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2009.04.30

「自分に力がついたと思える授業は?」と問われて

 本日,学部の講義「教育学演習Ⅰ」で,「学びのコーディネータとしての教師」を題材として,受講生に経験を振り返ってもらい,また,信念・知識・技術を視点として,ある中学校教師の授業を分析してもらった。
 学生に,「小中学校時代に,自分に力(教科の学力)がついたと思える授業の特徴を思い出して,コメントしてください」と,リクエストした。残念なことに,一部の学生は,「そんなのなかった--」と答えた。この講義の数回前に「印象に残った授業や教師は--」と問うたら,それはすらすら出てくる。この違いは,なぜ生じるのか--。
 学校の授業は,その過程において,子どもが自身の学力の高まりを実感できるものであってほしいと思う。なお,幸い,上記の学生たちも,仲間と意見交換し,私の追質問に答えているうちに,「そういえば,ありました--」と言ってくれた。読者は,どんな特徴を彼が思い出したと考えるであろうか。彼は,教師が授業で複数のプリントを用意してくれた,つまり個に応じた指導で学力がついたと述べたのであった。

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2009.04.29

「学力向上の悩みベスト10」

 先日も紹介した,田中博之著『子どもの総合学力を育てる-学力調査を活かした授業づくりと学校経営』(ミネルヴァ書房,2009年)の中に,「学力向上の悩みベスト10」という叙述がある。田中氏は,次のように整理する。
(1)膨大な学力調査の結果を自校の実態と研究主題にそってどう読めばよいかわからない。
(2)学力診断がやりっぱなしのままで,その成果が授業改善に活かされていない。
(3)本講の学力向上は,教科の基礎・基本の学力に偏っているがどうすればよいのか。
(4)一部の熱心な教師だけでなく校内の全教員を参加させるにはどうすればよいのか。
(5)地域や保護者と連携しながら幅広い学力向上運動を展開できていない。
(6)校内研究会での話し合いや議論も方向性が定まらず場当たり的である。
(7)管理職や教員の異動によって,自校の学力向上のあり方が引き継がれていかない。
(8)校内の一人ひとりの教員によって,学力向上のイメージも方法論も異なっている。
(9)より学力向上の成果をあげるためには,何からはじめてどうすればよいのか具体論がない。
(10)どの理論書や事例集を読んでも本当に効果があがるかどうか根拠が感じられない。
 読者自身や読者が所属する組織(学校等)には,どれくらい,あてはまるだろうか。

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2009.04.28

ケープタウン(南アフリカ共和国)へ

 先日,国際カリキュラム学会から,審査の結果,第3回大会(9月7~10日)における発表への申込が受理されたという連絡が入った。ここ数年,大阪市立大学の矢野先生,愛知江南短期大学の森先生と共同で取り組んできた,カリキュラム・リーダシップの理論的・実践的モデルを報告することとなった。
 それにしても,ケープタウンとは--。そもそも,アフリカにも,南半球にも行ったことがない。どこを経由して,現地に到着することになるのだろうか(おそらく,直行便はないだろう)。英国や中国等の行き慣れたところと違って,相当下調べが必要だろう。

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2009.04.27

「授業力アップサポート事業」校内研修サポートの第1回連絡会にて

 本日,大阪市教育センターで,「授業力アップサポート事業」校内研修サポートの第1回連絡会が催され,私も,講師として参加した。この事業は,学校における授業研究の企画・運営に,大阪市教育センターのスタッフ,とりわけ,大阪市立小中学校にかつて学校長として勤務なさった先生方が,アドバイスを送るものだ(事業の柱には,この他にも,モデル校の設定や学習教材の提供などがある)。スタッフは,同じ学校に年間4回,サポートに赴き,当該学校の管理職や研究推進リーダーの相談にのったり,実際の授業研究会に参加することになっている。
 彼らに対して,私は,「学力向上に向けて,今,どのような授業が求められているのか」「校内研修企画・運営のポイント」「研究推進リーダーが採るべきアクション」等について,解説した。特に,授業研究では,「模範的な授業」ではなく,「チャレンジングな授業」が期待されるべきであること,最後には,各教員の「振り返り」や「明日からのアクションの構想」が大切であることを説いた。
 ベテランの先生方が,若輩者の私の話に熱心に耳を傾けてくださった。その熱意は,必ずや,各学校における彼らのサポート,その充実に反映されよう。

