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2009.05.31

校内研修に関する調査(国立教育政策研究所の研究プロジェクト)

 国立教育政策研究所を訪れ,同研究所のプロジェクト「教員の質の向上に関する調査研究」に会議に参加した。このプロジェクトでは,教師の授業力量を高めるための学びの全容を把握することがねらいである。行政研修や校内研修,自己研修等と教師の授業力量形成の接点をさぐるための調査をいくつか実施する。
 今日は,私は,いくつかの学校を対象として実施する,校内研修の量や質の実態を把握するための質問項目や回答選択肢の原案について協議するチームのまとめ役をおおせつかった。授業をめぐる「語りと探究のコミュニティ」が形成され,発展するための授業研究のあり方(例えば1学期から実施する),それを充実させるための「装置」(例えば研究紀要の作成等)の重要性について,いくつか意見を述べた。

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2009.05.30

道徳番組の独自性,活用の可能性

 先日,ある小学校の第2学年のクラスで,NHK学校放送番組『ざわざわ森のがんこちゃん」のある回を活用した授業を見学した。その回は,ちょっとした言葉遣いで友人関係が危うくなったり,それが原因でウソをつかなければならなくなったりするというストーリーであった。授業者は,番組テキスト等を読解し,「あいさつや言葉遣いの大切さ」を子どもたちに考えさせようとしていた。それは,ある意味では正しい。
 けれども,番組のストーリーは,価値項目としては,「あいさつや言葉遣い」に留まらない。友情,助け合いや協力,誠実等に及ぶ。だから,それを包括的に扱えることが,学校放送番組の道徳教材としての独自性であると思う。
 また,そうしたストーリーのいかなる部分に,子どもたちが反応するのか(しないのか)は,実際に視聴させてみないと分からない。それゆえ,教師は,子どもたちが視聴後に示す反応を踏まえて,授業展開を柔軟に変更して,上述したような多面的(多元的)な価値構造に迫れる。だからこそ,動的な,緊張感にあふれた授業を創造できる。それが,道徳番組の活用の可能性であろう。

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2009.05.29

授業研究や研修の成果を次の実践に生かす

 4月に続いて,広島市立白島小学校を訪問し,同校の校内研修会に協力した。同校は,「共に学び合う子どもを育てる-放送・機器の活用を通して-」という研修主題の下,授業研究を重ね,その成果を,研究発表会を開催してオープンにしている学校である。11月13日(金)には,中国地方放送教育研究大会(広島大会)の会場校として,6つの授業を公開する予定であるし,その他にも,英語活動やICT活用等の研究課題にも取り組んでいる。
P1080909 本日は,4年生理科の研究授業が実施された。そのプランには,先月の研修で協議し,共通理解・共有した,授業づくりのアイデアが採用されていた。さらに,ある教師は,先月私が紹介した「楽しく,やりがいのある家庭学習」にチャレンジしていると教えてくれた。つまり,この学校の教師たちは,授業研究や研修の成果をその場限りのものにしないで,ちゃんと次の実践に生かしているのだ。とても,大切なことであるが,少なからずの学校において,せっかくの授業研究(研修)の成果が一時のものに終わっている。読者の学校ではどうであろうか--。

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2009.05.28

学校や教育委員会からのリクエストが増えると--

 ここ数日,学校や教育委員会からのメールや電話が特に増えている。夏休み等の教員研修の協力要請に関するものが多い。数が増えると,不思議なものも登場してくる。例えば,その日程について選択肢を挙げてくださったので希望を伝えたら,翌日,やっぱりその日はダメですと電話がかかってくる。「17時30分に電話して相談します」と言われて電話の前でいい子にしていたら,結局待ちぼうけをくらわされる(後で連絡があったが,「会議が長引いたので」と軽くあしらわれた)。メールでの依頼に対して,日程が合わない場合に,その旨をお伝えし,「またの機会に協力させていただきますので,お許しください。」というメッセージを重ねた返信メールを送っても,なんのリアクションもない(届いたかどうかも,分からない)ことは,珍しいことではない。残念ながら。
 いつぞやも似たような記事を書いたが,こういうコミュニケーションが増えてくると,元気が出ない。学校ならば子どもに対して,教育委員会ならば教員に対して,彼らは,同じような態度で接しているのだろうか--。

