,その学校では,教師たちの授業づくりのアイデア交流が豊かになっている。たくさんの学校と交わって,経験的にそう思う。
 子ども同士のコミュニケーションが大事であるとか,彼らの討論における練り合いが大切であるとか言いながら,協議会で互いの努力や工夫を認めようとしない場合もある。そんな学校に行くと,元気を失って帰途に就くことになるが,今日は,明るい気持ちで学校を後にすることができた。

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2008.06.15

日本教育工学会のシンポジウム(21日の土曜日に開催)

 私が理事を拝命している日本教育工学会では,毎年6月に,総会開催に合わせて,シンポジウムを企画・運営する(今年度は,来週の土曜日,21日だ)。午前・午後と2つのシンポジウムが用意されるが,今回,午前は「科研費による研究プロジェクト『学力向上と学校におけるICT活用の効果に関する総合的・実証的研究』の研究成果を中心として」というテーマで,そして午後は「我が国の高等教育の行方と教育工学~経営,経済,社会的視点を活かして~」というテーマが設定された。
 私も,午前のシンポジウムに登壇する。与えられた役割は,教員や児童生徒を対象とする,2つの大規模調査の結果を踏まえて,学力向上とICT活用の関係,その問題点を指摘することである(昨日,本日とそのレジュメづくりに追われた)。
 興味のある方は,ぜひとも参加されたい。

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2008.06.14

最近の給食

P1020798 昨日,三次市立三和小学校で学校給食を頂戴した。メニューは,写真のとおりである。竹輪の揚げもの,ポテトサラダ,中華スープ,そしてライスと牛乳であった。特に中華スープの味は,絶品であった。学校長には,「すみません,ニンジンが多くて--」と言っていただき,恐縮した。どこかから,「ニンジンが苦手である」という情報が漏れているようだ--。でも,このポテトサラダ内のニンジンは,大丈夫だった(苦くなかったから)。
 最近,学校給食を頂戴する機会が増えている。どれも,なかなかの味だ。給食の工夫は,味だけにとどまらない。数日前に訪問した学校の給食にはオムレツが搭乗したが,その上には,ケチャップでハートマークが描かれていた。あれを600人以上描くのは,大変だったであろう。様々な側面から,子どもたちの食の充実を目指して,学校そして教育関係者のチャレンジが続いている。

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2008.06.13

「教えて,考えさせる」授業の充実

 三次市立三和小学校の授業を見学し,それに関する協議会にも参加した。同校は,国語科と算数科を対象として,思考力・表現力の育成を試みている。それに,視聴覚メディアやICTの活用を位置づけようとしている。例えば
,本日の3年生の国語の授業であれば,子どもに文の構成を考えさせるために,教師は,電子情報ボードを活用しして,作品のモデルを示し,そのポイントを確認していた。
P1020820 視聴覚メディア等の活用以外にも,同校の教師たちは,「教えて,考えさせる」授業の成立を目指して,様々な工夫をこうじている。例えば,写真は,算数的な活動の充実である。1年生の子どもたちに,様々な形の立体にふれさせ,その構成要素や機能に着目させようとしている。
 こうした授業づくりの工夫は,研究授業後に催される事後協議会のデザインと呼応している。教師たちは,付箋紙に授業に関する気づきを記し,それを模造紙にはるのだが,それが次々と出てくる。しかも,ある教師の気づきに対して,他の教師から,自然に,それに対する賛同や異論が示される。グループで作成した模造紙にまとめたの内容を代表者が発表するのだが,その役割はローテーションによって多くの教師が果たすことになる等々,「協議会は,第二の研究授業であるから,そのデザインにリーダーは細心の注意を払うべきだ」という私の主張を,同校の教師たちは,よく採り入れてくれている。
 さらに,同校の取り組みの特色は,教育委員会との連携にも確認できる。今日も,3人の指導主事が学校を訪れ,それぞれが,与えられた時間内でコンパクトに,適切にコメントを繰り広げていた。彼らは,書画カメラを利用してプリントを拡大提示していたが,それは同校の教師たちの授業や協議会の特長に合わせようとしたアクションであると語っていた。すぐれた学校の取り組みは,教育行政関係者の学びまでも生み出すのだ。