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2009.04.26

子どもの学校における生活や学習のモデルを示す学校放送番組

 昨日,渋谷のNHKで,「2011年度以降の学校放送番組とデジタルコンテンツのあり方に関する調査研究」の第9回委員会を催した。このプロジェクトは,教師のニーズをアンケートやインタビューで把握したり,海外の取り組みと比較検討したりして,2011年以降のNHKの学校向けサービスの全体像や具体的な番組・デジタル教材のあり方を明らかにするものである。
 現在,2011年度以降の学校教育向けサービスの全体像を確認するとともに,番組編成,オンライン(NHKデジタル教材)のサービス内容について,協議している。その中で,私は,小中学生向けに,学校生活の意義を説き,その活動モデルを示す番組の可能性を提案した。4月から3月までの子どもたちの取り組み,例えば学級開き,例えば教科学習の基本的なルール(準備物,話し合い,グループ作業等--特に学校放送番組が用意されていない教科等がよろしかろう),例えば校外学習,例えば委員会活動等,彼らの学校における生活や学習の意義,その要件や留意点,その手順などを具体的な学級の姿を映して,示すものだ。道徳番組であれば価値項目を意識せざるをえないので,その枠を外し,子どもたちの1年をフォローする。それによって,彼らの成長をガイドするためのものだ。
 この,いわば「学びの基礎力」育成番組--果たして実現の運びとなるだろうか。

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2009.04.25

「授業の構築」(小学館『最新教育基本用語2009~2010』)

Cover02 昨日,『最新教育基本用語2009~2010年版』(小学館『総合教育技術』の5月号増刊)が届いた。この書籍は,教育実践の基本用語を,29のカテゴリーで解説するものだ。今回は,「新学習指導要領完全対応」というサブタイトルがついているように,執筆陣に,新学習指導要領の特徴を踏まえることが強く要請された。私も,「9 授業の構築」分の執筆を担当したが,それを意識して用語を選んだ。授業の設計・実施・評価に関する用語を,さらには,それに資する校内研修・研究の企画・運営に関係するものも含めて,50ほど選び,18ページを費やして解説した。
 この書籍は,全部で450ページから成るが,他の方が執筆なさった「教師論」「カリキュラムの開発と経営」「学力と学力観」「総合的な学習」「教育評価」「ICTと学校教育」などのカテゴリーの用語解説は,私にとっても興味深い。自分ならば,この用語を選ぶか否か,選んだとしてどのように解説するかとシミュレーションしてみると,異同があるからだ。

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2009.04.24

研修部のメンバーががんばって--

 本日,広島市立白島小学校を訪問し,同校の校内研修会に協力した。同校は,「共に学び合子どもを育てる-放送・機器の活用を通して-」という研修主題の下,授業研究を重ね,その成果を,研究発表会を開催してオープンにしている学校である。11月13日(金)には,中国地方放送教育研究大会(広島大会)の会場校として,6つの授業を公開する予定であるし,その他にも,英語活動やICT活用等の研究課題にも取り組んでいる。
P1080735 研修会では,2月にある教師が実施した授業を題材にして,本年度の授業づくりや授業分析の視点を共通理解することが試みられた。授業の記録映像を下に,研究主題に即した子どもの姿,それを促し,支えている教師のアクションを抽出・整理するためのワークショップが展開された。
 1年間の研究計画の策定(そのためのヒアリング等も含めて),その一環たる本日のワークショップの準備,本日の協議内容の記録や整理等々,同校の研修部のメンバーは,研究の充実を願って,細かな点まで配慮して,研修の企画・運営にあたっている。研究主任が,ワークショップに用いる付箋紙や模造を走って運んでいた。予定していた時間を超えても,同僚の意見を拾い上げようと協議で苦闘していた。そうした姿に,学校研究の推進を支えるリーダーの存在,その重要性を再確認した。

