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2010.03.31

異動の季節に

 明日から新年度である。新たな職場や部署に通うことになる人も少なくあるまい。今日は教育委員会から学校に戻る方にお会いしたが,うれしそうであった。一方,先日は,教育センターから教育委員会事務局に移る方とお話をしたが,あまりそれを望んでないようだった。この季節,異動に伴う悲喜交々に遭遇する。
 ずいぶん前にも本ブログにそれに関する記事を投稿したが,異動は,当事者に,新しい環境に慣れるための時間や努力を要請する。しかし,それが,その人の新しい可能性を広げてくれる。新たな取り組みは,やがて,もともとやっていたこと,やりたかったことにつながる。不本意な異動であっても,そのように考えて新しい仕事に取り組めば,得るものが大きくなる。
 ひるがえって,我々大学人は,民間や行政に比べると,自分の意思に逆らって異動を命じられることは少ない。それだけに,惰性やマンネリ,保守的傾向に陥りがちである。だから,異動がなくても,何事にも新たな気持ちで取り組むように努めねばなるまい。

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2010.03.30

放送教育の実践史を語る(第86回なにわ放研)

P1120971 本日,我が大学の天王寺キャンパスで,第86回なにわ放送教育研究会が催された。今回は,高槻市立阿武山小学校の浅香教諭が,自身の14年に及ぶ放送教育実践史を整理し,その様子を映像で紹介してくれた。この浅香デーは,彼の旅立ちを記念するものだ。浅香教諭は,4月からロンドン日本人学校に勤務することとなった。彼は,「なにわ放研」創始者の一人であるが,残念ながら来月から(対面形式では)研究会に参加することがかなわない。
 それにしても,彼の実践史を聞いて,皆,その努力に感心させられた。毎年,いくつかの番組利用にチャレンジしている。それだけでなくて,番組検討委員や全国大会での発表にもトライしている。さらに,所属校の同僚が番組やデジタル教材を利用するのをサポートしている。その年表を見せられて,私も,彼の取り組みの厚み,そして,それが彼の教師としての成長の軌跡を描いていることに納得させられた。
 彼の地において,浅香教諭の実践がさらに発展することを祈念している。

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2010.03.29

複数の学校の合同研修

 カナダ・オンタリオのGrand Erie地区の教員研修のユニークな取り組みは,TLCP(Teaching and Learning Critical Pathway)と呼ばれている,学校をまたいだ合同研修である。年間に数回,複数の学校の教師たちが(センターや学校に)集い,学校改善について意見を交換するそうだ。いわば,学校間のピアアセスメントだ。各学校が策定する学校改善プランの妥当性やさらなる可能性等について,幅広くアイデアを得るための戦略であると思う。学力調査がプレッシャーとなり,学校間の競争が煽られる危険性がある中,この取り組みは,各学校が置かれた条件の個別性,それを踏まえた,学校を基盤とする学力向上アプローチの実現に資すると思う。我が国では,小中連携の一環として中学校区の小中学校が合同で研修するケースが増えているが,このTLCPは,むしろ,より専門化しているので(例えば低中高学年別に企画・運営されるので),授業改善についてより具体的に検討することをねらっているものだろう。
 なお,TLCPとは別に,校長会でも,それについて相互にアドバイスを送ると聞いた。これは,英国の学校を訪問した際にも耳にした営みである。

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2010.03.28

「大阪のお父さん」

 先日卒業したゼミ生から,卒業の感想を綴ったメールが届いた。ゼミ指導のお礼などが記されていたが,そこに,「木原先生のことを『大阪のお父さん』のように思っていました」という一文が--。「お兄さん」ではなく,「お父さん」か--。そういう感想を抱かれる年齢差になったことをあらためて実感した。あれ,でも,この学生は,編入学生なので,確か20歳代後半のはず。そうすると,10代でパパになる?
 ちなみに,大学院のゼミ生は,全員現職教員であり,彼らの平均年齢は40歳を超えている。

