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2011.05.03

『学校を基盤とするカリキュラム開発を推進するリーダーのためのハンドブック』を希望者に

 昨年度から,科研費によるプロジェクトで『学校を基盤とするカリキュラム開発を推進するリーダーのためのハンドブックの開発』を進めてきた。このたび,その暫定版が完成した。これを,ハンドブックの内容・構成に関する,簡単なアンケートに回答してくださる方にお届けしたい。
 希望なさる方は,tkihara(アットマーク)cc.osaka-kyoiku.ac.jp宛に,1)お名前,2)ご所属,3)届け先住所(郵便番号も),4)連絡先メールアドレスをお知らせいただきたい。 ハンドブックの使い方を紹介した,前書きを示しておこう。以下のとおりである。

 「本ハンドブックの使い方」
 本書は,小中高等学校の研究主任や教務主任などのミドルリーダーが学校を基盤とするカリキュラム開発を推進するための工夫を学ぶためのハンドブックです。学校を基盤とするカリキュラム開発とは,ここでは,学習指導要領や地方教育行政が示すカリキュラムや授業の枠組みを踏まえつつ,それらを,自校の子どもたちの実態や学校が置かれた条件に即して,アレンジしたり再構築したり体系化したりする営みを意味します。そして,その具体像を本ハンドブックでは,創造的な授業づくり,その集積ととらえて,「カリキュラム実践」と総称します。例えば,教科書教材をベースにしながらも,地域の素材を生かした教材をそれに重ねたり,教科をまたいで合科的な指導を繰り広げたりするのは,その代表的な存在です。いくつかの制度(研究開発学校,教育特区など)を利用して新しい教科や領域の開発する取り組みは,その理想的な姿の1つです。
 このハンドブックには,カリキュラム実践を充実させるために推進リーダーが何をすべきかについて,たくさんのアイデアが紹介されています。それらは,近年,学術的・実践的に注目されている,カリキュラム・リーダーシップの営みに他なりません。このハンドブックの内容を自分のものにすれば,読者は必ず,所属校におけるカリキュラム開発に対して,カリキュラム・リーダーシップを発揮するためのアクションを起こせるようになるでしょう。

 このハンドブックは,7つの章から成ります。前半の3つの章では,カリキュラム開発やそれに資するカリキュラム・リーダーシップについて,多面的多元的に学ぶことができます。まず第1章:カリキュラム開発の理論とモデルでは,学校を基盤とするカリキュラム開発やカリキュラム・リーダーシップの基本的な考え方を会得することができます。次いで第2章:カリキュラム開発の動向では,国内外のカリキュラム開発をめぐる状況について学習します。さらに第3章:我が国におけるカリキュラム実践のすぐれた事例では,我が国におけるカリキュラム開発の4つの事例を読解してもらいます。それらの事例の特長が構造的に示されていますので,カリキュラム・リーダーシップのあり方をいっそう具体的に把握できます。
 第4章:カリキュラム実践に関する意思決定の演習では,上記の章で学んできたカリキュラム開発やカリキュラム・リーダーシップの考え方を確かめることができます。4つの問題と模範解答等が用意されていますので,それらにトライして,カリキュラム・リーダーシップに関する考え方の定着を図ってください。
 第5章:所属校のカリキュラム実践の省察には,カリキュラム・リーダーシップに関する,20のチェック項目を準備しました。また,チェック結果を吟味してカリキュラム実践の改善や発展を構想するためのアドバイスを呈しました。所属校のカリキュラム実践の改善を図る際の重点事項の同定やその具体化に役立ててください。
 第6章と第7章では,カリキュラム開発やカリキュラム・リーダーシップについて,さらに学習を深めるための参考情報を提供しています。前者では,カリキュラム及びカリキュラム開発に関する文献リストを作成・提示しました。後者では,それらに関する学習の深化に役立つホームページや大学院の講義を紹介しました。それらを通じて,カリキュラム開発を推進するリーダーとしての資質を高めてください。

 読者が,このハンドブックにふれて,カリキュラム開発の理論と実践をより広く,またより深く学び,それを自身の学校のカリキュラム実践に活かすことを祈念しています。

 なお,このハンドブックは,平成21年度~平成23年度科学研究費補助金基盤研究(C)「学校を基盤とするカリキュラム開発を推進するリーダー教師のためのハンドブックの作成」(研究代表者:大阪教育大学教授・木原俊行)により作成されたものです。

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