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2009.05.27

休校措置が解除されたが--

 例のインフルエンザ騒動による休校措置が解除され,本学でも,今週から,講義が再開されている。なんとなく,疲れる。ゴールデンウィークと休校措置で講義の実施が飛び飛びになると,復習に時間がかかるし,おそらく私も学生も記憶が薄れ,どうもリズムがつかめない感じだ。
 学校現場の対応も,様々である。今日は,某市の小学校教育研究会の総会で基調講演をするはずだったが,数日前に中止との知らせを受けた。そうかと思うと,休校期間中に,急に校内研修を催す学校が登場し,招聘されたりもした。
 いずれにしても,インフルエンザのせいで,今なお,落ち着かない。もう,あんな騒動が起こりませんように--。

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2009.05.26

研究の熱心さに関する,地域による違いなど

 昨日は,鳥取県教育センターで開催された「新任研究主任研修」に協力した。小中学校等の60人ほどの研究主任等が1日かけて,自校の取り組みの省察,私の講演や他の参加者の語りを通じたアイデアの吸収,そして,6月以降に着手するアクション(研究の活性化に向けて)の同定等に従事していた。とても熱心である。何度行っても,その姿勢に頭が下がる。
 どこの地域もそうであるとよいのだが,研究の熱心さに関しては,地域による違いは大きい。某市の同様の研修会では,そもそも,まず開始時刻に参加者がそろわない。来ても,メモをとらない人,眠たそうな人もいる。質問を投げかけても,「分からない」という答えが返ってきたりする。
 もちろん,個人差もあろう。がしかし,地域差にしても,個人差にしても,明らかなことがある。それは,研究リーダー(たち)の学びの姿勢は,彼らが所属している学校や地域に行ってみると,その学校や地域の教師たちの学びの様子と呼応していることだ--それも,怖いほど。

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研究会そのもののデザインが重要

 昨日の続きである。授業研究会の企画・運営上の課題「1つの授業をたくさんの参観者が見ることになって,教室で身動きがとれない状態」にどのように対処すればよいか。読者から,「付箋を使って気づきを記してもらう」という解答が届いた。しかし,授業を見ることさえできないほどたくさん参観者がいる場合,付箋に書くための情報が得られないだろう。ビデオで授業の様子を撮影して,教室外で視聴してもらうというアイデアも届いたが,そこから得られる情報も撮影者に依存しているので,やはり限界がある。
 では,どうしたら,よいのか。私は,そのような状況を回避するしかないと思うのである。つまり,研究会そのもののデザインを再考せざるをえないのだ。例えば,100人の参観者があるのなら,3クラスで研究授業を実施してもらう。1クラスしか研究授業を実施できないのであれば参観者を40人までに限定する(そのかわり,年間3回,研究発表会を開催して述べ100人以上に参観してもらう)等々,授業研究を含む研究会そのもののデザインを,研究主任(あるいは教育委員会のスタッフ)がいろいろアイデアを出して検討してみるとよろしかろう。

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2009.05.24

もし研究授業の参観者が多すぎたら

 学校研究の主柱たる,授業研究会の企画・運営。その悩み(工夫すべき点)は数限りないが,先日,ある人から,次のような疑問を投げかけられた。「1つの授業をたくさんの参観者が見ることになって,教室で身動きがとれない状態なのです--」と。附属学校とか著名な学校の研究発表会でも,同様の現象が起きる。さて,どうしたら,よいのか--。もちろん,この現象は,引き続き,事後協議会の参加者が多くなりすぎるという問題も生じさせるだろう。
 読者ならば,どのような解決を図られるだろうか。私見は,明日,述べよう。

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2009.05.23

指導主事は協議会でどのようなコメントを呈するべきか(三次市立三和小学校にて)