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毎朝,カナダ国歌を聞いて

 23~25日に,カナダ・トロント郊外の学校に出かけたが,毎朝,カナダ国歌を聞くこととなった。23日は少々面食らった。9時前になると,教師も生徒も直立し,国歌を斉唱する。我々にも,それが求められる(もちろん,歌詞が分からないので,歌えないが)。それが当たり前になっているので,みんな真面目にやっている。
 おもろしかったのは,高等学校である。なんとリズムの異なる,ポップな調子になったものが流されていた。

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2010.03.27

カナダの学力向上アプローチ

 カナダのトロントを発ち,8時間前に成田に,5時間前に伊丹に着いた。今回,カナダを十数年ぶりに訪ねて,いろいろと学んだ。目立つのは,我が国と同じく,読み書き計算の重視である.特に,ルーブリックを用いた学力向上アプローチが徹底されていたことには,驚かされた。
 同時に,学力向上のためのマネージメント,特に「School Improvement Plan(学校改善計画)」の策定と運用,そしてそのための仕組みが示唆に富んでいた。ある小学校では,学校長が,「School Improvement Team(学校改善チーム)」の役割について,「子どものデータ等を収集し,学校改善の方針を策定し,そのエビデンスを明らかにする」と述べていた。これは,我が国の学校における取り組みの弱い部分であろう。
 一方,2週間前に訪問したアメリカの学校に比べると,ミドルリーダーが学校改善に果たす役割が重視されていないように思った。

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2010.03.26

もうすぐカナダを出発

 もうすぐカナダを出発する。たった3日の滞在期間中に,3つの初等学校と1つの中等学校,教育委員会をめぐった。日本女子大学の澤本先生が懇意になさっている,この地の元教育長のアレンジによって短い期間で内容の濃い視察ができた。

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教室の外で「ことばの教育」

P1150518 トロント郊外のGrand Erie地区にある,Greenbrier Public Schoolを訪問した。いくつかの教室で授業を見学した。電子情報ボートを利用した割合の学習も見学したし,久しぶりにOHPを利用している授業(国語の読解)に接した。納得したのは,1年生の「ことばの教育」である。授業者は,子どもたちに,教室の外に出て,living thingとNon-living thigを見つけ,それらを対比表にまとめさせていた。彼らは,光り輝く太陽の下,楽しそうに,そして知的に,ことばを自分のものにしていた。

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2010.03.25

学校改善プランを自校の特長を踏まえて考える

P1150417 トロント郊外のGrand Erie地区にある,Cedarland Schoolを訪問した。この学校の教師たちは,学校改革のために,スタッフが協力している。4月に第三者評価を受け,その結果に基づいた学校改革プランを策定する際のスタッフミーティングでは,学校の特長,支援を要する課題,それを解決するために乗り越えなければならない壁について分析したそうである。学校長が写真のように,我々訪問者に,その軌跡が残った模造紙を見せてくれた。
 「学校の特長」を出発点に据え,それを生かした改革に取り組もうとする姿勢は,私が常々強調している,学校を基盤とする学力向上等のプロセスで重視していることである。それが,洋の東西を問わず,重要であることを確認できた。

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2010.03.24

合い言葉は,「Bump it up(次を目指してがんばれ)!」

P1150403 トロント郊外のGrand Erie地区にある,North Ward Schoolの教師たちは,何度も何度も,「Bump it up(次を目指してがんばれ)!」というフレーズを用いて,自らの実践の特徴を語っていた。子どもたちにも,それを訴えていた。教室の掲示にも,それが目立つ。これは,昨日も紹介した,4段階の評価基準のレベル2からレベル3へ,レベル3からレベル4に向けてがんばろう(がんばらせたい)という理念を象徴する言葉である。
 これを体現するために,教師たちは,各レベルが満たすべき要件をルーブリックとして示し,さらに各レベルの典型例やレベル以降のためのコツ等を子どもたちに明示する。また,形成的な評価を行い,子どもたちの次なるレベルに向けた取り組みを促す。我々の視察チームも,これが,流行言葉となった。