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2009.04.23

教育者としての資質が開花したか--

 今日は,りんくうタウン駅近くの航空保安大学校で,「初任教官研修」の講師を務めた。この大学校は,空港で働く専門家,例えば管制官を養成するための高等教育機関だ。その教育を担当する方は,実務経験を数多く積んではいるが,講義や実習という教える立場の経験は皆無に等しい。そうした方々に対して,「指導と評価の工夫」をこうじた。それが,9時から17時まで。長い長い講義であった。
 その後,天王寺キャンパスに戻り,「教育学演習Ⅰ」で,学級経営に取り組む教師の姿を映像で提示し,その秘訣,可能性と課題等について受講生に考えてもらった。それが終わるのが,21時。それから,修論指導が始まる。終わったら,22時を過ぎていた。
 なんと教育熱心なことであろう--。でも,特に疲れた感じもない。教育者としての資質が開花したか--。

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2009.04.22

子どもをしかって落ち込む教師の気持ち

 先日,卒論ゼミ生を説教した。彼らのうち,複数のものが,貸した文献を傷つけたり,汚したりしていたからだ。教員になって,やがて子どもたちに「学級文庫の本はみんなのものです。大切に扱いましょう。」と言うはずの彼らである。だから,説教めいたことを言うのは嫌だな,大人げないなと思いながら,反省を促した。卒論作成中には,私以外の方(例えば学校現場の先生方)に資料をお借りすることもあるだろう。そんな時にこんなことがあってはと思い,あえて苦言を呈したのである。
 しかし,当然ながら,あまり,よい気持ちはなれない。子どもをしかって落ち込む,小学校の先生と似たようなものであろう。もちろん,全員が真摯な姿勢で謝罪してくれ,また態度をあらためることを誓ってくれたから,それで救われたのであるが(その素直さが,本学の学生,私のゼミ生の特長である)。

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2009.04.21

卒論・修論のゴールイメージを持ってもらうために

 卒論や修論のゼミのスタートでは,先輩の論文を読んで,ゴールのイメージを持ってもらっている。たとえテーマが違っても,どのようなデザインで研究を進めるべきか,それをどのようにまとめあげていくべきかについて,具体例に接すると,そのコツのようなものが見えてくるからだ。それも,複数のものを読んで比較検討してもらうと,いっそう浮き彫りになるからだ。
 もちろん,それと並行して,テーマを設定するためにも,それを目的に焦点化していくためにも,文献を読んでもらってもいるけれども,私は,この先輩の作品に学ぶという活動を,論文作成を指導する過程で,けっこう大切にしている。

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2009.04.20

NHK学校放送の新番組をじっくり検討する(第75回なにわ放送教育研究会)

 本日,NHK大阪で,第75回なにわ放送教育研究会が催された。今回は,新年度の最初の会ということもあって,参加者全員でNHK学校放送の3つの新番組を視聴した。小学校3~6年生向け国語番組「ひょうたんからコトバ」,小学校高学年向け英語番組「えいごルーキーGABBY」,そして小学校中学年向け道徳番組「時々迷々」である。それぞれの初回を視聴した後,自由に意見を交換した。
 おおむね,好評であった。特に,「時々迷々」については,子どもにとって身近なネタを斬新な構成と親しみやすい演出で描いているという意見がたくさん呈された。私は,それに賛同するとともに,あのような構成等では扱いにくい価値項目があるのではないかという危惧の念を抱いたので,それも発表した。それらは,残る19本を視聴して考えようではないかということになった。

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2009.04.19

博士論文は,大変だ

 本日は、ある方の博士論文の査読に時間を費やした。A4判250頁を超える文章のボリュームにつきあうこと自体,体力と精神力がためされる。それ以上に,その人独特の論理とレトリックを受け入れつつ,その特長と課題を整理し,指摘しなければならない。博士論文は,作成するのも大変ならば,審査するのも大変なのだ。