 昨日の三次市立三和小学校の授業研究会には,三次市教育委員会のスタッフも参加していた。この方,今年度から,指導主事に就かれたようである。昨年度の三和小学校の研究紀要を読破し,同校の実践史をレビューして,授業研究会に参加しておられた。
 そして,研究授業後の協議会。教員たちの意見交換や報告の後(私のコメントの前)に,この指導主事に,15分の時間が与えられた。感心させられたのは,広島県の教育の施策や実践動向に関する資料を準備し,その内容を指標にして,当日の授業を批評していたことである。これは,私には,できない。教育委員会のスタッフならではの語りである。
 その他のスタッフも含めて,この地域の教育委員会・事務所のスタッフは,とても勉強熱心で,だからこそ,適切なアドバイスを学校に示してくれている。がんばる学校とそれを支える教育委員会の関係は,好感が持てる。

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2009.05.22

授業研究会のデザインの工夫(三次市立三和小学校が持つ,そのレパートリー)

 本日,三次市立三和小学校の授業研究会に参加した。4月17日に続いて,第2回目の授業研究会である。今回は,4年生の算数と5年生の「ことばの学習」の授業が公開され,それを題材とする協議会が催された。
P1080825 この学校の持ち味は,授業づくりの工夫,授業研究会のデザインの工夫,そして,実践研究のPDCAサイクルの工夫と3重に及ぶ。例えば,2番目の授業研究会のデザインの工夫であれば,今日は,授業を見学して気づいたことを,授業ごとに付箋紙に記し,それを短冊に集約する,そして短冊の内容を,国語及び算数部会が前回の部会で設定した研究の視点に照応させ,そのズレを明らかにする。さらに,今後,ズレの解消を図るためにどのようなアクションを起こすかを構想するという,手順が採用された。若き研究リーダーの発案だ。
 三和小学校の授業研究会のデザインは,毎回,小さくあるいは大きく,変えられる。新しいチャレンジが投入される。それは,付箋に授業に関する気づきを記せばそれで協議が成立したものとされている,形式主義の協議会とは,無縁である(筆者は,それを『付箋紙シンドローム』と名付けている)。協議の内容が豊かで,その進行が動的であり,緊張感にあふれている。この三和小学校は,11月27日に研究発表会を催すが,そこでは,そうした授業研究会のデザインの分類やそれぞれの会の手順書などを,研究の成果の一端として,参加者に公開・提供する予定である。
 また,そのためのアプローチとして,6月19日(金)13:00から,プレ公開研究会を催す。そこでも,授業研究会のデザインが工夫され,トライアウトされる。校内研修における授業研究会の改善に興味のある方は,参会すれば,きっと得るものがあるだろう。

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2009.05.21

学力向上のサポートに,大阪市内の学校をめぐる

 本日は,大阪市立の小中学校を連続して訪問した。いずれも,学力向上のサポートのためだ。休校措置になっているにも関わらず,中学校では全教員を対象にして「学力向上に資する授業改善」と題する講演をおこなった。また,小学校では,研究推進リーダーや管理職に対して,学力向上のための授業研究の工夫を説いた。
 大阪市内の小中学校の学力向上の取り組みも熱を帯びてきたと思う。

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2009.05.20

『「研究発表会」開催の手引き』ダウンロードできます

 先日もご紹介した,平成20年度にパナソニック教育財団の支援を受けて作成した,『「研究発表会」開催の手引き』であるが,希望者には,郵便で届けることにしている。既に何名かの方には,郵送で送った。
 同時に,同財団のホームページの該当部分からダウンロードできることになった。こちらから入手なさってもよいだろう。ただ,郵便でお届けする冊子の方が,なんとなく(趣があって?)感じがよいのだが--。

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2009.05.19

「市民向けICT教育環境公開行事」(ICT-Day)に向けてのアプローチ

 本日,茨木市立教育研究所を訪問した。6月6日(土)午前,同研究所が催す「市民向けICT教育環境公開行事」(ICT-Day)で模擬授業を担当なさる方々に,ICT活用や情報教育の枠組みやモデル,実践事例を講じた。彼らは,既に,模擬授業のデザインを構想しており,それを精錬してもらうための話題提供を仰せつかったのである。特に,今回は参加者は保護者や市民なので,そうした人たちが誤解しやすい点,例えば「コンピュータだけじゃなくて,教科書も使って授業をやってもらわないと--」といった,(教科書の拡大提示やデジタル教科書の存在と活用事例等)を知らないがゆえに生じる疑問に応じた,授業デザインを組んでもらいたいと述べた。
 それにしても,模擬授業を土曜日に保護者等を相手に実施するだけでも大変なのに,このような事前の準備や研修に勤しむ先生方に,頭が下がる思いである。どうか,新型インフルエンザ禍に巻き込まれることなく,このICT-Dayが予定通り実施されますように--。

