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2012.01.07

学校の行方-今後の学校教育を展望する

 『教育新聞』の平成24年1月1日号で,「学校の行方-今後の学校教育を展望する」という特集が組まれている。早稲田大学の安彦忠彦氏,日本大学の小笠原氏,国立教育政策研究所の工藤氏とともに,拙稿も載っている。「専門的な学習共同体」としての学校,その成長を提案した。短い文章なので,ここで紹介しよう。

 21世紀社会は,変化の激しい社会である。制度やルールが安定せず,次々と新たなシステムやツールが登場する。学校をめぐる状況も例外ではなかろう。例えば,授業時数の増減,教科の枠組みの再構築が起きよう。教室のテクノロジーが整備されるだろうし,教師と教育支援人材の協力体制も進展しよう。
 教師たちは,そのような不安定な状況下で,また様々な選択肢を採りうる条件下で,教育実践を推進していくことになる。それに際して教師たちがより妥当な意思決定をおこなうためには,彼ら自身の「学び」の充実が不可欠であることは,言うまでもなかろう。幸い,ここ数年,教師たちが,自らの力量を高めるために,校内研修の企画・運営をこれまでにも増して工夫する姿をよく目にするようになった。
 例えば,多くの小中学校において,授業研究の質と量が豊かになりつつある。研究授業の実施回数が増えるとともに,例えば,言語活動の充実やICT活用といった今日的な授業づくりの課題にチャレンジする姿勢が強まっている。さらに,研究授業後の協議会については,参加型(ワークショップ型)と呼ばれる様式が浸透しつつある。
こうした各学校における教師間の学び合いの成立は,学校がいわゆる「専門的な学習共同体(Professional Learning Communities)」という性格を強めることに他ならない。それは,教師たちが,専門的な知識や技術を高めるために,また,それにまつわる倫理を磨くために,同僚と研鑽を積むことを意味する。これからの学校では,これまで以上に,教師たちが,専門的な学習共同体を発展させるべく,その学びのスタイルの改善に努力を傾注することが期待されよう。
 さらに,教師たちの学び合いの舞台は,学校内だけにとどまるべきではない。学校をまたいだネットワークを構成することも切望されよう。例えば,学力向上を目指した取り組みは,各学校における同僚間の共同だけでなく,小中学校の組織的連携によっていっそう豊かなものになる。授業研究会に他校の教師が参加してくれれば,校内の教師では当然視している授業づくりが疑問視され,相対化され,それが契機となって,授業づくりの新たな地平が拓かれるかもしれない。既にいくつかの学校では,教師たちが,自主的に研究発表会を催し,自らの授業づくりに関する第三者評価の機会を設けているが,これも,教師たちが,自らの学びを拡充するためのプローチとして尊重されて然るべきであろう。
 学力調査の結果が公開されたり,学校選択制度が導入されたりする動きの中では,教師たちは,自校と他校をいたずらに比較したり,他の学校をライバル視したりしがちである。けれども,子どもたちに少しでもよい学びを提供したいと望むのであれば,そのアイデアやサポートを多方面から得られるよう,教師たちは,自らの学びのフィールドを広げるべきだ。
 ある学校の行方,その教育実践の発展は,校内における専門的な学習共同体の成立,他校のそれとの共鳴の実現に依拠していると筆者は訴えたいのである。

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