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2009.04.18

やっぱり8名の学生の指導を担当するのは大変かも

 本日は、本年度に卒論を作成する学生を対象とするゼミの第4回であった。学級経営,重要な他者としての教師,キャリア教育,名人教師の授業力量の形成,デジタルポートフォリオ,ICT活用指導力,小学校の外国語活動等,彼らの関心は,実に多様である。それぞれについて,研究計画を吟味した。4時間以上かかった。やっぱり8名の学生の指導を担当するのは,大変かも。しかし,救いは,皆,しっかり考えて,文献をまとめたり,計画を立てたりしてくれることだ。この頑張りを続けてくれるならば,なんとかなるか--。

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2009.04.17

早くも研究授業を実施-しかも1年生も(三次市立三和小学校)

P1080637 本日,三次市立三和小学校の授業研究会に参加した。4月17日に授業研究を実施できる,しかも3年生とともに,入学して10日ほどしか経っていない1年生のクラスでもそれができるのには,理由がある。三和小学校の教師たちは,完成された,模範的な授業を見せることをねらいとしていないからだ。同校の教師たちは,ICT活用によって思考力・表現力の育成を図ることを研究のテーマに据えている。授業研究は,そのためのアイデアを同僚間で出し合い,共有し合う舞台であり,それゆえ,研究授業はそれを促すための材料であると考えているからだ。そう考えるならば,研究授業を実施する時期やクラスの制限は少なくなる。
 これから1年,この学校の教師たちは,こうした機会を数多く持つであろう。そして,授業づくりのアイデアを豊かにしていくに違いあるまい。

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2009.04.16

委員長はつらいよ

 本日,某市教育委員会のある委員会(具体的には書けない--と言うと,分かる方にはその内容を分かってもらえるはずだ)に出席した。一昨年から,その委員会のメンバーになっているのだが,あろうことか,今年から,委員長を拝命することになった。今までは,この難しい会議を取り仕切る必要はなかったのだが,今度から,自由にコメントするだけでは許されなくなった。たんなるメンバーに比べて,議長になると,3倍?,5倍?くらい,疲れる。委員長はつらいよ--。

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2009.04.15

「『学ぶ教師』を育てる学校長のアクション」

 全国中学校長会という組織が,毎月,『中学校』という雑誌を刊行している。その第667号(特集:学校経営の新たな視点)に,拙稿「『学ぶ教師』を育てる学校長のアクション」が掲載された。この小論では,教師にとっての「学び」の必要性を再確認した後,それを促すために学校長に期待されるアクションについて,2つの側面から論じている。1つは,学校長自らの示唆や助言であり,もう1つは研究主任等のミドルリーダーの支援である。
 本ブログにアップするので,興味のある方はお読みいただき,感想などをお寄せいただきたい。「kihara090415.pdf」をダウンロード

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2009.04.14

我が実践学校教育専攻における講義の特長

 本日は,大学院の講義「教師発達学」の今年度のスタートの日であった。教職ファシリィテーターコースのコース必修科目であるが,他のコース生も含めて,20名以上が受講することとなった。
 本日はオリエンテーションとして,講義の概要(目標,内容・活動,を説明しつつ,自らの授業力量形成史を受講者に振り返ってもらった。例年そうであるが,我が大学院で学ぶ教師たちの属性(校種,年齢,教職経験,地域等)は,多様性に富んでいる。だから,例えば,本日,「教師の授業力量の中で,特に重要なものは?」とたずねてみると,様々な考えが示される。受講者は,自分では当然視していたことがそうではないことを知って,驚いている。それが,授業づくりや授業力量の形成に関する新しいアイデアの源泉となる。こうした点も,我が実践学校教育専攻における講義の特長の1つである。

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2009.04.13

田中博之著『子どもの総合学力を育てる-学力調査を活かした授業づくりと学校経営』(ミネルヴァ書房,2009年)