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2009.05.18

突然,休校に

 昨日くらいから,兵庫県や大阪府内の学校が,インフルエンザ関係で休校措置となっている。人ごとだと思っていたら,なんと我が大学も,突然,休校に。これで,授業コマ数確保に頭を痛めることになる。しかし,休校(休講)しなければならない状況なのだろうか--我が研究室はクリーンな空気に満ちているのだが--。

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2009.05.17

公開授業の後に協議会がないなんて--

 『「研究発表会」開催の手引き』についても,もう少し紹介しておきたい。この手引きのⅡ章にて,平成20年度の研究発表会の実践動向を分析した結果を報告している。例えば,公開授業後に催されるべき協議会であるが,それが催されないケースが,なんと30%にのぼる。公開授業の後に協議会がないなんて--。それでよいのか。どうして,そうなるのか。興味のある方は,手引きをお読みいただきたい。

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2009.05.16

『「研究発表会」開催の手引き』

 平成20年度,パナソニック教育財団の支援を受けて,「研究発表会」開催に関するハンドブックを作成した。「はじめに」に記している,このハンドブックの意義や概要は,次のとおりである。

『「研究発表会」開催の手引き』

はじめに-学校における実践研究の振り返りやアイデア収集に向けて-
 「研究発表会の開催は負担だ。」「学校外の人に見せる授業はやっていない。」という声を聞くことがあります。けれども,「研究発表会」開催の意義は,それをどのような営みであると定義するかによって,大きく変わります。研究発表会は,完成された授業や完璧な実践研究を誰かに示すためのイベントではありません。それは,実践研究の振り返りが促される機会(自己評価,相互評価)であり,授業改善のための新たな視座を得られる舞台(外部評価)なのです。 もちろん,そのように,研究発表会が学校における実践研究のいっそうの充実に資するものとなるためには,そのデザインや開催に向けた準備に,工夫が必要です。多くの参加者が集まれば,それでよいわけではありません。授業やカリキュラムに関する実践的なアイデアが豊かに交流され,開催する側も参加する側も得るものが多い研究発表会は,どのようにして成立するのでしょうか。
 この手引きは,その秘訣をまとめた,「ハンドブック」です。Ⅰ章には,研究発表会開催の意義とその検討ポイントがまとめられていますし,Ⅱ章には最近の研究発表会の実践動向やその多様性が記されていますので,それらを確認してください。Ⅲ章には,ある学校の研究発表会の開催事例が,その評価結果とともに,ていねいにレポートされています。研究発表会の可能性と課題をご味読ください。そして,Ⅳ章には,Ⅲ章の事例と同じ学校の教師たちが,研究発表会開催前後にどのような研究活動に従事していたのかが記されています。各学校の研究推進リーダー等にとっては,参考になる部分がたくさんあるでしょう。
 なお,実践研究全般の企画・運営について詳しく学びたい場合には,拙著『教員が磨き合う学校研究』(ぎょうせい,2006年)をご覧ください。また,財団等の支援を受けて編者らが作成・公開している「学校研究推進に関するQ&A」(http://www.pef.or.jp/oyakudachi/index.html#yakudachi_1)にアクセスしてください。
平成21年3月
「手引き」編集責任者:木原俊行(大阪教育大学・教授)

 15日に東京で同財団の平成21年度の実践研究助成の助成式があるが,そこで,助成を受けることになった学校に配布された。8月には,平成19年度の助成校にも,配布される予定である(同財団が催す成果報告会にて)
 私のところにある残部を希望者の方に郵送しようと思う。次の住所に,宛先を記載して200円切手を貼った封筒(A4サイズの小冊子が入るサイズ)を送ってもらえたら,数日以内に,お届けしよう。
 〒543-0054 大阪市天王寺区南河堀町4-88 大阪教育大学・教育学部・天王寺キャンパス 木原俊行