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カナダ(オンタリオ)の「ことばの教育」

P1150350 トロント郊外のGrand Erie地区にある,North Ward Schoolを訪問した。たくさんの教室を見学したが,どこでも「ことばの教育」が重視されていた。例えば,写真は,guided readingと呼ばれるもので,要するに,少人数で読解ポイントをきめ細かく指導する方法である。
 「ことばの教育」のための掲示物は,著しい。基本的な原理,モデル,作品等が壁いっぱいに示されている。特に,ルーブリックの掲示がきわだつ。あらゆる学習に関して,評価の基準を4段階で定め,それを手がかりにして,子どもが学び直しをしている。その徹底ぶりには,驚かされる。

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2010.03.23

これから学校訪問

 カナダに到着して2日目の朝を迎えた。これから,学校訪問が続く。今日は,North Ward Schoolというところに1日いる。カナダでは,アメリカと同様,州によって,教育制度やシステムが異なる。オンタリオ州では,幼稚園から第8学年までの子どもが1つの学校に属し,「Elementary」と呼ばれている。すなわち,幼小中一貫が当然であるということだ。マニトバ州も同様。十数年前に訪問した際には,Middle Schoolが存在していたような気がするのだが--。

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2010.03.22

今度はカナダ(トロント)訪問

 これから成田空港を経て,カナダはトロントへ向かう。日本女子大学の吉崎先生をリーダーとする科研費の研究プロジェクトの調査のためだ。Grand Erieという地域で4つの学校と教育委員会を訪問し,授業を見学したり,学校長等への聞き取りを行う。
 アメリカから戻ってまだ10日少し。なんだか,慌ただしい。8名もゼミ生が卒業するのに,卒業式が催される24日に大学にいられないのも,残念であるが,仕方がない。
 また現地から,学校の様子等をレポートしよう。

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2010.03.21

教師の力量形成に関する文献報告会

 本日,我が研究室で,「教師の力量形成に関する研究会」(第8回)を開催した。今回は,異動等の関係で,これまででもっとも少ない4名の研究者によるものであった。しかし,参加人数が少なくても,かまわない。要は,文献を踏まえて議論を密に繰り広げることが大切だから。
 今日も,それぞれが英文雑誌からピックアップしてきた論文の内容や主張点を報告した。特に滋賀大学の鈴木先生がレポートしてくれた,アメリカにおける授業研究の潮流に関する論文は,我が国のそれの特徴を再確認するのに,大いに役立った。ちなみに,私は,教員養成・現職教育における臨床体験(状況学習)と講義等(認知理論)を接続させるモデルの提案,そのための「ゲシュタルト」の役割の検討に関する論文をレポートした。

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2010.03.20

『子どもの学力向上に資する校内研修推進の手引き』

P1150324 本年度,学長裁量経費による地域貢献プロジェクトとして推進してきた「『子どもの学力向上に資する校内研修推進の手引き』の作成と大阪市立小中学校への配布」であるが,先日,手引きが刷り上がり,まず本日の大阪市教育センターのフォーラム2010において,参加者に配布された。4月になって,大阪市立小中学校の全教員に配布される。
 手引は,16ページ,オールカラーで仕上がっている。大阪市内の小中学校の事例を紹介しながら,校内研修(特に授業研究)の推進のポイントを整理している。
 春から,大阪市教育センターの指導主事と何度も話し合いを重ね,その内容や構成を検討してきた。担当の指導主事がよくがんばってくれたおかげで,多くの方から「よいものができましたね」と言っていただいた。プロジェクトの代表者として安堵している。