 田中博之著『子どもの総合学力を育てる-学力調査を活かした授業づくりと学校経営』(ミネルヴァ書房,2009年)が刊行された。この本は,「総合学力」や「総合教育力」の概念を提案し,それに基づく授業づくりを論じたものだ。私も参画している,総合学力研究会のここ数年の取り組み,とりわけ,学力調査を学校改善のPDCAサイクルに位置づけるアクションがていねいに解説されている。
 また,外国の教育の動向に詳しい田中氏らしい,諸外国の学力向上の営みのレポートも,多くの読者の参考になろう。
 なお,現在,私が原稿執筆に追われている著書は,田中氏の著書を第1巻とする,シリーズ「21世紀型学力を育てる学びの創造」の続編である。

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2009.04.12

教師のサークル等における自主的な活動

 我が国の教師たちは,行政研修,校内研修に加えて,自主的にサークルを構成し,そこでも力量形成のための営みを繰り広げている。その姿は,世界に類を見ないものである。
 私も,現在,毎月1回,なにわ放送教育研究会という放送教育実践に関する集いに参加している。そのメンバーの一人が学校の事情で参加が難しいというコメントを私に投げかけてくれた。もとより,自主的な活動であるから,私などがそれに異論を呈するものではない。ただ,彼には,学級や学校が大変な時だからこそ,校外の同志と研究的に交わることが大切なのではないか,毎月出られなくても(例えば長期休業期間中のものだけでも)参加したり,あるいはオンラインでのコミュニケーションを繰り広げるだけでもよいのではないかと個人的な想いを伝えておいた。
 確かに学校現場は忙しい。校務以外のことに時間を費やすのは,不可能に等しいのかもしれぬ。しかし,私は,それでもなお,サークル等における自主的な研究活動への参加・参画が,教師の力量形成に資するものになると信じて疑わない(校務のために,部分的なものになったとしても)。それが,我が国の教師たちが築いてきた伝統であり,文化であるから。
 彼(女)が,なにわ放研の集いに再び姿を見せ,放送教育の授業づくりについて語ってくれる日を楽しみに待っている。

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2009.04.11

国語や算数の授業に学校放送番組は必要か

 昨日,渋谷のNHKで,「2011年度以降の学校放送番組とデジタルコンテンツのあり方に関する調査研究」のワーキンググループミーティングを催した。このプロジェクトは,教師のニーズをアンケートやインタビューで把握したり,海外の取り組みと比較検討したりして,2011年以降のNHKの学校向けサービスの全体像や具体的な番組・デジタル教材のあり方を明らかにするものである。
 2011年度以降の学校教育向けサービスの全体像,番組編成,そしてNHKデジタル教材の特徴について,協議した。その中で,国語や算数の学校放送番組は必要か,必要だとしてどのような内容・構成にすべきかについて意見を交換したが,共通理解には至らなかった。新教育課程では,この2教科の授業時間数はとても多い。だから,それらの教科の授業で用いる学校放送番組がおそらく必要ではあるが,社会科や理科と違って,映像教材,放送教材のメリットを強調しにくい,換言すれば教科書教材の壁を越えにくいというディレンマが,この問題を考える際に,常に登場してくる。しかしながら,あと数ヶ月のうちには,とりあえずの提言にまとめていかねばならない。これについて,実践家の読者は,どのようにお考えになるだろうか。

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2009.04.10

『「活用力」を育てる授業の考え方と実践』(図書文化,2008年)

 安彦忠彦編『「活用力」を育てる授業の考え方と実践』(図書文化,2008年)を読んだ。研究者や実践家が,「活用力」を育てる授業について,その背景にある理論,それを体現した授業を報告している。例えば「第1章 活用力とはなにか」では,7名の研究者や教育行政関係者が,それぞれの立場から「活用力」を育成する意義やその留意点を論じている。私も,このテーマに関する執筆に従事することになっているので,その内容が参考になったし,自分の主張のオリジナルな点が見いだせもした。

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2009.04.09

『「教えて考えさせる授業」を創る』(図書文化,2008年)

 市川伸一著『「教えて考えさせる授業」を創る』(図書文化,2008年)を読んだ。市川氏が提案する,「教えて考えさせる授業」の考え方がよく整理されている,読みやすい著書だ。教えて考えさせる授業の核(の1つ)たる,「理解深化課題」のレパートリーが参考になろう(私は,それをさらに広げたいと思っているが)。