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2009.05.15

パナソニック教育財団の実践研究助成の贈呈式にて

 本日,東京の芝パークホテルにて,パナソニック教育財団の平成21年度実践研究助成の贈呈式にが催された。審査にあたった委員の一人として,各学校(グループ)に,助成を生かして,実践研究を充実させてもらいたいと思う。
 懇親会にて,ある学校の教師から,申請書を作成するにあたって,私が作成し,財団のホームページにアップロードされている,学校研究の企画・運営に関する手引きやQ&A集を十二分に活用したと聞いた。とても,うれしかった。

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2009.05.14

附属の研究会の分科会で助言者を務める

 本日,本学の附属平野小中学校の教師たちが研究室を訪問してくれた。私に,同校の「総合的な学習の時間」に関する研究の助言を求めてのことである。これまで,相当の数の附属の実践研究にたずさわってきた。いくつかの附属の公開研究発表会では,全体会における講演を仰せつかった。
 にも関わらず,分科会の助言者の役割を果たす機会はなかった。教科別の分科会では,私のような,教育方法一般の研究者は出る幕がないからだ。接点は「総合的な学習の時間」分科会だけだが,これは,長く田中博之氏が担当なさってきた。同氏の転出により,私がその任にあたることになった。11月6日(金)に研究会が催され,そこで,私も,「助言者」デビューを果たすことになろう。もちろん,その前にも,授業研究会等で関わりをもつ。例えば,6月下旬の授業研究会などにも参加する。

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2009.05.13

茨木市教育研究所の「市民向けICT教育環境公開行事」(ICT-Day)

 6月6日(土)午前,茨木市教育研究所が催す「市民向けICT教育環境公開行事」(ICT-Day)に参加することになった。この取り組みは,市民や保護者に,学校のICT環境,それを活用した授業の様子を見てもらい,その意義を理解してもらうための集いである。
 当日,まず,模擬授業がおこなわれる。保護者や市民に児童・生徒になってもらい,実際に,ICT活用,情報教育を体験してもらうのである。校種や学年,教科領域,活用するメディア等のレパートリーがすごい。15種類もの授業が公開される。そして,私が「ICT活用と学力向上」というタイトルで講演を担当する。聞き手は,教員ではなく,保護者や市民である。いつもとはオーディエンスが違うシチュエーションに多少の戸惑いはあるが,がんばってみよう。

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2009.05.12

学校評価の主柱は何か

 本日,あるミーティングで,学校評価に関することが話題となった。その主柱は何か。ある方は,それを児童・生徒や保護者に対するアンケートの結果を教員が共同で解釈する過程であると言う。ある方は,学校評価のための項目・指標を教職員が共同で設定する場面であると述べた。
 私は,自己評価書の作成,とりわけ,総括評価書の作成における「次年度の改善点」欄の記入であると思う。もちろん,上述したような,スタッフ間のコミュニケーションや共同の重要性には,大いに賛成したい。その上で,学校評価が学校改革に資するものになってほしいがゆえに,次なる教育活動の計画策定を最も重視したいのである。学校評価に関わる,あらゆる作業や場面は,そのために必要不可欠な「助走」であると思う。

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2009.05.11

『校内研修の進め方-算数科の授業力向上を目指して-』(赤井利行・荒田優子著,東洋館出版社)

 本日,書店で,『校内研修の進め方-算数科の授業力向上を目指して-』(赤井利行・荒田優子著,東洋館出版社)を入手した。この本で,著者等は,算数の授業づくりを題材にしながら,学校研究の進め方を解説している。最近,私も,そのあり方を手引きにまとめた「研究発表会」実施のポイント等も具体的に述べられている。研究通信のすぐれた事例などは,拙著『教師が磨き合う「学校研究」』にも載せられていない。実践的なアイデアに満ちた書である。
 全国の学校の研究主任にとって,有用な図書であろう(ただ,残念ながら,学校研究に関する理論やモデルの提唱は少ない)。