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2008.06.12

卒業論文作成に対する現職教員のサポートに感謝

 本日,21時過ぎから,研究室で,私が卒論作成を指導している学生に対して,現職教員がサポートを展開してくれた。この学生は,学級経営に関する理論的・実践的研究に取り組んでいる。その一環として,「学級づくりに関するアンケート」を実施するのであるが,その内容や表現に対するコメントを現職教員にお願いした。お忙しい中,自らの学級経営を材料にして,学生に対して,適切なアドバイスを送ってくださった。
 このようなサポートがあるから,私が指導する学生は,教育実践に即した卒業論文を作成することができる。大感謝である。と同時に,それに報いるべく,逆に,こうした教員のリクエストにも応えていきたいと思う(まあ,今回コメントをお願いした教員からのリクエストには,まずまず応えてきているかな--例えば披露宴のスピーチとか--)。

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2008.06.11

教師たちの振り返りとそれを生かした授業改善

P1020694 先日,兵庫県佐用町立三日月小学校で社会科の授業を見学した。この学校は,本年11月11日に,社会科の授業づくりに関する研究発表会を催す。そのサポートのため,昨年度から数回,私も,訪問している。昨年度から,参加型研修に取り組んでもらっている。授業研究だけでなく,年度末の研究の総括的評価もそうである。その成果が,写真のような「宣言」である。これは,管理職を含む,すべての教師が,当該年度の実践を振り返り,次なる課題を定め,それらを文書に残したものである。例えば,「私は,読解力の育成について,複数の資料を比較検討して考察できる力を子どもにつけます。」「教師たちが読解力の育成を図りやすくなるように,教育委員会に環境整備を働きかけます。」といった自己課題が記されているわけだ。
 そして,研修会が開催される会議室には,それがずっと掲示してある。授業改善のポイントを,教師たちが忘れないように。

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2008.06.10

研究授業と事後検討会の意義

 本日,ある小学校で,いわゆる研究授業(3時間分,いずれも算数)を見学した。そのうち2時間は,初任者の授業で,一部の教師たちしか見学しないことになっていた。研究推進チームは,それでも,指導案に目を通せば,また授業を見学した教師たちのコメントを参考にして,授業を見学できなかった教師たちも,当該授業について意見を述べたり,話し合いに参加したりできると考えていたようだった。しかしながら,「授業を見ていないのにコメントできない」と,研究授業と事後検討会のデザインに異を唱える教師たちがいた。これについて,読者(の現職教員)は,どう考えるだろうか。
 私は,たとえ授業を見学できなくても,教師たちは,協議に参加できるし,その意義は小さくないと思う。というのも,研究授業と事後検討会は,各教師が授業づくりを省察するための刺激や機会であり,彼らが改善に向けたアイデアを吸収する舞台であると考えるからだ。換言すれば,研究授業を実施した人だけがあれこれ言われるだけならば,事後検討会の価値は半減する(1割以下になる)。
 子どもたちの学び合いを,教師たちは,どのように構成するだろうか。例えば,ある子どもの調査研究活動の過程や成果について,その子どもと行動をともにしていなくても,友人同士で批評させるではないか。そして,それを自らの調査研究活動の糧とするように,クラスに働きかけるではないか。教師たちの学び合いだって,原理は変わるまい。