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2009.04.08

今年も,実践学校教育専攻に新入生

 本日は,我が大学院(大阪教育大学・大学院教育学研究科・実践学校教育専攻)の院生に対する,ガイダンスの日であった。新入生に対して,カリキュラム,3つのコースの構造,必修科目の内容等が説明された。私も,自分が担当するコース(教職ファシリィテーターコース)の概要を解説した。
 新入生の多くは現在社会人として学校現場等に勤務している。それゆえ,様々な問題意識や研究的関心を抱いている。それに応えるべく,我々教員側も,その指導が充実するように努力せねばなるまい。

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2009.04.07

『学力を伸ばす「効果のある学校」への試み Action Plan & My Plan』

 本日,大阪市教育センターのスタッフと大阪市立学校園の学力向上を支援する事業等について意見を交換した
。その際に,大阪市教育委員会と大阪市教育センターが協力して作成したリーフレット『学力を伸ばす「効果のある学校」への試み Action Plan & My Plan』を見せてもらった。
 そこには,大阪市内の学校で,就学援助率が高いにも関わらず,全国学力・学習状況調査において平均正答率が高い学校(いわゆる「効果のある学校」)の授業づくりの特徴が載っていた。それは,以下の8つであるという。
1)学ぶ姿勢や学び方に秩序をつくりだしている
2)基礎学力の定着をめざし,授業を工夫している
3)放課後等の時間に基礎学力の定着の取組みがある
4)表現力を伸ばす場を積極的に作っている
5)子どもの主体的な活動を重視している
6)地域や保護者等の力を活用している
7)ていねいな指導をねばり強く継続している
8)教職員のチームワークを重視している
 例えば,4)であれば,「授業での発表,話し合い活動」「質の高い演劇や音楽発表会」「学校外の作品コンクールへの出展」「全校で行う誕生日会で自分の夢を語る」等の取り組みを確認できたそうだ。
 私たち,学力の多元性,それを育成するためのアプローチの多様性を訴えてきたが,その妥当性を大阪市立の小中学校の営みにも確認できるように思う。

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2009.04.06

『小学校の社会科を読み解く』(日本文教出版,2009年)

 本日,加藤幸次・明石要一編『小学校の社会科を読み解く』(日本文教出版,2009年)が自宅に届いた。この本は,平成20年告示の新学習指導要領・小学校社会科の特徴を解説し,それに応じた実践を提案するものだ。私も,「新しい社会科の授業における情報教育の展開」を寄稿している。
 拙稿は別にして,識者の論説(第1部)は勉強になるし,実践者たちの「予想される授業」(第2部)は参考になる。さらに,第3部の学習指導要領の新旧比較は,そのポイントがとても分かりやすい。
 このブログの読者にも,本書をぜひお読みいただきたいと思う。

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2009.04.05

プロジェクトが終わっても仲間に会いたいと思うのならば(第8回虎の穴OB会)

 約4ヶ月後の8月1,2日,北海道・札幌で,放送教育指導者養成講座(虎の穴)のOB会が催される予定である。
これは,2001年度~2005年度に,NHKが企画・運営し,私も参画していた,放送教育のリーダー養成を目的とするe-Learningプログラムを修了した教師たちの集いである(5年間,毎年,全国から中堅教師10名程度に参集してもらった)。今年で8回目のOB会となる。
 プロジェクトの取り組みを継続・発展させることは,難しい。時間が経てば,その熱が冷めるのは,致し方ない。上記の講座は,プロジェクトが終わって8年ほど過ぎても,当時のプロジェクトのメンバーと交流したいという教師がいる。それは,プロジェクトの成果を如実に物語っている。それを再度実感するために,私も,この夏,北海道に行こうと思う。

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2009.04.04

ビジョンやデザインがしっかりしている研究発表会(三次市立三和小学校)