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2009.05.10

我が国の教師たちにとって「語りと探究」はどのような営みとして位置づいているか

 日曜日だけれども,我が研究室で,2月に1回開催している,カリキュラム研究会を開催した。先日も別の記事で紹介した著書,Wiles J.(2009)Leading Curriculum Development. Corwin Press.CA.の第2~4章の輪読だ。その内容を確認しながら,カリキュラム・リーダシップの本質である「語りと探究」が,我が国の今日の教師たちにとって,どのような営みとして位置づくかについて,議論を繰り広げた。それは授業研究の基本精神とも言えるので,教師が手慣れたものであると考えうるか,それとも,語りや探究のパートナーが地域住民や保護者に広がっているので,彼らは,それをむしろ不慣れな,それゆえ背を向けたくなるものと考えるのか--。経験的には,学校や地域によって,この概念のとらえ方に違いがあり,その格差が大きくなっているという状況にあるように思えるが--。

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2009.05.09

活用型学習を支える学校放送番組

 本日,渋谷のNHKで,「2011年度以降の学校放送番組とデジタルコンテンツのあり方に関する調査研究」の第10回委員会を催した。このプロジェクトは,教師のニーズをアンケートやインタビューで把握したり,海外の取り組みと比較検討したりして,2011年以降のNHKの学校向けサービスの全体像や具体的な番組・デジタル教材のあり方を明らかにするものである。
 先日来,2011年度以降の学校教育向けサービスの全体像を確認するとともに,番組編成,オンライン(NHKデジタル教材)のサービス内容について,協議している。今回の会議で議論になったのは,教科番組のコンセプトである。例えば,小学校の算数番組は,どのような特徴を有しているべきか。6名の委員が共通理解したのは,「活用型学習を支える」「探究型学習に誘う」という機能を有していることであった。また,そのために「子どもの意表を突く課題を提示する」という場面の必要性であった。

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2009.05.08

カリキュラム・リーダーの「説得力」

 本日も,,Wiles J.(2009)Leading Curriculum Development. Corwin Press.CA.の第2章「カリキュラム・リーダシップの基本課題」を読み続けた。カリキュラム・リーダシップの基本課題として,著者は,1)目標の同定,2)(成功に資する)共同,3)方策の提示,4)期待される目標に到達するためのコーディネーション活動を掲げている。
 そして,それらを遂行するためのアクションをリストアップしているのであるが,コミュニケーションに関わるものが少なくないと感じた。それらは,「(保護者や地域住民と意思疎通を図るために)教育用語の使用を避ける」「孤立を克服し,共通理解に至るために)グループワークを駆使する」等である。
 この章の提言の1つに,「カリキュラム・リーダーには,説得力が必要だ」という叙述があったが,そのような「説得力」は,どのような要素や側面で確認されるだろうかと考えた。まず,当該教師が,子どもたちに豊かな学びを提供し,確かな学力を育んでいるという事実が必要とされよう。実践を語る際の視点の広さや修辞の巧みさも,説得力に含まれよう。カリキュラム研究に長けているとか,多種多様な実践事例を見聞きしているといった,知識の量も説得力のパーツになろう。
 読者は,同僚・子ども・保護者等を新たな実践に誘う際に,何を道具や武器にして彼らを説得しているだろうか。

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2009.05.07

期待される10の学習成果

 本日,10日に開催される,カリキュラム研究会での発表に備えて,Wiles J.(2009)Leading Curriculum Development. Corwin Press.CA.の第2章「カリキュラム・リーダシップの基本課題」を読み,レジュメを作成した。
 そこに,カリキュラムの遂行によって会得が期待される,10の学習成果が記されていた。要するに,学校で学ぶことによって子どもたちが身につけることが期待される能力・資質だ。次のようなものであった。
1.自尊感情
2.他者理解
3.基本的なスキル
4.持続的な学習能力
5.社会的責任
6.精神的肉体的健康
7.創造性
8.経済的な営みへの参画
9.世界を理解するために蓄積した知識を活用する
10.変化への対応
 読者は,このリストに賛同するであろうか。賛同するとして,もし順位を付けるとしたら,何を上位に据えるだろうか。あるいは,足らないとしたら,それは何であろうか。