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2008.06.09

学校評価の充実

P1020591 8日,日曜日にもかかわらず,大阪市立豊崎東小学校に出かけた。今年度,この学校の学校関係者評価委員会の委員を拝命しており,この日,その第1回委員会が催されたからだ。学校の経営方針を聞いたり,(日曜参観が実施されていたので)各学年の授業を見学したりした後,今年度の学校評価,とりわけ学校関係者評価の進め方について,委員間で意見を交換した。
 複数の委員から,評価のための項目・指標,さらには基準を示してもらいたいという意向が表明された。学校の自己評価の妥当性等を吟味するためには,早い時期に項目・指標等を手にして,それをもとに,学校の取り組みを見つめたいとのことであった。現在,豊崎東小学校の教師たちは,学校評価のための項目・指標等の作成に取り組んでいるが,私は,暫定的なものであってもよいから,できるだけ早くそれらを委員に届けた方がよいとアドバイスした。学校評価の実践に少なからず接してきたが,このようなリクエストに,これまでは出会ったことがなかった。それだけ,関係者の学校評価への意識が高くなってきたということであろう。

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2008.06.08

大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻「授業公開と入学相談会のご案内」

 私が所属している,大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻では,7月7日から12日まで,大学院の講義を公開する。私が前期に担当している科目「教師発達学」も,もちろん,公開されるものの1つだ。8日(火)の19:40~21:10が,講義時間帯である。予定では,この日は,受講生たる現職教員たちが,自らの授業力量形成史を整理・分析し,考察し,相互に批評し合う場面であると思う。教員の授業力量の形成の土台になる,重要な作業である。
 各講義の教室等は,下記の案内を参照されたい。なお,授業公開と並んで,大学院への入学に関する相談会も催される。興味のある方は,これにもぜひ参加されたい。「open_campus_08070712.pdf」をダウンロード


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2008.06.07

「私たちはプロですから,いつ見てもらってもけっこうです」

 昨日の記事の続きである。私のところで内地留学に従事していた草柳氏に授業を見せてくれたのは,(昨日レポートした)守口市立八雲小学校の重松教諭だけではない。放送教育の研究サークル,「なにわ放送教育研究会」の他のメンバーもそうである。
 松浦教諭は,実は,3日に記事にした社会科以外にも,国語・算数・理科の授業も提供してくれた。4日は,高槻市立阿武山小学校の浅香教諭だ。彼は,3時間,草柳氏に授業を見学させてくれた。5日は,茨木市立東奈良小学校の佐藤教諭が,2時間の授業を見せてくれた上,草柳氏がクラスで授業(『みんな生きている』の活用)を試みるチャンス(試練?)を与えてくれた。
 彼らの「いつでも授業をオープンにできるマインド」も,大したものだ。昨日の慰労会で,私が,それに謝意を表したら,彼らは,たんたんと「私たちはプロですから,いつ見てもらってもけっこうです」と答えてくれた。「そんな自慢できるような授業をやっているわけじゃないですけど--」「見てもらうのは恥ずかしいんですけど--」といった控えめな言葉とともに。
 教室に知らない人がやってくるのは,子どもに悪影響を及ぼすと考える向きがあるやもしれぬ。しかしながら,彼らは,むしろ,それが子どもにとって問題ないように,いや価値ある体験になるように,日頃から,子どもを指導し,学級集団を形成しているのであろう。しかも,それを学校の管理職等が認めてくれるということは,彼らの指導や校内におけるアクション等が確かであることの証であろう。

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2008.06.06

いつでも授業をオープンにできるマインド

P1020567 本日,内地留学に来ている草柳教諭と,守口市立八雲小学校の重松教諭の授業を見学に行った。お得意(?)のメディア・リテラシーの授業だ。題材は,「大阪のおばちゃん」。それが,メディアによって過度にステレオタイプ化されていることの問題点を子どもたちに気づかせようとする,展開であった。
 教材や授業展開の工夫も見事なのだが,それ以上に,私は,重松教諭の「いつでも授業をオープンにできるマインド」に感心させられる。教職経験30年を越えると,一般には,授業をオープンにすることにためらいを覚えるものだ。ましてや,授業見学の依頼が,申し訳ないことにとても遅れたため(他の授業見学と調整する必要が生じたので),「突然,そう言われても--」と躊躇なさっても不思議ではない。
 草柳教諭の研究課題が情報モラルなのでそれに合わせた内容で授業を組んでくださるという配慮も含め,その姿勢に,敬意を表したい。