 本日,三次市立三和小学校の教諭に会った。昨年度のまとめとともに,今年度の研究計画について意見を交換した。昨年度に続き,今年度も,同校は,研究発表会を3度開催する。それらは,趣の異なるものだ。まず6月19日は,国語と算数の授業を3つ程度公開し,参加者から授業についてのコメントを集めることを意図する。つまり,授業研究に時間をかける。それを,同校の教師たちは,秋の研究発表会のプレ大会として位置づける。
 11月27日には,全員が授業を公開するとともに,分科会,全体会等もプログラムに盛り込み,授業だけでなく,研究全体の外部評価を試みることになる。そして,1月22日には,三次市教育委員会と連携して,三次市内の小学校の研究担当者とともに,1年間の実践研究を振り返り,次年度の取り組みを素描する予定である。この日も,授業公開は実施するが,それに関する協議は短めにして,むしろ,それを含む学校研究の全体像が検討対象となるわけだ。
 授業の参観をオープンにしている学校が増えてきている。三和小学校の場合も,これら以外の日程にて企画・運営される授業研究会があり,それらにも外部からの参加は可能である。しかし,上記のものは,いずれもマネージメントが効いている。ただ授業を公開するだけでなく,それをもとに,いかなる協議を繰り広げるのか,それは開催する学校側にどのようなメリットがあるのか,また参加者は何を得られるのか等について,ビジョンがあり,そのための活動がデザインされ,それを体現する道具や環境が用意されているのだ。
 読者は,この1年間に,どのような研究発表会に参加なさる予定だろうか。参加者数を誇っているが,研究発表会のプログラム等が練られていない学校に行くのはやめた方がよい。それならば,ビジョンやデザインがしっかりしている研究発表会に参加する方がずっと得るものが大きかろう。

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2009.04.03

教師を目指すかどうかに悩んで

 本日,ある学生が研究室を訪れた。その学生は,教師を目指すかどうか,悩んでいるらしい。教育実習に行って,子どもに接する自信が無くなったそうだ。教育実習に行くと教職へのあこがれが強くなるのが通例であるが,こういうケースもあるのだ--。私は,決定を急ぐ必要はないこと(いくつかの進路を並行して考えてもよいこと),例えば教育関係のNPOや教育産業等,教職以外にも教育に関わる生業があること等を伝えた。自分の進路を決めるのは難しいことではあるが,しかし,それは様々な可能性があることも意味している。そのように,前向きに考えてもらいたい。

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2009.04.02

プロジェクトの継続・発展(全放連の人間力育成プロジェクト)

 本日,全国放送教育研究会連盟(全放連)の「放送学習による人間力育成プロジェクト」の本年度第1回研究会が催された。このプロジェクトは,全放連がプロジェクトチームを組んで取り組む,研究活動だ。各人が,人間力の育成を図る授業をデザインし,実施し,そして評価する。また,授業研究や成果報告会を企画・運営するし,知見をリーフレットや報告書にまとめ,発信する。
 それらの活動は,前身の「放送学習による学力向上プロジェクト」から開拓してきた研究活動である。定着もしているし,成果もきちんとあげている。けれども,プロジェクトは,生きものである。同じことを繰り返しているだけでは,生命力を失っていく。
 積み上げてきたことを大事にしながら,そこに新しい息吹を加えるために,どのような活動スケジュールを組むべきか。プロジェクトを継続・発展させるためのデザインを構想するのは,とても難しい。

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2009.04.01

新年度のスタート

 本日は,平成21年度のスタートだ。卒業生から,「○○年生の担任になりました。」「期待と不安で胸がいっぱいです。」といった便りも届いた。
 私は,異動はない。大阪教育大学で,この1年もがんばりたい。今年度は,学力向上,特に,「活用力の育成」に関する著書を出版する予定である。これが,大きな仕事だ。実は,あと数十日で原稿を仕上げなければならない。最近は,教師の力量形成に関する著書を執筆ことが多かったが,久しぶりに,授業論,カリキュラム論に関する著作に取り組むことになる。もう少し経ったら,これに関する詳細情報をお伝えする。

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