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2010.03.19

教育工学会の産学協同セミナー

 私が理事を拝命している,日本教育工学会は,毎年,産学協同セミナーを催している。企画委員会がそれをつかさどる(実は,私が委員長--)。本日,株式会社内田洋行の新川オフィスが会場となった。今年度のテーマは,「(続)職業的専門性としての教育工学~教育工学を学ぶ・送り出す・一緒に働く~」である。教育工学を学部・大学院で学んだ人材が企業でその専門性をどのように生かしているか等についてセルフレポートをしてもらったり,そうした人材を送り出す側(大学)や雇用する側(企業)にコメントしてもらったりした。
 内田洋行の人事担当の方が語る,企業が求める人材像は,よく整理されており,また説得力があった。

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2010.03.18

大阪市教育センターの「フォーラム2010」

 大阪市教育センターは,毎年,3月下旬にフォーラムを催している。今年度は,『「学校力」を高める実践的研究から学ぼう~』というテーマで,平成22年3月20日(土) 9:00~17:00(9:00 受付開始)に実施される。私も,センターのスタッフとともに進めてきた,授業力アップサポート事業等に関するパネルディスカッション「校内研修を活性化させ、教員の授業力アップをめざす」に登壇する(コーディネータを担当する)。また,アドバイザーとして関わってきた,センタースタッフによ『「授業評価シート」を活かした「共同PDCA」の内容・方法』の報告も楽しみである。
 その他にも様々な報告等が設定されているので,ぜひ参加されたい。詳細は,ここから案内をダウンロードされたい。

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2010.03.17

サークル顧問デビュー

 この度,学生から依頼があって,ある新規サークルの顧問に就任することとなった。本学も,それ以前に勤めていた(3つの)大学でも,サークルの顧問を拝命したことはなかった。大学の教員は教育・研究・地域貢献等に従事するが,サークル活動の支援も教育の一環であるから,この依頼を断るのは難しい。
 それにしても,依頼があったサークルの名前は--「教材研究会」である。教材研究や指導案作成を主たる活動にするらしい。なんだか,サークルなのか,授業なのか,よく分からない。

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授業評価アンケートの集計結果が届いて

 先日,後期分学部の講義の授業評価アンケートの集計結果が届いた。本学の第二部の授業評価アンケートでは,学生参加,授業内容,教員の指導,教員と学生のコミュニケーション,授業成果という5つの観点で2項目ずつが設定される。各項目は,5段階で評定されるので,都合,50点満点となる。
 担当している講義,「教育総論」(教育の思想と歴史),「教育実践の研究Ⅱ」(教育方法・カリキュラム等),「教育学特論Ⅱ」(放送教育の授業プランの作成)の結果は,それぞれ,47.3,47.5,そして48.3であった。教育学特論Ⅱの授業内容は全員が2項目とも5点をつけてくれていた(つまり満点)。今期の授業は,「十分満足できる状況」にあったと言えよう。

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2010.03.16

「はぐくみネット」のコーディネータ研修会

P1150320 本日午後7時から,大阪市鶴見区役所で,「小学校区教育協議会-はぐくみネット-」のコーディネータ研修会が催された。私は,地域の教育コミュニティとしての可能性を,その背景,基本構造,代表的な活動を解説した。また,事業がスタートした時から関わっているベテランのコーディネータが体験談を話した。
 大阪市教育委員会は,平成14年度から,小学校区を単位とする地域教育協議会の設立を支援してきた。平成19年度で,市内小学校区のすべてで,このような協議会が企画・運営されることとなった。また,そのマネージメントが区に移管された。それゆえ,本日の鶴見区のように,区単位のコーディネータ研修会も企画・運営されるようになったのである。
 どのような営みも,時間が過ぎるに従って,発足時の理念は忘れられがちだ。はぐくみネットもそういう事態に陥る危険性はある。それを回避するために,今日のような集いは必要であろう。