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2008.06.05

「授業評価」のさらなる課題

 先日,全国公立学校教頭会の機関誌『学校運営』に,授業評価に関する文章を寄稿した。この号(No.562)では,「授業=教師の専門性の向上」という特集が組まれている。私は,その一環として授業評価に関するものを担当させていただいたというわけだ。授業評価の現状,その基本的な枠組みと多様な手法,さらなる課題について論じている。特にさらなる課題については,授業評価を学校における実践研究の企画・運営に接続させるためのポイントについて解説した。お読みいただければ幸いである。「evaluation_on_teaching.pdf」をダウンロード

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2008.06.04

内地留学生を受け入れて

P1020526 今週,川崎市立夢見ヶ崎小学校の草柳教諭が私と行動をともにしている。一緒に小学校を訪問したり,私の学部・大学院の講義に参加してもらっている。彼は,本年度,川崎市総合教育センターで研究員を務めている。その一環で,5日間の内地留学をおこなうというわけだ。私の講義が夜間におこなわれるので,草柳氏の内地留学は,相当長い時間に及ぶ。もちろん,それぞれも密度が濃い。例えば,講義では,突然の私の指名に答えないといけないし,学生を相手に模擬授業を展開してもらう。おそらく5日間でくたくたになるだろうが,めったにできない経験になる(と思う)。

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2008.06.03

放送番組の継続視聴で思考力を育む

P1020515 守口市立橋波小学校で,松浦氏の授業を見学した。第6学年の社会科の歴史学習であった。NHK学校放送番組『見える歴史』の「聖徳太子」を子どもに視聴させ,その内容を国づくり(政治,経済等),文化,生活(衣食住等)の観点で整理させるものであった。
P1020540 圧巻だったのは,その後の展開である。松浦氏は,縄文時代,弥生時代の学習でも,同じような枠組みで,番組視聴を通じて歴史的な事実を子どもに把握させている。そうした蓄積を生かして,3枚のワークシートを並べさせ,内容を比較させ,時代をまたいで,社会的な思考を子どもに繰り広げさせたのである。かなり抽象的な思考が要求されるが,子どもたちは,それに応えていた。番組の継続視聴を社会的な思考の充実に結実させた,よい実践であった。

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2008.06.02

平成21年度の放送教育研究会全国大会に向けて

Cimg0013 豊橋を訪れた。豊橋を含む三河地区で,平成21年10月27・28日に,第13回視聴覚教育総合全国大会及び第60回放送教育研究会全国大会が催される。17ヶ月も先の話であるが,そのための取り組みを順調にスタートさせるために,豊橋市の保育園・小学校・中学校等の先生方に対して,本日,「放送教育の伝統と新しいアプローチ」と題する講演をおこなった。また,NHKの制作者が番組の特長等を語った。同地区の先生方は,私たちに,たくさんの質問を投げかけてくれた。放送・視聴覚教育の平成21年度全国大会に向けて,確かな一歩となった。

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2008.06.01

妙高の美しい自然

 本日,妙高地区は,快晴であった。その美しい自然を読者にもお裾分けしよう。P1020488 P1020496


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信州大学教育学部の大学院GPのフォーラムでアクション・リサーチについて講演

P1020500 昨日に続き,妙高青少年自然の家で,信州大学教育学部の大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)フォーラムに参加した。まず,このプログラムの各部会の取り組みについて拝聴し,その後,「教師によるアクションリサーチの充実に向けて」というタイトルで講演を担当させていただいた。これまでの四半世紀に及ぶ学校現場との交わりを踏まえ,1)教師像と教師の力量の再確認,2)教師によるアクション・リサーチの事例と特徴,3)教師によるアクション・リサーチへの研究者の貢献などについて話題提供させていただいた。また,私が学校と交わる際に堅持しているポリシーやそれを成立させるためにおこなっているトレーニングも開陳した。
 結局、話題提供と意見交換で,2時間以上を費やした。とても疲れたが,授業研究やアクション・リサーチについて学部をあげて議論したり,プロジェクトを企画・運営できるというのは,うらやましい限りである。

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