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2009.05.06

故郷で教師になる-過去の自分との対話-

 6日の13時過ぎから,NHK総合チャンネルで,「拝啓15の君 離島中学校青春物語」という番組を放送していた。原稿執筆が滞る中ではあったが,全部見てしまった。長崎県の離島の中学校3年生が合唱コンクールの金賞を目指してがんばる姿を多面的に,また継続的に描いていて,共感できた。
 それを指導していた女性教師は,その学校(地域?)の出身。島外の学校を卒業し,自ら望んで故郷に戻ってきた。「島の外で得たものを子どもたちに伝えたい--」と語る彼女は,すがすがしく,また力強かった。
 そうなのだ。教職は,子どもたちとの関わりを通じて,過去の自分と対話し,それと今の自分を共鳴させることができる,自分探しを自然におこなえる仕事なのだ(それは,過去の自分に縛られて子どもを指導することを意味するわけではない)。それもまた,教職の隠れた,魅力である。

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2009.05.05

夜間学部で学ぶ-その辛さと豊かさ-

 移動中の読書で,夜間学部で学ぶ社会人大学生を主人公に据えた小説を読んだ。その辛さと豊かさがリアルに描かれており,そうした学生を指導しているので,共感できた。
 時間がない,職場の理解が十分でない等,辛さは,理解しやすい。豊かさはあるのかと危惧される向きもあろう。けれども,その小説では,条件が整わない中で必死にがんばるからこそ得られるものがある,それは卒業した後に生かされると語られていた。そのとおりであると思う。我が学生にも,それを信じて,教職に就くための準備に勤しんでもらいたい。

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2009.05.04

研究発表会のデザイン-その多様性-

 新年度になってから,はや一ヶ月が過ぎようとしている。本年度も学校における実践研究の推進に関わっている。既に,いくつかの学校を訪問し,授業も見学させていただいたし,事後検討会やワークショップ等にも参加した。
 6月くらいから,研究発表会にも参加することになる。昨年度,研究発表会の開催時期,プログラム,公開授業やそれに基づく協議の数や内容,全体会の構成等について,調査を実施した(パナソニック教育財団の支援)。その多様性が増していると感じた。例えば,他校の教師のデモンストレーション授業を実施する,パネルディスカッションに卒業生を登場させる等,研究発表会の内容等は広がりを見せている。そのデザインは,研究テーマの設定,年間スケジュールの作成,授業研究会の企画・運営等と同じくらい,検討すべき事項が多い。これもまた,研究主任の手腕が問われるところであろう。

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2009.05.03

2011年度以降のNHK学校放送番組の編成に関する提案

 本日,渋谷のNHKで,「2011年度以降の学校放送番組とデジタルコンテンツのあり方に関する調査研究」のワーキンググループミーティングが催され,私も参加した。
 本日は,番組編成とオンライン(NHKデジタル教材)のサービス内容について,協議した。小学校については,用具系教科の番組数を増やす,健康をテーマとするクロスカリキュラ番組を提供するといった点が特徴になりそうだ。また,中学校については,5分間番組を制作して番組のレパートリー=対応する教科の数を増やすことを提案することになりそうである。

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2009.05.01

教員養成段階で学生にどのような能力・資質を育むか

 本日,本学の柏原キャンパスに赴き,学長が主催なさっている「教員養成カリキュラム勉強会」に出席した。これは,本学の教員養成カリキュラムの現状や将来像について,自由に意見を述べ会う機会だ。
 教職の関する科目と教科に関する科目,理論と実践,必修と選択,レギュラーとエキストラ等々,教員養成カリキュラムは,対を成す概念を統合できるように,その骨組みを考えざるをえないという難しさがある。免許法の枠組みを遵守しつつ,大学としてのオリジナリティを呈さねばならないというのも,苦しいところだ。。
 私は,世界の趨勢を踏まえて,専門職としての力量=教師に求められる信念(態度等)・知識・スキルのうち,信念の育成を中核に据えるべきだと述べた。また,教師の力量に関するスタンダードを鏡として自らの能力・資質を省察するための機会や道具の提供,それを促すファシリィテーターやモデレーターの準備が,その条件整備になると指摘した。換言すれば,教育(実践)に関する「語りと探究」の進展を教員養成カリキュラムの範囲と配列に据えるべきであろう。
 それにしても,柏原キャンパスの自然の美しいこと。私の拠点がある天王寺キャンパスとは大きく異なる。まぶしい緑,すがすがしい鳥のさえずりに,気分が晴れる。ただし,その分,街から遠いのであるが--。

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