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自らの授業改善に関する省察

 3月15日という年度末も押し迫った時期に,大阪市立夕陽丘中学校で研究授業が実施された。理科の初任者が前線等について指導していたが,数日前に到着した電子黒板を利用するといったチャレンジを示してくれた。
P1150317 研究授業後の協議会は,参加型で行われた(私が,同校の研究主任とツインで,司会を担当した)。参加型の事後協議会は,この学校の教師たちにとって初めての体験であったそうだ。しかし実際には,写真のように,テンポ良く,密な議論が繰り広げられた。そして,私が強く訴えた,自らの授業改善に関する省察にも,彼らに取り組んでもらえた。つまり,研究授業に対する批評に終わることなく,たとえ経験や教科が異なっていても,研究授業や事後協議会における議論を参考にして,自身の授業改善課題をそれに対する取り組みを考察・交流してもらえた。

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2010.03.14

3日遅れの時差ぼけ?

 今日の午後から急に体がだるくなったり,眠くなったりする。3日遅れの時差ぼけだろうか(そういうことってあるのか)。それとも,昨日・一昨日は入試関係業務に従事している関係で緊張感から症状が顕在化しなかっただけなのだろうか。
 ともあれ,今日は,「授業研究と教師の成長」等に関して記事を作成する気力がわかないので,それは,お休みとさせていただく。といっても,明日のミーティングに関する資料の作成に追われているのではあるが。

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2010.03.13

ようやく入試シーズンが終わる

 今日で,大学入試の業務も一段落である。シカゴから戻ってすぐに,入試業務に従事するスケジュールとなり,果たして無事務まるか--少々不安であった。帰国のフライトの中で,例えば,時差ぼけで朝起きられないなどという最悪のシナリオも頭をよぎった。しかし,それは,杞憂に終わった。昨日も今日も,まったく眠気に襲われなかった。
 年が明けてから(明ける前からも),たくさんの入試関係の業務をこなした。ようやく入試シーズンが終わる。それは,新年度のスタートを意味するのであるが--。

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2010.03.12

今年もまた卒業シーズン

 昨夜シカゴから成田を経由し,帰宅して,1日あまり。不思議なことに15時間の時差にも関わらず,まったく時差ぼけがなく,今日も早朝から入試業務に従事し,その後,会議を経て,研究室に向かった。我ながら,元気すぎる。
 ところで,今年もまた卒業シーズンがやってきた。大阪教育大学に赴任して3年が経つが,2度目のゼミ生が巣立つ。今日は,そのお別れ会の日であった。24日が卒業式であるが,この週はカナダのトロント郊外に赴いているため,残念ながら,公式行事に参加できないからである。
 8名のゼミ生と天王寺駅近くのチャイニーズのお店で,ゼミ指導について,(大げさに言えば)リフレクションをおこなった。今だから言える本音も聞いた。ゼミのマネージメントは難しい。けれども,(小さいけれども)コミュニティによる創造的な営みの可能性を実感できる。それは,大学教員が得られる,自己実現の術であろう。
 いずれにしても,8名のゼミ生たち,1年間卒論指導につきあってくれて,ありがとう。春から,それぞれの舞台で精一杯がんばるんだよ。

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2010.03.11

学力向上は,研修主任のアクションで

 昨日その様子をレポートしたIdlewild Elemtary Schoolには,Professional Development in School Compliance Coachという,リーダー教師が存在していた。彼女は,授業を担当しない(子どもを直接指導するわけではない)。この学校における教師教育プログラムの企画・運営等に従事する。さらに,保護者の啓発等も担当する。
 昨日,一昨日もレポートしたように,テネシー州は,教育長のイニシアチブの下,学力向上にむけた,様々な取り組み,施策を導入しているが,このようなリーダー教師の位置づけもその一つであると聞いた。洋の東西を問わず,学力向上は授業力のアップから,そしてそれは,リーダー教師の働きかけ如何であるというわけだ。

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2010.03.10

何ごともルーブリックで

 テネシー州メンフィス市西地域に位置する小学校,Idlewild Elemtary Schoolを訪ねた。学校長や研修主任へのヒアリングの後,全クラスを観察した。昨日記事に示したように,テネシー州は,新しい教育長の下,教育委員会も学校も,学力向上に腐心している。しかしながら,この小学校は,学力を広くとらえ,自尊感情等を高めることも,とても大切にしている。
P1150260 この学校は,メンフィス市内全域から子どもが通う,optional schoolであるが,そのため,子どもたちは,1)出席,2)行動,3)習慣について,評価される。写真は,「行動」に関するものであるが,そのための基準がルーブリックとして示され,それぞれの子どもの行動がそれに即して点検されていた。Eはexcellent,SはSatisfactoryといった具合である。何ごとにもルーブリックを用いるのが,この国の教育の1つの特色である。

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2010.03.09

学力向上のプレッシャー

P1150169 テネシー州メンフィス郊外の中学校,White Station Middle Schoolを訪ねた。学校長へのヒアリング,授業観察をおこなった。テネシー州は全米でも到達度テストの結果が低いことで有名(?)である。教育委員会,学校,教師たちは,学力向上に腐心している。メンフィスの中学校長は,年に6回,教育長の前で,学力向上のための取り組み,その成果と課題をプレゼンテーションすることが課せられている。
 そうした圧力の中,この中学校では,赴任してきた学校長が,教師たちに,学力向上のための様々なアクションを起こさせている。例えば,「re-teaching」である。これは,到達度テストの結果が十分でなかった箇所について,再指導する取り組みである。学校長は,全教員に,いかなる領域の内容をいつ再指導するのかをプランにして提出するよう指示している。学力向上のプレッシャーは,学校長に言わせれば「米国の教育を劇的に変えている」そうである。

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2010.03.08

メンフィスの街にて

P1150156 こちらの時刻(日本とは15時間の時差)の6日深夜に,テネシー州のメンフィスに到着した。シカゴからメンフィスへの飛行機は出発が遅れた。その理由は悪天候や計器の故障ではなく,なんと「フライトアテンダントが来ない」であった。それをパイロットが謝っているという,日本ではめったに見られない光景を目にした。
 貴重な(?)体験を経て到着したメンフィスであるが,トロリーに乗ったり,ミシシッピ川を見たりした後に訪ねた郊外の美術館(Dixon Gallery & Gardens)がすばらしかった。展示している絵画も,建物のたたずまいも,庭の雰囲気も。

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2010.03.07

ティーチャーズ・リソースセンターを見学

P1150113 ノースカロライナ大学のグリーンズボロ校で,図書館情報学のセクションのスタッフと交流した。彼らのプレゼンテーションを聞いた後,日本にも学校向けデジタル・コンテンツがあるかと聞かれて,NHKのデジタル教材とNICERを紹介した。それらが無料で提供されていることに彼らは驚いていた。
 その後,教師や教員志望学生に各種のリソースを提供しているセンターを見学した。教科書はもちろん,映像教材,実物,ゲームや測定ツール等々,量的・質的に充実したリソースが用意されていた。

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2010.03.06

カリキュラム・リーダーシップに関する意見交換

P1150090 ノースカロライナ大学のグリーンズボロ校で,カリキュラム・リーダーシップを専門とする研究者たちと,その定義,枠組み,典型的な事例について意見交換した。この概念が,テストやスタンダードの圧力からの解放を求めるものであること,創造性を重視するものであること等を共通理解した。

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2010.03.05

ノースカロライナ大学のグリーンズボロ校

P1150053 現地5日朝も,ノースカロライナ大学のグリーンズボロ校に出かける。こんな感じの建物である。趣があるね,外国の大学の建物は。

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「高等教育のプログラム作成」の講義

P1150075 ノースカロライナ大学のグリーンズボロ校で,「高等教育のプログラム作成」の講義を見学した。この講義は,コミュニティカレッジ等で働く人々(教員,管理者等)が,そのプログラムを作成するための方策を獲得するためのものである。本日は,ニーズアセスメントについて,その考え方と具体的な方法を受講者が会得していた。
 テキストが分厚く,しかも複数用意されている。自分の講義も,今度はアメリカ流にテキストの種類を増やそうかな--。

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2度目の渡米中

 現在,2度目の渡米中である。韓国,中国,英国にはそれぞれ10回以上出かけているが,なぜか,アメリカはあまり縁がなかった。2年前にサンフランシスコに1週間ほどいただけである。
 4日早朝伊丹空港を発ち,成田空港を経て,シカゴに着いた。これから,ノースカロライナのグリーンズボロに向かう。ここで,現地の大学の研究者と会い,カリキュラム・リーダーシップについて議論したり,それを扱った講義を見せてもらうためだ。
 その後,メンフィスに移動し,今度は,小中学校を視察する。帰国は,11日の予定である。次の日から入試業務なのであるが--。

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2010.03.03

異文化体験による教師の成長

 優秀教員の表彰に関する記事について,いくつかコメントを頂戴した。その中に,どのようにしたら,優秀教員のように力量を高められるのかを教えてもらいたいというものがあった。
 これは,簡単には語れない問題である。実に様々な要因に影響されているからだ。しかし,最近,いわゆる学力調査の結果が高い,秋田,福井や富山の学校を訪れ,教師たちの様子を見たり,インタビューをしたりして,次の2つの点が,それらの地域の教師たちに共通する傾向であることを,再認識した。
 ひとつは,研究的実践への熱意である。忙しくても,トライしてうまくいかなくても,子どものために,そして自らのために,授業づくりの工夫・改善を重ねている。
 もうひとつは,「異文化体験」である。例えば中学校の教師が小学校において勤務する。自宅から離れた地域の学校で教鞭を執る等々の状況だ。それらが,なんらかの意味で自らの実践を見直す契機となっているようだ。
 そうそう。本学のような大学院で学ぶことも,もちろん,ある種の異文化体験であると言える。

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2010.03.02

優秀教員の表彰

 本日,国立教育政策研究所で催された,「教員の質の向上に関する調査研究」委員会に出席した。この委員会は,全国の教育委員会・教育センター,学校に対して,質問紙調査を実施し,教員の資質向上のためにいかなる取り組みを実施しているかについて,その全体的な動向を把握しようとするものである。平成20年度からスタートし,2年度目を終えようとしている。
 優秀教員表彰制度に関する調査結果を聞いたが,副賞を用意している都道府県が少なからずあった。例えば,トロフィー,万年筆等である。中には,「花瓶」「「ブックマーカー」なんていうのもあった。なかなかユニークだ。
 優秀教員選出の仕方についてであるが,大半のケースが「校長推薦」からというのは,やや疑問であった。プロ野球のオールスター戦と同様,仲間からの推薦があってもよろしかろう。自薦もあってよいと思し,子どもからの推薦というのはどうだろうか。

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2010.03.01

津波警報で慌ただしく会場を去る

 日本教育工学会の企画委員会が運営する「冬の合宿研究会」in 「かんぽの宿 松島」の第2日目。ワークショップで作成した,教育実践研究に関するリサーチプロポーザルの概要が,6件報告された。その後,私は,吉崎先生(日本女子大学),宮田先生(滋賀大学)とともに,講評役を仰せつかったので,教師による実践研究の多様性,そのデザインの留意点,モデルが実践者と研究者の共通表現になりやすいこと等をコメントした。
 質疑応答の時間帯に,突然,津波警報のため早く去るよう会場側から依頼(?)があり,慌ただしく会場を後にした。その後もアクシデントが続き,3度目の宮城(仙台)は大変な旅となった。まあ,でも,おいしい牛タンを食することができたのではあるが。

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